第58回では売上原価を扱いました。
今回はその発展論点である商品評価損と低価法です。
簿記2級では頻出、そして税理士試験でも当然の前提知識になります。
在庫は「利益を操作しやすい」項目です。だからこそルールが厳格です。
1.なぜ評価損が必要なのか?
例えば、100万円で仕入れた商品が、
決算日に市場価格70万円まで下落していた場合、
100万円のまま資産にしてよいでしょうか?
→ 答えはNOです。
資産は「回収可能な金額」で表示します。
そこで登場するのが低価法です。
2.低価法とは?
原価 と 時価 の いずれか低い方で評価する
| 原価 | 仕入れたときの金額 |
| 時価 | 決算日の市場価格 |
3.仕訳の形
原価100万円、時価70万円の場合:
評価損=30万円
(借)商品評価損 300,000 /(貸)商品 300,000
→ 商品は70万円に減額されます。
4.利益への影響
評価損は費用です。
つまり、利益は減ります。
これは「将来の損失を今のうちに反映する」という保守主義の考え方です。
5.練習問題
問題1
期末商品の帳簿価額は500,000円。
時価は460,000円である。
必要な決算整理仕訳をしなさい。
解答を見る
評価損=40,000円
(借)商品評価損 40,000 /(貸)商品 40,000
問題2(利益計算)
売上 2,000,000円
売上原価 1,300,000円
その他費用 400,000円
商品評価損 100,000円
当期純利益はいくらか。
解答を見る
利益=2,000,000−1,300,000−400,000−100,000
=200,000円
6.よくあるミス
- 時価が上がっている場合に増額してしまう(※上げない)
- 評価損を売上原価に混ぜてしまう
- 帳簿価額と時価の比較を逆にする
低価法は「損だけ認める」。
利益は前倒しで計上しません。
シリーズについて
現在は「税理士スタートガイド」シリーズとして進めています。
この簿記入門シリーズは、第60回〜第65回あたりで一区切りとし、
次のシリーズへ移行予定です。
次シリーズでは、
・税理士試験の全体像
・科目選択戦略
・簿記から財務諸表論への接続
など、より実戦的な内容に入ります。
次回予告
第60回では、引当金の総整理(貸倒引当金以外)を扱います。
退職給付引当金・修繕引当金など、発展論点へ入ります。
