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第27回 簿記入門(20) 貸借対照表の読み方

第27回 簿記入門(20)
貸借対照表は会社の何を映しているのか
― 「持っている会社」かどうかを見抜く ―

前回(第26回)では、
損益計算書は「儲け方」を見る書類だということを学びました。

今回はもう一つの財務諸表、
貸借対照表(B/S)を読み解いていきます。


1. 貸借対照表とは何か

貸借対照表とは、

決算日時点での
会社の財産と借金の状態を示す書類

です。

損益計算書が「1年間の映画」だとすると、
貸借対照表は決算日の一瞬を切り取った写真だと言えます。


2. 貸借対照表の基本構造

貸借対照表は、次の3つで構成されています。

区分 意味
資産 会社が持っているもの
負債 将来返さなければならないもの
純資産 返さなくてよい自己資本

数式で表すと、

資産 = 負債 + 純資産

となります。


3. リアルな具体例で見る貸借対照表

では、実際のイメージをつかむために、
小さなデザイン会社の例を見てみましょう。

この会社は、

  • 社員3名
  • オフィスは賃貸
  • 主な仕事はWeb制作

という、ごく一般的な小規模企業です。

資産 金額(万円)
現金・預金 300
売掛金 200
備品 100
資産合計 600

負債・純資産 金額(万円)
買掛金 80
借入金 220
純資産 300
合計 600

この会社は、

借金よりも自己資本がしっかりあり、
比較的安定した財務状態

だと読み取れます。


4. 貸借対照表を見るときの実践的な視点

実務や試験では、次のような点がよく見られます。

見るポイント 何が分かるか
現金・預金の割合 すぐに使えるお金があるか
借入金の多さ 返済負担の重さ
純資産の厚み 会社の体力

利益が出ていても、
現金が少なければ資金繰りは苦しくなります。

だからこそ、

損益計算書と貸借対照表は
必ずセットで読む

必要があります。


まとめ

  • 貸借対照表は会社の「スナップ写真」
  • 資産・負債・純資産の関係を見る
  • 純資産は会社の体力
  • P/Lと合わせて読むのが基本

貸借対照表が読めるようになると、
会社の安定性や将来の不安が見えてきます。


次回予告(第28回)

次回は、
損益計算書と貸借対照表をセットで読む方法
を扱います。

2つの書類を行き来しながら、
数字の意味を立体的に理解していきます。

第26回 簿記入門(19) 損益計算書の読み方

第26回 簿記入門(19)
損益計算書は何を語っているのか
― 利益の正体を読み解く ―

前回(第25回)では、
決算とは何をしている作業なのかを全体像で整理しました。

今回からは、
決算で完成した財務諸表そのものの読み方に入ります。

まず扱うのは、
損益計算書(P/L)です。


1. 損益計算書とは何か

損益計算書とは、

一定期間(通常は1年)における
経営成績を表す書類

です。

ここで重要なのは、

損益計算書は「儲かったかどうか」だけでなく、
どうやって儲かったかを示している

という点です。


2. 損益計算書の基本構造

損益計算書は、
大きく見ると次のような構造になっています。

区分 意味
収益 売上など、稼いだ金額
費用 その収益を得るために使ったコスト
利益 収益 − 費用

この「利益」が、
段階的に計算されていくのが損益計算書の特徴です。


3. 利益には種類がある

損益計算書には、
実は複数の利益が登場します。

利益の種類 何が分かるか
売上総利益 本業の基本的な儲け
営業利益 本業全体の儲け
経常利益 通常の事業活動での儲け
当期純利益 最終的な儲け

上から順に見ていくことで、
利益がどう積み上がってきたか
が分かります。


4. 具体例で見る損益計算書の読み方

例えば、次のような会社を考えてみましょう。

項目 金額
売上 1,000
売上原価 600
販売費・一般管理費 300

この場合、

  • 売上総利益:1,000 − 600 = 400
  • 営業利益:400 − 300 = 100

となります。

ここを見ることで、

・原価は高すぎないか
・管理コストは適切か

といった経営の状態が見えてきます。


5. 損益計算書を読むときの視点

損益計算書を見るときは、
単に数字を追うのではなく、
次の視点を持つと理解が深まります。

見るポイント 意味
売上と売上原価の関係 商品・サービスの収益性
営業利益の水準 本業が安定しているか
経常利益と営業利益の差 本業以外の影響
当期純利益 最終的な成果

