第57回 簿記入門(57)決算総合トレーニング ― 手を動かして完成させる

ここまでで、
・決算整理仕訳
・精算表
・損益振替
を学びました。

今回は完全に練習用です。
読むのではなく、必ず紙に書いて解いてください。


【総合問題】

Ⅰ.決算整理前残高試算表

現金 400,000
売掛金 1,000,000
備品 600,000
貸倒引当金(貸方) 30,000
買掛金(貸方) 350,000
資本金(貸方) 1,200,000
売上(貸方) 2,000,000
仕入 1,200,000
給料 300,000

Ⅱ.決算整理事項

  1. 売掛金の2%を貸倒引当金として設定する。
  2. 備品は耐用年数5年、残存価額0、定額法(間接法)。
  3. 未払水道光熱費 40,000円。

【STEP1】決算整理仕訳を書きなさい

① 貸倒引当金

必要額:_______________

差額:_______________

仕訳:_______________

② 減価償却

年間償却額:_______________

仕訳:_______________

③ 未払費用

仕訳:_______________


【STEP2】当期純利益を計算しなさい

売上 2,000,000
− 仕入 1,200,000
− 給料 300,000
− (   )
− (   )
= ________円


【STEP3】貸借対照表を完成させなさい

資産

  • 現金 400,000
  • 売掛金 1,000,000 − (   )=(   )
  • 備品 600,000 − (   )=(   )

資産合計:________円

負債

  • 買掛金 350,000
  • 未払費用 (   )

負債合計:________円

純資産

  • 資本金 1,200,000
  • 当期純利益 (   )

純資産合計:________円


【STEP4】損益振替を書きなさい

① 売上の振替:_______________

② 費用の振替:_______________

③ 損益の振替:_______________


解答・解説

クリックして確認する

STEP1

① 必要額=1,000,000×2%=20,000

すでに30,000ある → 10,000過大 → 取崩

(借)貸倒引当金 10,000 /(貸)貸倒引当金戻入 10,000

② 600,000÷5=120,000

(借)減価償却費 120,000 /(貸)減価償却累計額 120,000

③ (借)水道光熱費 40,000 /(貸)未払費用 40,000

STEP2

売上 2,000,000
− 仕入 1,200,000
− 給料 300,000
− 減価償却費 120,000
− 水道光熱費 40,000
+ 貸倒引当金戻入 10,000
= 350,000円

STEP3

売掛金純額=1,000,000−20,000=980,000

備品帳簿価額=600,000−120,000=480,000

資産合計=400,000+980,000+480,000=1,860,000

負債合計=350,000+40,000=390,000

純資産合計=1,200,000+350,000=1,550,000

STEP4

①(借)売上 2,000,000 /(貸)損益 2,000,000

②(借)損益 1,650,000 /(貸)仕入 1,200,000
                給料 300,000
                減価償却費 120,000
                水道光熱費 40,000

③(借)損益 350,000 /(貸)繰越利益剰余金 350,000


今回の狙い

  • 数字を「追える」こと
  • 戻入が出ても慌てないこと
  • 利益計算を確実にできること

総合問題は「慣れ」です。
同じ形式を何度も解きましょう。

第57回 簿記入門(57)決算総合問題 ― 試算表から締め切りまで一気に解く

第54回〜第56回で、
・決算整理仕訳
・精算表
・損益振替
を個別に学びました。

今回はそれを全部まとめて解く総合問題です。
簿記2級では「部分点の積み重ね」が重要です。流れを止めずに進める練習をしましょう。


【問題】

残高試算表(決算整理前)

  • 現金 300,000円
  • 売掛金 800,000円
  • 備品 600,000円
  • 貸倒引当金 20,000円(貸方)
  • 買掛金 250,000円(貸方)
  • 資本金 1,000,000円(貸方)
  • 売上 1,500,000円(貸方)
  • 仕入 900,000円
  • 給料 200,000円

