第228回では、未払の司法書士報酬を支払い、5,105円を源泉徴収する仕訳を確認しました。
今回は、その5,105円を納付するための所得税徴収高計算書を完成させます。
司法書士報酬に使用するのは、「報酬・料金等」ではなく「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」です。
1.使用する様式と記載年月
国税庁の「報酬・料金等の所得税徴収高計算書」の記載要領は、弁護士、税理士、司法書士等の報酬をこの様式の対象から除外しています。
司法書士報酬には、「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」を使用し、「税理士等の報酬」欄に記載します。納期の特例を適用していない本設例では一般用を選びます。
納期等の区分は業務完了月ではなく実際の支払月です。2027年1月20日に支払ったため「令和9年1月」とし、原則どおり翌月10日の2027年2月10日までに納付します。
「年度」は会社の事業年度ではなく、納付日の属する国の会計年度で判定します。国税庁の記載要領によれば、2026年4月1日から2027年3月31日までに納付する場合は「508」です。
| 確認項目 | 本設例 |
|---|---|
| 様式 | 給与所得・退職所得等(一般) |
| 年度 | 508 |
| 納期等の区分 | 令和9年1月 |
| 記載行 | 税理士等の報酬 |
| 法定納期限 | 2027年2月10日 |
2.支給額と税額を計算する
国税庁タックスアンサーNo.2801によると、司法書士等への1回の支払では、源泉徴収の対象額から10,000円を差し引いた残額に10.21%を乗じ、1円未満を切り捨てます。
報酬と消費税等が請求書で明確に区分されているため、本設例では消費税等を除いた60,000円を源泉徴収の対象とする取扱いを採ります。
(60,000円-10,000円)×10.21%=5,105円
| 金額 | 内容 | 計算書での扱い |
|---|---|---|
| 66,000円 | 請求合計 | 支給額には記載しない |
| 60,000円 | 源泉徴収の対象とした報酬 | 支給額 |
| 10,000円 | 税額計算上の控除額 | 計算書には記載しない |
| 5,105円 | 源泉徴収額 | 税額、本税、合計額 |
| 60,895円 | Bへの振込額 | 支給額には記載しない |
3.「税理士等の報酬」欄と摘要を記入する
| 欄 | 記載内容 |
|---|---|
| 支払年月日 | 令和9年1月20日 |
| 人員 | 1人 |
| 支給額 | 60,000円 |
| 税額 | 5,105円 |
| 摘要 | 紙の様式では「司」、e-Taxでは「(司)」と表示し、人員1人、支給額60,000円、税額5,105円を記載 |
| 本税 | 5,105円 |
| 合計額 | 5,105円 |
国税庁の記載要領は、司法書士、土地家屋調査士、海事代理士への報酬について、摘要欄に「司」と表示し、その人員、支給額、税額を記載するよう定めています。e-Taxソフト(WEB版)の入力要領では「(司)」と表示して各数値を入力します。
4.2027年支払でも防衛特別所得税を含まない理由
2027年1月1日以後に生ずる所得には防衛特別所得税が適用され、復興特別所得税の税率も改正されます。ただし、適用時期は単純な支払日だけで決まるものではありません。
本設例では、Bの事業所得に当たる役務の提供が2026年12月25日に完了しています。現金主義の特例を選択していないという前提では、所得税基本通達36-8により2026年中に生じた所得として扱います。
したがって、2027年1月に支払っても、本設例で徴収するのは所得税及び復興特別所得税です。国税庁の現行様式にも、2026年12月以前に生じた所得の支払に使用する場合は、税目表示を「所得税及び復興特別所得税」と読み替える旨が記載されています。
なお、所得税率10%の場合、改正前後の合計税率はいずれも10.21%です。このため、本設例の税額5,105円は変わりません。実務では、契約内容、業務完了日、検収条件などから所得の生じた時期を確認する必要があります。
5.e-Taxの送信と納付は別の手続
e-Taxソフト(WEB版)では、「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般)」を選択し、「税理士等の報酬」の各項目を入力します。
- 計算書データを作成する
- データを送信し、通知を確認する
- 利用可能な納付方法で5,105円を納付する
- 納付結果と預金の出金を照合する
e-Taxの留意事項にも、計算書データを送信しただけでは納付されたことにならないと明記されています。送信時には仕訳を行わず、実際の納付日に記帳します。
6.納付仕訳と残高を照合する
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 預り金(源泉所得税等) | 5,105円 | 普通預金 | 5,105円 |
借方と貸方はいずれも5,105円で一致します。
| 確認項目 | 計算 | 納付後残高 |
|---|---|---|
| 普通預金 | 39,105円-5,105円 | 34,000円 |
| 預り金(源泉所得税等) | 5,105円-5,105円 | 0円 |
7.5日練習
先に自分で答えを出し、該当する本文の表で確認してください。
| 日 | 課題 | 確認箇所 |
|---|---|---|
| 1日目 | 使用する計算書と記載行を選ぶ | 第1節 |
| 2日目 | 年度、納期等の区分、納期限を判定する | 第1節 |
| 3日目 | 支給額と源泉徴収税額を計算する | 第2節 |
| 4日目 | 摘要欄を完成させる | 第3節 |
| 5日目 | 納付仕訳と納付後残高を計算する | 第6節 |