まとめ

  • 損益計算書は「成績表」
  • 利益は1種類ではない
  • 段階ごとに理由を考えて読む
  • 経営の強み・弱みが見えてくる

損益計算書が読めるようになると、
数字が単なる記号ではなく、会社の物語
として見えてきます。


次回予告(第27回)

次回は、
貸借対照表(B/S)の読み方を扱います。

「どれだけ持っている会社なのか」を、
構造から読み解いていきます。

第25回 簿記入門(18) 決算の全体像・総復習

第25回 簿記入門(18)
決算とは何をしているのか
― 仕訳から財務諸表までを一気に整理する ―

第20回から第24回にかけて、
私たちは決算の流れを段階的に見てきました。

今回はそれをまとめて、
決算とは結局、何をしている作業なのか
を整理します。


1. 決算とは何のために行うのか

決算の目的は、ひとことで言えば次の通りです。

一定期間(通常は1年)の
経営成績財政状態
正しく外部に示すこと

そのために、日々の取引をそのまま集計するのではなく、
決算特有の調整を行います。


2. 決算の全体像(流れの整理)

決算は、次の順序で進みます。

段階 何をしているか
日々の仕訳 取引をその都度記録(現金に近い)
試算表 記録が正しいかを確認
決算整理仕訳 期間のズレを修正(発生主義)
精算表 決算作業全体を一覧で確認
財務諸表 結果を外部に報告

3. 決算整理でやっていること(再確認)

決算整理仕訳では、次のような処理を行いました。

処理内容 意味
減価償却 過去の支出を期間配分
前払・未払 費用の時間調整
前受・未収 収益の時間調整
引当金 将来リスクの見積り

これらはすべて、

現金ではなく「期間」で
利益を正しく計算するための処理

でした。


4. 精算表の役割(総整理)

精算表は、決算の中でも特に重要な位置にあります。

役割 意味
整理 決算整理の影響を横断的に確認
確認 計算ミス・転記ミスの防止
橋渡し 試算表から財務諸表への接続

5. 財務諸表で最終的に何が分かるのか

決算の最終成果物は、
損益計算書(P/L)貸借対照表(B/S)です。

書類 分かること
損益計算書 1年間でどれだけ儲かったか
貸借対照表 期末時点でどれだけの財産があるか

決算とは、
この2つを正しく作るための一連の作業
だと言えます。


まとめ

  • 決算は「特別な作業」ではない
  • 日々の取引を期間で整理し直すだけ
  • 精算表は決算の地図
  • 最終目的は正しい財務諸表

ここまで理解できれば、
決算は暗記ではなく、流れで説明できる
ようになります。


次回予告

次回からは、
決算で作った財務諸表の読み方に進みます。

数字の意味を、
経営の視点で読み取る練習をしていきます。

第24回 簿記入門(17) 精算表と財務諸表の関係

第24回 簿記入門(17)
精算表から財務諸表をどう読み取るのか
― 損益計算書・貸借対照表が完成する瞬間 ―

前回(第23回)では、
精算表は決算作業を一覧で確認するための表
だということを学びました。

今回は一歩進んで、
精算表のどこを見れば、損益計算書と貸借対照表が完成するのか
を整理します。


1. 精算表は「完成図」ではない

まず大切な前提を確認します。

精算表そのものが、
財務諸表ではありません。

精算表はあくまで、

  • 決算整理が正しく行われたか
  • 数字がどこへ流れていくか

を確認するための途中経過の表です。


2. 精算表の「右側」が重要

精算表は横に区分が並んでいますが、
実際に財務諸表になるのは、右側の欄です。

精算表の欄 役割
損益計算書欄 収益・費用を集め、当期純利益を計算する
貸借対照表欄 資産・負債・純資産を確定させる

左側(試算表・決算整理欄)は、
あくまで「そこへ至るまでの過程」です。


3. 損益計算書はどこから作るのか

損益計算書(P/L)は、

精算表の「損益計算書欄」だけを縦に集計して作る

書類です。

精算表の項目 損益計算書での扱い
収益の金額 上から順に合計される
費用の金額 収益から差し引かれる
差額 当期純利益(または損失)