決算整理事項

  1. 売掛金の3%を貸倒引当金として設定する。
  2. 備品は耐用年数5年、残存価額0、定額法(間接法)。
  3. 当期未払いの水道光熱費 30,000円。

ステップ1:決算整理仕訳

① 貸倒引当金

必要額=800,000×3%=24,000円
すでに20,000円ある → 不足4,000円

(借)貸倒引当金繰入 4,000 /(貸)貸倒引当金 4,000


② 減価償却

600,000÷5=120,000円

(借)減価償却費 120,000 /(貸)減価償却累計額 120,000


③ 未払費用

(借)水道光熱費 30,000 /(貸)未払費用 30,000


ステップ2:損益計算書を作る

売上 1,500,000
− 仕入 900,000
− 給料 200,000
− 貸倒引当金繰入 4,000
− 減価償却費 120,000
− 水道光熱費 30,000
= 利益 246,000円


ステップ3:貸借対照表に反映

資産

  • 現金 300,000
  • 売掛金 800,000 − 貸倒引当金 24,000 = 776,000
  • 備品 600,000 − 減価償却累計額 120,000 = 480,000

資産合計:1,556,000円

負債

  • 買掛金 250,000
  • 未払費用 30,000

負債合計:280,000円

純資産

  • 資本金 1,000,000
  • 当期純利益 246,000

純資産合計:1,246,000円

負債+純資産=280,000+1,246,000=1,526,000円

※計算過程の確認を必ず行うこと。総合問題では数字ミスが最大の敵です。


ステップ4:損益振替

①(借)売上 1,500,000 /(貸)損益 1,500,000

②(借)損益 1,254,000 /(貸)仕入 900,000
              給料 200,000
              貸倒引当金繰入 4,000
              減価償却費 120,000
              水道光熱費 30,000

③(借)損益 246,000 /(貸)繰越利益剰余金 246,000


練習問題

問題

売上 1,000,000円、仕入 700,000円、給料 100,000円。
備品 300,000円(3年償却、残存0)、未払費用 20,000円。
当期利益はいくらか。

解答を見る

減価償却=300,000÷3=100,000
利益=1,000,000−700,000−100,000−100,000−20,000
=80,000円


まとめ

  • 決算整理で「正しい利益」を出す
  • 精算表で流れを整理する
  • 損益振替で締め切る

ここまで来れば、簿記2級の決算問題は怖くありません。
次回からは商業簿記の応用論点に入ります。

第56回 簿記入門(56)損益振替と繰越処理 ― 決算の最後を固める

第55回では精算表まで進みました。
今回はその最後の仕上げ、損益振替と繰越処理です。

ここが理解できると、「1年の流れ」が一本につながります。
試験でも頻出ですので、構造から押さえましょう。


1. 損益振替とは何か?

1年間で発生した収益と費用をゼロにする作業です。
その差額(利益または損失)を繰越利益剰余金へ移します。

ステップ やること
① 収益の振替 収益を「損益」勘定へ移す
② 費用の振替 費用を「損益」勘定へ移す
③ 損益の振替 損益の残高(=利益または損失)を繰越利益剰余金へ

2. 具体例で理解する

【資料】

  • 売上 1,000,000円
  • 仕入 600,000円
  • 給料 200,000円

利益=1,000,000−600,000−200,000=200,000円


① 収益の振替

(借)売上 1,000,000 /(貸)損益 1,000,000

→ 売上はゼロになる。


② 費用の振替

(借)損益 800,000 /(貸)仕入 600,000
            給料 200,000

→ 費用もゼロになる。


③ 損益の振替(利益の場合)

損益の残高は貸方200,000(利益)。

(借)損益 200,000 /(貸)繰越利益剰余金 200,000

→ 損益もゼロになり、利益は純資産へ。


3. 損失の場合は?

もし費用が収益より多ければ「損失」です。

例:売上 500,000円、費用 700,000円 → 損失 200,000円

(借)繰越利益剰余金 200,000 /(貸)損益 200,000

利益と損失で借貸が逆になる点に注意。


4. 繰越処理とは?

