日別アーカイブ: 2026年4月4日

第25回 簿記入門(25) 現金・預金の管理と預金調整表(銀行取引の照合と試験でのミス防止チェック)

学習を進める中で、帳簿残高と銀行口座の残高が合わない場面に出くわすと、不安になりますよね。時間がない試験場面では、どこを確認すべきか迷ってミスにつながりがちです。本記事では、現金・預金の管理における基本的な考え方と、預金調整表(銀行との照合)の作り方を、テーブル中心に整理してお届けします。落ち着いて手順を追えば、多くのズレは原因が特定できます。

この記事の位置づけと参照

本記事は「第24回 発生主義・前受前払・未収未払」の続きとして、現金・預金の具体的処理と銀行照合作業に焦点を当てます。決算整理や補助簿に関する補足は別記事にまとめています。

まず押さえるべきポイント

  • 帳簿残高は自社の記録、銀行残高は銀行の記録です。
  • ズレは「時差(未達項目)」「銀行側の処理(手数料・利息など)」「記帳漏れ・誤記」のいずれかです。
  • 預金調整表は「銀行残高を調整する側」と「帳簿残高を調整する側」の両方を整理して一致させる作業です。
  • 試験では、未達入金・未達出金・手数料・利息・口座振替の扱いが頻出です。

現金出納帳の抜粋

日常の補助簿は合計残高の把握に有用です。下はシンプルな抜粋例です。

日付 摘要 入金 出金 残高
4/20 売上入金(現金) 120,000 120,000
4/21 光熱費支払 6,000 114,000
4/22 銀行振込(入金) 80,000 194,000

預金調整表(実践例)

次は、具体的な数値例で帳簿残高と銀行残高のズレを照合する手順です。

項目 金額(円)
銀行帳(銀行明細)残高 1,500,000
加:入金未反映(預り入金・入金未達) +120,000
減:振出小切手・未達支払 -80,000
調整後の銀行残高(A) 1,540,000
帳簿(当社帳簿)残高 1,530,000
加:受取利息(銀行計上、未記帳) +18,000
減:銀行手数料(未記帳) -2,000
減:口座振替(光熱費等、未記帳) -6,000
調整後の帳簿残高(B) 1,540,000

このように、調整後の銀行残高(A)と帳簿の調整後残高(B)が一致すれば照合完了です。

差異ごとの仕訳例

差異 借方 貸方 備考
銀行手数料(2,000円) 支払手数料 2,000 普通預金 2,000 銀行が引き落としており、帳簿未記帳の場合に記入。
口座振替(光熱費 6,000円) 光熱費 6,000 普通預金 6,000 科目は取引内容に応じて処理する。
受取利息(18,000円) 普通預金 18,000 受取利息 18,000 銀行が利息を計上しており、帳簿未記帳の場合に記入。
入金未反映・振出未達 通常仕訳なし 通常仕訳なし 単なる時差項目なので、通常は預金調整表で処理する。

試験によく出るミスとチェック方法

よくあるミス 原因 チェック方法
入金の記帳漏れ 売掛金回収を帳簿に記入し忘れる 入金伝票と銀行明細を照合し、入金日と金額を突合する。
銀行手数料の未処理 小額項目で見落としやすい 銀行明細に手数料表示がないか確認する。
電子振替の未記帳 請求書と照合せず処理漏れになる 摘要欄に「口座振替」「自動引落」がないか確認する。
未達項目の扱いミス 時差項目を誤って仕訳修正する 時差なら仕訳せず、預金調整表で処理すると整理する。

日次・週次の5分チェック

受験勉強と並行して業務チェックを続けるには、簡単なルーチンが有効です。

項目 日次 週次
銀行明細の摘要確認 1分:見慣れない入出金がないか確認 3分:摘要と請求書・伝票を突合
未記帳の小額項目チェック 1分:手数料や利息表示を確認 2分:未記帳分の仕訳登録
入金未反映・未達支払の確認 5分:入金予定表と銀行明細を照合

短いチェックリスト

  • 銀行残高を調整するときは、入金未反映を加え、未達支払を差し引く。
  • 帳簿残高を調整するときは、受取利息を加え、手数料や自動引落を差し引く。
  • 調整後の両残高が一致するかを最優先で確認する。
  • 時差項目は原則として仕訳不要である。

練習問題

以下の数値で預金調整表を作成し、必要な仕訳を示しなさい。最終的に調整後の残高を一致させること。

項目 金額(円)
銀行残高(当月末) 1,500,000
帳簿残高(当月末) 1,530,000
入金未反映(預り入金) 120,000
未達振出小切手 80,000
銀行手数料(未記帳) 2,000
口座振替(光熱費、未記帳) 6,000
受取利息(未記帳) 18,000

解答・解説

手順 計算・仕訳
1. 銀行残高を調整する 1,500,000 + 120,000 – 80,000 = 1,540,000
2. 帳簿残高を調整する 1,530,000 + 18,000 – 2,000 – 6,000 = 1,540,000
3. 必要な仕訳 銀行手数料:借方 支払手数料 2,000 / 貸方 普通預金 2,000
口座振替:借方 光熱費 6,000 / 貸方 普通預金 6,000
受取利息:借方 普通預金 18,000 / 貸方 受取利息 18,000
4. 着眼点 入金未反映と未達支払は時差項目なので、通常は仕訳しない。

まとめ

預金調整表は、銀行残高と帳簿残高のズレを一つずつ原因で整理する作業です。試験では「時差項目」と「銀行側では処理済みだが帳簿未処理の項目」を区別できるかが重要です。落ち着いて原因を分類すれば、解きやすくなります。