つまり、
精算表の右側を見れば、すでにP/Lは完成している
ということです。


4. 貸借対照表はどこから作るのか

貸借対照表(B/S)も同じです。

精算表の「貸借対照表欄」だけを集計して作る

精算表の項目 B/Sでの意味
資産 期末時点で会社が持っている財産
負債 将来支払う義務
純資産 返済不要の自己資本

ここに、

損益計算書で確定した当期純利益が、
純資産として組み込まれる

ことで、
貸借対照表が完成します。


5. 精算表から財務諸表を読むコツ

精算表を見て混乱しないためには、
次の見方を意識すると効果的です。

見るポイント 理由
左右の合計が一致しているか 計算ミス・転記ミスの防止
P/L欄とB/S欄を分けて考える 役割の混同を防ぐ
利益がどこへ行ったか 損益と財産のつながりを理解する

まとめ

  • 精算表は「流れ」を確認する表
  • 右側の欄が財務諸表の元データ
  • P/Lで利益を確定し、B/Sへ引き継ぐ
  • 精算表が読めれば、決算は怖くない

ここまで理解できれば、
決算の全体像は完全に頭の中で再現できる
ようになります。


次回予告(第25回)

次回は、
決算の全体像を最初から最後まで総復習します。

仕訳 → 決算整理 → 精算表 → 財務諸表、
その流れを一気に整理します。

第23回 簿記入門(16) 精算表

第23回 簿記入門(16)
精算表とは何をしている表なのか
― 決算の全工程を1枚で確認する ―

前回(第22回)では、
損益振替・資本振替によって帳簿を締める意味を整理しました。

今回は、決算作業の流れを
1枚の表でまとめて確認できる道具
精算表を扱います。


1. 精算表とは何か

精算表とは、

試算表から決算整理、
そして損益計算書・貸借対照表までの流れを
一覧で確認するための表

です。

大切なポイントは、

  • 帳簿そのものではない
  • 試験や学習用に作られた「整理のための表」

だということです。


2. 精算表は何のために使うのか

決算では、

  • 決算整理仕訳
  • 損益計算書の作成
  • 貸借対照表の作成

と、多くの作業が連続します。

精算表は、それらを

「ちゃんとつながっているか」
「数字が合っているか」

を確認するためのチェックシートです。


3. 精算表の基本構造

精算表は、横に区分が並ぶ形をしています。

区分 内容
試算表 決算整理前の残高
決算整理 前払・未払・減価償却などの修正
損益計算書 収益・費用を集計
貸借対照表 資産・負債・純資産を集計

左から右へ見ていくことで、
決算の流れをそのまま追える構造になっています。


4. 具体例で見る精算表の考え方

例えば、次のような決算整理があったとします。

内容 処理
前払家賃が1か月分残っていた 前払費用として資産計上
給料の未払いがあった 未払費用として負債計上

これらは、

  • 決算整理欄で修正され
  • 損益計算書欄に費用が反映され
  • 貸借対照表欄に資産・負債が反映される

という流れで、
横方向につながっていきます


5. 精算表を見るときのコツ

精算表は、
細かい数字を追うよりも、次の点を見るのが大切です。

チェックポイント 見る理由
左右が必ず一致しているか 仕訳のミスを防ぐため
決算整理がどこに影響しているか 処理の意味を理解するため
P/LとB/Sに正しく振り分けられているか 財務諸表作成の確認

まとめ

  • 精算表は決算作業の「地図」
  • 帳簿ではなく、整理・確認のための表
  • 決算の流れを横に追えるのが最大の特徴
  • 理解できれば、決算は一気に楽になる

精算表を使って考えられるようになると、
決算は暗記ではなく流れで処理できるようになります。


次回予告(第24回)