資産・負債・純資産は次の期に持ち越します。

(借)次期繰越 /(貸)各資産・負債 という形で締め切ります。

※実際の試験では精算表で表現されることが多いです。


5. 練習問題

問題1

次の科目について損益振替を行いなさい。

  • 売上 900,000円
  • 仕入 500,000円
  • 給料 250,000円
解答を見る

利益=900,000−500,000−250,000=150,000円

①(借)売上 900,000 /(貸)損益 900,000

②(借)損益 750,000 /(貸)仕入 500,000
               給料 250,000

③(借)損益 150,000 /(貸)繰越利益剰余金 150,000


問題2(損失の場合)

売上 400,000円、費用合計 600,000円の場合の損益振替をしなさい。

解答を見る

損失=200,000円

最後の仕訳:

(借)繰越利益剰余金 200,000 /(貸)損益 200,000


6. よくあるミス

  • 損益の残高の向きを間違える
  • 利益と損失で仕訳が逆になる点を忘れる
  • 費用を振替忘れする

損益振替は「ゼロにする作業」です。
すべての収益・費用が消えることを確認しましょう。


次回予告

第57回では、決算全体の総合問題を扱います。
試算表 → 整理 → 精算表 → 損益振替までを一気に解きます。

第55回 簿記入門(55)精算表を制する者が2級を制す

第54回では、決算整理仕訳を一つずつ確認しました。
第55回では、それらを精算表(せいさんひょう)にどう反映させるかを扱います。

簿記2級では、試算表 → 決算整理 → 精算表 → 財務諸表という流れを理解していないと得点が安定しません。
ここで「全体の流れ」を一気につなげましょう。


1. 精算表とは何か?

精算表とは、決算整理の結果をまとめて、損益計算書と貸借対照表を作るための表です。

意味
残高試算表 決算整理前の残高
整理記入 決算整理仕訳の金額を記入
損益計算書 収益・費用を集める
貸借対照表 資産・負債・純資産を集める

精算表は「橋渡し装置」です。
仕訳を覚えていても、精算表で流れが理解できていないと点数が伸びません。


2. 例題で理解する(小型精算表)

【資料】

  • 売上 1,200,000円
  • 仕入 700,000円
  • 給料 150,000円
  • 備品 600,000円
  • 貸倒引当金 10,000円(貸方)
  • 売掛金 500,000円

決算整理事項:

  • (1)売掛金の2%を貸倒引当金として設定する
  • (2)備品は耐用年数5年、残存価額0、定額法、間接法

ステップ1:整理仕訳を考える

①貸倒引当金

必要額=500,000×2%=10,000円

すでに貸方10,000円ある → 差額0円 → 仕訳不要

②減価償却

600,000÷5=120,000円

(借)減価償却費 120,000 /(貸)減価償却累計額 120,000


ステップ2:精算表に反映する

科目 試算表借方 試算表貸方 整理借方 整理貸方 損益計算書 貸借対照表
売上 1,200,000 1,200,000
仕入 700,000 700,000
給料 150,000 150,000
減価償却費 120,000 120,000
備品 600,000 600,000
減価償却累計額 120,000 120,000

3. 利益を計算する

売上 1,200,000
− 仕入 700,000
− 給料 150,000
− 減価償却費 120,000
= 利益 230,000円

この利益が貸借対照表の純資産へ入ります。


4. 練習問題

問題1

次の残高試算表がある。

  • 売上 800,000円
  • 仕入 500,000円
  • 給料 120,000円
  • 備品 300,000円

決算整理:備品は耐用年数3年、残存価額0、定額法。

①減価償却費はいくらか?
②当期利益はいくらか?

解答を見る

①300,000÷3=100,000円

利益=800,000−500,000−120,000−100,000
=80,000円


5. 精算表で落ちる人の共通点

  • 整理仕訳を列に入れ忘れる
  • 減価償却累計額を貸借対照表に回さない
  • 損益計算書と貸借対照表の区分が曖昧

精算表は「作業」ではなく構造理解です。


次回予告

第56回では、損益振替と繰越を扱います。
決算整理の最終段階、「締め切り作業」です。

第54回 簿記入門(54)決算整理仕訳の総合演習(売掛金・貸倒/前払・前受/減価償却/未払・未収)

第54回は、決算整理仕訳で頻出の論点を「一気にまとめて」解ける形にします。
試験では、論点をバラで覚えていても、決算の場面で同時に出てくると混乱しがちです。ここでは典型パターンを表(考え方)→仕訳(結論)→練習問題の順で固めます。


