第231回 ダイレクト納付が残高不足になった日の再納付と仕訳

源泉所得税等の期日指定納付が残高不足で完了しなかった場合、エラーが発生した時点では預金も預り金も動いていません。したがって、エラーだけを理由とする仕訳はありません。

本稿では、別口座から2,000円を振り替えた後、5,105円を即時納付する設例について、再納付の手順と仕訳を確認します。

1.残高不足のエラーでは仕訳をしない

期日を指定しただけでは納付は完了していません。残高不足で引落しが行われなければ、帳簿上の預金と預り金も変わりません。

勘定科目 エラー確認前 エラー確認後 増減
普通預金A 4,000円 4,000円 0円
普通預金B 10,000円 10,000円 0円
預り金(源泉所得税等) 貸方5,105円 貸方5,105円 0円

この段階で「借方:預り金5,105円/貸方:普通預金5,105円」と記録すると、実際には減っていない預金を減らし、未納の預り金を消してしまいます。

2.2,000円を移して再納付する

納付額5,105円に対してA口座の残高は4,000円なので、不足額は1,105円です。設例では余裕を持たせて2,000円を移します。

4,000円+2,000円=6,000円

6,000円-5,105円=895円

e-Taxの残高不足に関するFAQでは、必要な納税資金を入金した後、受信通知から再度ダイレクト納付を行えると案内しています。計算書の内容に誤りがない本設例では、残高不足だけを理由に同じ計算書データを再送信するのではなく、元の受信通知から納付をやり直します。

  1. メッセージボックスで「ダイレクト納付エラー通知」を確認する。
  2. B口座からA口座へ2,000円を移し、A口座への着金を確認する。
  3. 元の受信通知から即時納付を行う。
  4. 「ダイレクト納付完了通知」と口座明細の5,105円の引落しを確認する。

即時納付はいつでも実行できるわけではありません。e-Taxの電子納税の利用可能時間に関する案内によれば、e-Taxの利用可能時間内であり、かつ利用する金融機関のシステムが稼働している時間内である必要があります。金融機関ごとに利用可能時間が異なるため、納期限当日に再納付する場合は事前に確認が必要です。

3.資金移動と納付完了時の仕訳

仕訳を行うのは、口座間の資金移動と、再納付による引落しが実際に完了したときです。

処理 借方 貸方
B口座からA口座への振替 普通預金(A口座)2,000円 普通預金(B口座)2,000円
源泉所得税等の納付 預り金(源泉所得税等)5,105円 普通預金(A口座)5,105円
合計 7,105円 7,105円

口座間振替では会社全体の預金合計は変わりません。納付時には、司法書士への報酬支払時に計上した預り金を借方へ記録します。会社の費用を新たに計上する取引ではないため、5,105円を租税公課にはしません。

4.仕訳後の残高を検算する

勘定科目 開始残高 口座間振替 納付 最終残高
普通預金A 4,000円 +2,000円 △5,105円 895円
普通預金B 10,000円 △2,000円 0円 8,000円
普通預金合計 14,000円 0円 △5,105円 8,895円
預り金(源泉所得税等) 貸方5,105円 0円 △5,105円 0円

最終残高はA口座895円、B口座8,000円、預金合計8,895円、預り金0円です。二つの仕訳の借方合計と貸方合計も、それぞれ7,105円で一致します。

5.納期限当日は完了まで確認する

納期の特例を適用しない場合、司法書士報酬から源泉徴収した税額の納付期限は、原則として支払月の翌月10日です。U社が報酬を支払った日は2027年1月20日なので、本設例の法定納期限は2月10日です。

最初に2月10日を指定していても、残高不足のままでは期限内納付になりません。本設例では、利用可能時間内に即時納付を行い、同日中に完了通知と引落しを確認したため、2月10日の期限内に納付が完了しています。

残高不足の通知を確認したら、先に預り金を消し込まず、資金の着金、再納付、完了通知、口座明細の順に確認します。