次回は、
精算表と財務諸表の関係をもう一歩深めます。

精算表のどこを見れば、
損益計算書・貸借対照表が完成するのかを整理します。

第22回 簿記入門(15) 損益振替・資本振替

前回(第21回)では、
決算整理後試算表から、損益計算書と貸借対照表が作られる
ことを確認しました。

今回はその続きとして、
帳簿を締める作業、つまり
損益振替・資本振替を扱います。


1. 帳簿を「締める」とは何をすることか

「帳簿を締める」と聞くと、
特別な作業を想像しがちですが、やっていることはシンプルです。

1年間使った勘定科目をリセットし、
次の期をゼロから始められるようにする

そのために使われるのが、
損益振替資本振替です。


2. なぜ振替が必要なのか

収益や費用の勘定は、
1年間の成績を記録するためのものです。

そのまま残してしまうと、
翌年の成績と混ざってしまいます。

そこで、

  • 今年の収益・費用 → 今年で完結させる
  • 翌年はまたゼロから記録する

という区切りをつける必要があります。


3. 損益振替とは何か

損益振替とは、

すべての収益・費用を、
「損益」勘定に集める作業

です。

対象 意味
収益 すべて損益勘定へ振り替える
費用 すべて損益勘定へ振り替える

この結果、
損益勘定の残高=当期純利益(または損失)
になります。


4. 資本振替とは何か

資本振替は、損益振替の次のステップです。

損益勘定に集まった利益(または損失)を、
資本(純資産)へ移す作業

振替内容 意味
利益の場合 純資産が増える
損失の場合 純資産が減る

これにより、
今年の成績が、会社の財産に反映されます。


5. 損益振替と資本振替の関係(整理)

手順 何をしているか
損益振替 収益・費用をまとめて、当期の利益を確定
資本振替 確定した利益を、純資産に組み込む

この2つを行うことで、
帳簿は次の期に向けてリセットされます。


まとめ

  • 帳簿を締める=区切りをつける
  • 損益振替で「今年の成績」を確定
  • 資本振替で「会社の財産」に反映
  • 翌期はまたゼロからスタート

ここまで理解できれば、
決算の流れは完全に一本につながります。


次回予告(第23回)

次回は、
精算表とは何かを扱います。

決算整理・損益振替・財務諸表作成を、
1枚でまとめる道具として整理します。

第21回 簿記入門(14) 決算整理後試算表と財務諸表

第21回 簿記入門(14)
決算整理後試算表から財務諸表はどう作られるのか
― 損益計算書と貸借対照表の正体 ―

前回(第20回)では、
決算整理仕訳とは「期間のズレを直す作業」だということを学びました。

今回はいよいよ、その結果がどのように
損益計算書(P/L)貸借対照表(B/S)になるのかを見ていきます。


1. 決算整理後試算表とは何か

決算整理後試算表とは、

決算整理仕訳をすべて反映させたあとの
最終的な勘定科目の一覧表

です。

ここには、

  • 費用・収益(1年間の結果)
  • 資産・負債・純資産(期末の状態)

がすべてそろっています。


2. 決算整理後試算表の中身

決算整理後試算表は、大きく見ると次の2種類の科目でできています。

種類 内容
損益計算書項目 収益・費用(その年の成績)
貸借対照表項目 資産・負債・純資産(期末の財産状況)

3. 損益計算書はどう作られるのか

損益計算書(P/L)は、

決算整理後試算表のうち、
「収益」と「費用」だけを集めて作る

書類です。

区分 代表例
収益 売上、受取利息 など
費用 仕入、給料、減価償却費 など

収益 − 費用 = 当期純利益

これが、
1年間の経営成績です。


4. 貸借対照表はどう作られるのか

貸借対照表(B/S)は、

決算整理後試算表のうち、
「資産・負債・純資産」を集めて作る

書類です。

区分 意味
資産 会社が持っている財産
負債 将来支払う義務
純資産 返さなくてよい自己資本

ここに、
当期純利益が純資産として組み込まれることで、
貸借対照表は完成します。


5. 決算整理後試算表 → 財務諸表の流れ(整理)

段階 何をしているか
決算整理後試算表 すべての勘定科目を確定
損益計算書 収益・費用を抜き出して利益計算
貸借対照表 期末時点の財産状況を表示

まとめ

  • 決算整理後試算表は「すべての完成形」
  • P/Lは「成績表」
  • B/Sは「健康診断書」
  • 利益はP/Lで計算され、B/Sに引き継がれる

ここまで理解できれば、
決算の全体像は頭の中で1本につながります。


次回予告(第22回)

次回は、
帳簿を締めるとはどういうことかを扱います。

損益振替・資本振替の意味を、
暗記ではなく流れで整理します。

第20回 簿記入門(13) 決算整理仕訳・総まとめ

第20回 簿記入門(13)
決算整理仕訳とは何をしているのか
― 発生主義を完成させる最後の作業 ―

ここまでの回で、私たちは次のことを学んできました。

  • 減価償却:過去の支出を期間配分する
  • 引当金:将来のリスクを今期に見積もる
  • 前払費用・未払費用:費用の時間調整
  • 前受収益・未収収益:収益の時間調整