1. 決算整理でよく出る5セット

論点 決算でやること(要点) 典型仕訳(代表)
貸倒引当金 売掛金などの回収不能に備えて、期末に引当金残高を「必要額」に合わせる (借)貸倒引当金繰入 xxx /(貸)貸倒引当金 xxx
前払・前受 支払ったけど「次期の費用」→前払へ/受け取ったけど「次期の収益」→前受へ (借)前払費用 xxx /(貸)支払家賃 xxx
(借)受取家賃 xxx /(貸)前受収益 xxx
減価償却 固定資産の価値減少分を費用化(間接法なら累計額も増やす) (借)減価償却費 xxx /(貸)減価償却累計額 xxx
未払・未収 発生しているのに未処理→当期に計上(費用は未払、収益は未収) (借)支払利息 xxx /(貸)未払費用 xxx
(借)未収収益 xxx /(貸)受取利息 xxx
売上原価(仕入) 期首・期末棚卸で当期の売上原価を確定(ここは別回で徹底するが頻出) (借)仕入 期首棚卸高 /(貸)繰越商品 同額
(借)繰越商品 期末棚卸高 /(貸)仕入 同額

この表を見て、「決算でやる目的」が言えるようになると、仕訳が安定します。


2. 例題で一気に確認(決算整理 4本)

例題(資料)

  • (1)当期末の売掛金残高は 800,000円。貸倒引当金は売掛金の2%を設定する。期首の貸倒引当金残高は10,000円(貸方残)
  • (2)12月分の家賃(毎月20,000円)を当期に12月1日に1年分前払いしており、「支払家賃」で処理している。
  • (3)備品(取得原価 600,000円、残存価額 0、耐用年数 5年)を期首に取得。間接法で定額法。
  • (4)当期12月分の水道光熱費 18,000円は未払いで、まだ処理していない。

考え方(手順)

論点 計算 ゴール
貸倒引当金 必要額=800,000×2%=16,000
差額=16,000−10,000=6,000
貸倒引当金を「16,000」に合わせる(不足分を追加)
前払家賃 当期の費用=20,000×1か月=20,000
前払い(次期分)=20,000×11か月=220,000
当期費用は1か月分だけ、残りは前払へ
減価償却 年間償却=600,000÷5=120,000 当期の減価償却費を計上(累計額も増やす)
未払費用 18,000は当期に発生している 当期費用にして、未払を立てる

仕訳(結論)

  1. 貸倒引当金:
    (借)貸倒引当金繰入 6,000 /(貸)貸倒引当金 6,000
  2. 前払家賃:
    (借)前払費用 220,000 /(貸)支払家賃 220,000
  3. 減価償却(間接法):
    (借)減価償却費 120,000 /(貸)減価償却累計額 120,000
  4. 未払費用:
    (借)水道光熱費 18,000 /(貸)未払費用 18,000

ポイント:決算整理は「当期の正しい利益」を出すために、
費用・収益の期間対応(当期のものは当期へ、次期のものは次期へ)を徹底する作業です。


3. 練習問題(本題)

ここからが第54回のメインです。問題 → 自力 → 解答(折りたたみ)で進めてください。

問題1(貸倒引当金:差額補充)

期末売掛金残高は 1,200,000円。貸倒引当金は売掛金の 3% を設定する。
期首の貸倒引当金残高は 25,000円(貸方残)である。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

必要額=1,200,000×3%=36,000円
差額=36,000−25,000=11,000円(不足)

(借)貸倒引当金繰入 11,000 /(貸)貸倒引当金 11,000

問題2(前払費用:支払時に費用処理している)

当期10月1日に、向こう1年分の保険料 120,000円を支払い、「支払保険料」で処理した。決算日は12月31日である。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

10/1〜12/31までの当期分は3か月。
月額=120,000÷12=10,000円
当期費用=10,000×3=30,000円
次期分(前払)=120,000−30,000=90,000円

(借)前払費用 90,000 /(貸)支払保険料 90,000

問題3(前受収益:受取時に収益処理している)

当期12月1日に、向こう3か月分の家賃 90,000円を受け取り、「受取家賃」で処理した。決算日は12月31日である。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

3か月分のうち、当期分は12月の1か月だけ。
月額=90,000÷3=30,000円
次期分(前受)=30,000×2=60,000円

(借)受取家賃 60,000 /(貸)前受収益 60,000

問題4(減価償却:定額法・間接法)

期首に車両運搬具(取得原価 1,000,000円、残存価額 100,000円、耐用年数 9年)を取得した。定額法・間接法で決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

償却対象=1,000,000−100,000=900,000円
年間償却=900,000÷9=100,000円

(借)減価償却費 100,000 /(貸)減価償却累計額 100,000

問題5(未払費用:当期分が未処理)

当期12月分の給料 320,000円は、翌期1月10日に支払う予定で、当期はまだ仕訳していない。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

当期に発生している費用なので当期に計上する。

(借)給料 320,000 /(貸)未払費用 320,000

問題6(未収収益:当期分が未処理)

当期12月分の受取利息 6,500円は翌期に受け取る予定で、当期はまだ仕訳していない。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

当期に発生している収益なので当期に計上する。

(借)未収収益 6,500 /(貸)受取利息 6,500


4. 仕上げ:決算整理で迷わない「自問」

迷ったときの質問 答えの方向性
これは「当期の費用/収益」? 当期なら当期に計上。未処理なら未払・未収で拾う。
支払(受取)は済んでる? 支払済で次期分が混ざる→前払。受取済で次期分が混ざる→前受。
残高を「必要額」に合わせる論点? 貸倒引当金などは「期末のあるべき残高」に合わせて差額を仕訳する。
固定資産の価値減少は反映した? 減価償却を忘れると利益が大きく見える。毎期の定番チェック。

次回は、この決算整理を実際の決算(試算表→整理→精算表)につなげる形で、
「どこで、何を、どう直すか」を見える化していきます。

第53回 決算整理ミニ総合問題①(基礎完成編)

ここまで決算整理仕訳を一通り学んできました。

今回は、実戦形式で確認してみましょう。

紙とペンを用意してください。
本試験と同じように、時間を区切って考えてみましょう。


【ミニ総合問題】

決算日は12月31日である。次の事項について、決算整理仕訳を答えなさい。

  1. 12月1日に1年分の保険料120,000円を現金で支払っている。
  2. 12月分の水道光熱費8,000円は翌年1月に支払う予定である。
  3. 備品300,000円(耐用年数5年、定額法、残存価額0円)を10月1日に取得している。

制限時間:3分

――ここで一度スクロールを止めてください。


【解答・解説】

① 保険料(前払費用)

1年分支払ったが、使ったのは1か月分だけ。

120,000 × 11/12 = 110,000円

仕訳
前払費用 110,000 / 保険料 110,000

→ 来期分を資産に振り替えます。


② 水道光熱費(未払費用)

使ったが、まだ払っていない。

仕訳
水道光熱費 8,000 / 未払費用 8,000

→ 足りない費用を追加します。


③ 減価償却

年間償却額:

300,000 ÷ 5年 = 60,000円

10月1日取得なので3か月分。

60,000 × 3/12 = 15,000円

仕訳
減価償却費 15,000 / 備品減価償却累計額 15,000


【この問題で確認したいこと】

  • 前払は「払いすぎ」
  • 未払は「足りない」
  • 減価償却は「期間配分」

すべて、期間のズレを修正しているだけです。


【実戦ポイント】

この3問は、本試験なら確実に取りたいレベルです。

もし3分を超えたなら、
まだ処理スピードを上げる余地があります。

読んで理解するのではなく、
時間内に処理できるかが重要です。


まとめ

  • 総合問題は基本の集合体
  • 期間のズレを意識する
  • 必ず時間を測る

次回は、
👉 「固定資産売却を含むミニ総合問題②」
に進みます。

第52回 合格する人の勉強法と落ちる人の勉強法 ― 実例ミニクイズ付き

ここまで、仕訳・決算整理・固定資産処分・試験戦略まで見てきました。

では最後に差がつくのは何か。

「勉強のやり方」

同じ教材を使っても、
合格する人と落ちる人には明確な違いがあります。


1.落ちる人の勉強法

  • ノートをきれいにまとめる
  • テキストを何度も読む
  • 「分かった気」になる

しかし、本試験で必要なのは、

「思い出せる力」

読むだけでは、思い出せるようにはなりません。


2.合格する人の勉強法

  • 必ず手を動かす
  • 時間を測る
  • 間違いノートを作る

そして最大の特徴は、

「問題を解く時間の方が長い」

インプットよりアウトプットが多いのです。


3.ミニ実例クイズ

では、実際に考えてみましょう。

【問題】
12月1日に1年分の保険料120,000円を現金で支払った。
決算日は12月31日。

問:決算整理仕訳はいくらか?