今回は、それらを一本につなぐ回です。


1. 決算整理仕訳とは何か

決算整理仕訳とは、

日々の取引だけではズレてしまう
「費用」と「収益」を、正しい期間に直すための仕訳

です。

日常の取引は、どうしても現金基準に引きずられます。
それを、決算のタイミングで発生主義に修正する。
それが決算整理仕訳の役割です。


2. なぜ決算で大量の仕訳を入れるのか

決算で突然、

  • 前払費用
  • 未払費用
  • 前受収益
  • 未収収益
  • 減価償却費
  • 各種引当金

がまとめて出てくるのは、偶然ではありません。

これらはすべて、

現金の動きと、
期間のズレを修正するための仕訳

だからです。


3. 決算整理仕訳でやっていること(整理)

決算整理仕訳の中身を、役割別に整理するとこうなります。

  • 期間配分
    └ 減価償却、前払費用
  • 未処理の確定費用・収益
    └ 未払費用、未収収益
  • 将来リスクの見積り
    └ 引当金
  • 先にもらった・払った分の調整
    └ 前受収益

見た目はバラバラでも、
目的はすべて同じです。

それは、

「この1年間の正しい利益を計算すること」


4. 【図】決算整理仕訳の全体像


【決算整理仕訳とは】


現金の動きではなく
「期間」
利益を確定させるための仕訳


5. 決算整理仕訳=利益調整ではない

初学者がよく誤解するのが、

決算整理仕訳は、
利益を操作するためのもの

という考え方です。

実際はその逆で、

利益を「ごまかさない」ために行う

のが決算整理仕訳です。


まとめ

  • 日々の取引=現金に近い
  • 決算整理仕訳=期間に修正
  • 目的は「正しい利益」の計算
  • 発生主義を完成させる最後の工程

ここまで理解できれば、
決算整理仕訳は暗記ではなく、意味で処理できるようになります。


次回予告(第21回)

次回は、
決算整理後試算表と財務諸表のつながりを扱います。

決算整理仕訳が、
どのように損益計算書・貸借対照表に反映されるのかを見ていきます。

第19回 簿記入門(12) なぜ「まだもらっていないお金」が収益になるのか― 前受収益・未収収益と発生主義

前回(第18回)では、
前払費用・未払費用を通じて、
「費用は現金ではなく、期間で決まる」という考え方を完成させました。

今回はその反対側です。

もうお金をもらったのに、収益じゃないもの
まだお金をもらっていないのに、収益になるもの

これを整理するのが、
前受収益未収収益です。


1. 前受収益 ― もらったが、まだ収益ではない

前受収益とは、

すでにお金を受け取っているが、まだサービスを提供していないもの
をいいます。

具体例

  • 翌月分・翌年分の家賃を先にもらった
  • 前受けした授業料・会費

現金は手元にありますが、
まだ仕事は終わっていません。

したがって、受け取った時点では収益ではなく「負債」として扱います。

(将来サービスを提供する義務があるためです)

サービスを提供した時点で、
はじめて収益に振り替えます。


2. 未収収益 ― 収益だが、まだもらっていない

未収収益は、前受収益とは逆です。

すでにサービスは提供しているが、まだお金を受け取っていないもの
を指します。

具体例

  • 利息収益(入金は翌期)
  • 月末締めで翌月請求する手数料収入

仕事は終わっている。
つまり、収益は今期に属しています

ただし入金がまだなので、
その分を資産(未収収益)として計上します。


3. 費用との完全な対称関係

ここまでで、気づいたかもしれません。

費用 収益
前払費用 前受収益
未払費用 未収収益

費用と収益は、
鏡写しの関係になっています。


4. 収益も「現金」ではなく「期間」で決まる

まとめると、収益についても判断基準は同じです。

  • 前受収益:先にもらったが、期間はこれから
  • 未収収益:期間は終わったが、入金はこれから

現金の有無は関係ありません。

「いつ、何を提供したか」
これが収益計上の基準です。


【図】収益計上の全体マップ(まとめ)


まとめ

  • 前受収益:もらったが、まだ収益でない
  • 未収収益:収益だが、まだもらっていない
  • 判断基準は常に「期間」

これで、
発生主義は費用・収益の両面から完成です。


次回予告(第20回)

次回は、
「決算整理仕訳とは何をしているのか」を総復習します。

なぜ決算で大量の仕訳を入れるのか。
その意味を、ここまでの知識で一本につなげます。