(30秒以内で考えてください)


4.解答と考え方

まず日本語に戻します。

  • 1年分払った
  • 使ったのは1か月分だけ

→ 11か月分は来期の費用

計算
120,000 × 11/12 = 110,000円

決算整理仕訳

前払費用 110,000 / 保険料 110,000


5.なぜこのクイズが重要か

読んでいるだけだと、
「簡単」と思います。

しかし、時間を区切ると、
意外と迷いませんでしたか?

本試験は、
「時間制限付きアウトプット試験」です。


6.今日から変えること

  • 読む時間を減らす
  • 解く時間を増やす
  • 必ず時間を測る

これだけで、
勉強の質は大きく変わります。


まとめ

  • インプット中心は危険
  • アウトプット中心に切り替える
  • 時間制限を必ずつける

次回は、
👉 「本試験レベルの総合ミニ問題(実戦編)」
に挑戦してみましょう。

第51回 本試験で“時間切れ”を防ぐための解答戦略

知識もある。
仕訳も書ける。

それなのに、本試験で落ちる人の最大の原因は、

「時間切れ」

です。

税理士試験(簿記論・財表)は、
満点を取る試験ではありません。

今回は、
時間内に合格点を取り切る戦略
を整理します。


1.まず理解すべき事実

  • 全問完答は前提ではない
  • 難問は必ず混ざる
  • 合格者も取りこぼしている

つまり、

「全部解こうとする人ほど落ちる」

これが現実です。


2.試験開始からの動き方

① 最初の5分は“読む時間”

いきなり書き始めないこと。

  • どの問題が重いか
  • 計算量が多いのはどれか
  • 明らかに取れる問題はどれか

これを見極めます。

② 取れる問題から処理する

売上・経費など、
迷いの少ない仕訳から書く

ここで得点を積み上げることで、
精神的に安定します。


3.やってはいけない行動

  • 最初の難問に30分かける
  • 1つの論点で止まる
  • 途中でやり直す

本試験で一番危険なのは、

「止まること」

止まった瞬間、時間は奪われます。


4.時間配分の基本モデル

たとえば120分の試験なら、

  • 最初の確認:5分
  • 確実に取れる問題:50〜60分
  • 重めの問題:40分
  • 見直し:10〜15分

あらかじめ配分を決めておくと、
焦りが減ります。


5.“合格点思考”とは何か

本試験では、

100点を目指す人より、70点を確実に取る人が受かる

難問は、全員が苦しんでいます。

そこで差はつきません。

差がつくのは、
基本論点を落とさない力です。


6.本番で安定する人の特徴

  • 処理順が決まっている
  • 完璧を求めない
  • 途中で感情に流されない

これは才能ではなく、
練習段階での意識で決まります。


まとめ

  • 全部解こうとしない
  • 止まらない
  • 基本を積み上げる

試験は「知識勝負」ではなく、
戦略勝負です。

次回は、
👉 「合格する人の勉強法と落ちる人の勉強法の決定的な違い」
に踏み込みます。

第50回 総合問題で点を取り切るための「仕訳の処理順」

ここまで、

  • 決算整理仕訳
  • 前払・未払・未収・前受
  • 減価償却
  • 固定資産の売却・除却

と、一通りの個別論点を見てきました。

しかし、本試験で問われるのは、
「知っているか」ではなく「処理できるか」です。

第50回では、
総合問題で崩れないための仕訳処理の順番
を、具体例を交えて整理します。


1.総合問題で点が取れない原因

できるはずなのに点が取れない人には、共通点があります。

  • 問題文を読んだ瞬間に仕訳を書き始める
  • 思いついたところから処理する
  • 途中で「何をやっているか」分からなくなる

これは知識不足ではなく、
「処理の順番」が決まっていないことが原因です。


2.総合問題の基本処理フロー

総合問題は、必ず次の順番で処理します。

  1. ① 通常取引(売上・仕入・経費)
  2. ② 決算整理仕訳
  3. ③ 固定資産の処分

この順番を崩さないだけで、
ミスは大幅に減ります。


3.実戦イメージで確認する

例)
当期中に次の取引があった。
・商品を掛けで販売した
・家賃を1年分前払いしている
・備品を売却している

この問題で、やってはいけないのは、
売却の仕訳から書き始めることです。

まずやるのは、

① 通常取引の処理

売上・仕入・経費など、
期中の動きを先に処理します。

② 決算整理仕訳

前払・未払・減価償却など、
期間のズレを修正します。

③ 固定資産の処分

最後に、
帳簿価額 → 売却価額 → 益損
の順で処理します。


4.時間を奪われないためのコツ

① 仕訳は完璧を狙わない

7割の確信で書いて進む方が、
結果的に得点は安定します。

② 計算は紙に残す

帳簿価額や月割計算は、
必ず書き出すことでミスを防げます。

③ 悩む論点ほど後回しにしない

決算整理や固定資産は、
後に回すほど不安が増える分野です。


5.この回までで身についたこと

  • 仕訳には「型」がある
  • 決算整理はズレの修正
  • 固定資産処分は帳簿価額がすべて

これらを順番どおり使えるようになった時、
総合問題は「怖い問題」ではなくなります。


まとめ

  • 総合問題は処理順が命
  • 通常取引 → 決算整理 → 処分
  • 思考を止めず、流れで処理する

次回は、
👉 「本試験で実際に起こる“時間切れ”を防ぐ解答戦略」
をテーマに、点数を最大化する考え方に踏み込みます。

第49回 固定資産の売却・除却・廃棄を実例で完全攻略する

減価償却が理解できたと思った直後に、
一気に難易度が上がるのが「固定資産の処分」です。

特に試験では、

  • 減価償却したあとに売却
  • 帳簿価額が残ったまま除却
  • 売却損・売却益の判定

といった複合パターンが頻出します。

今回は、
どんな問題でも同じ手順で処理できる考え方
を、実例で確認していきましょう。


1.固定資産処分の基本手順

どんなケースでも、必ずこの順番です。

  1. ① 減価償却累計額を確認する
  2. ② 帳簿価額を計算する
  3. ③ 処分価額と比較する

このを崩さなければ、迷いません。


2.売却の実例(売却益が出るケース)

例①
取得価額500,000円の備品を売却した。
減価償却累計額は300,000円。
売却代金は250,000円、代金は現金で受け取った。

ステップ① 帳簿価額

500,000 − 300,000 = 200,000円

ステップ② 売却価額と比較

  • 売却価額:250,000円
  • 帳簿価額:200,000円

→ 50,000円多く売れている → 売却益

仕訳

現金 250,000 / 備品 500,000
      備品減価償却累計額 300,000
      固定資産売却益 50,000


3.売却の実例(売却損が出るケース)

例②
取得価額600,000円の車両運搬具を売却した。
減価償却累計額は400,000円。
売却代金は150,000円。

帳簿価額

600,000 − 400,000 = 200,000円

比較

  • 売却価額:150,000円
  • 帳簿価額:200,000円

→ 50,000円足りない → 売却損

仕訳

現金 150,000 / 車両運搬具 600,000
固定資産売却損 50,000
      車両運搬具減価償却累計額 400,000


4.除却の実例(売れずに処分)

例③
取得価額400,000円の備品を除却した。
減価償却累計額は320,000円。

帳簿価額

400,000 − 320,000 = 80,000円

売却代金はありません。

→ 帳簿価額はそのまま除却損

仕訳

固定資産除却損 80,000 / 備品 400,000
      備品減価償却累計額 320,000


5.完全に償却済みの資産を処分する場合

例④
取得価額300,000円、減価償却累計額300,000円の備品を除却した。

帳簿価額

0円

→ 損も益も出ません。

仕訳

備品減価償却累計額 300,000 / 備品 300,000

このパターンは、
試験で「引っかけ」としてよく出ます


6.よくある失敗

  • いきなり仕訳を書き始める
  • 帳簿価額を出さずに益損を判断する
  • 累計額を書き忘れる

必ず、
帳簿価額 → 比較 → 仕訳
の順番を守りましょう。


まとめ

  • 固定資産処分は「型」で処理する
  • 最初に帳簿価額を出す
  • 売却価額との差が益か損

次回は、
👉 「商品売買と固定資産処分が同時に出る総合問題の解き方」
をテーマにすると、簿記論レベルの総合問題にかなり強くなります。