税理士スタートガイド」カテゴリーアーカイブ

第60回 税理士スタートガイド(最終章)― ここから実戦へ

ここまで「税理士スタートガイド」として、
簿記の基礎から決算・在庫評価まで扱ってきました。

第60回は一区切りです。

スタートガイドはここで完結します。


1.このシリーズで身につけたもの

  • 簿記の基本構造
  • 決算整理の流れ
  • 利益計算の仕組み
  • 売上原価・低価法

これで「土台」はできました。


2.しかし、税理士試験はここからが本番

税理士試験は単なる簿記の延長ではありません。

  • 制限時間との戦い
  • 計算量との戦い
  • 理論暗記との戦い
  • 精神力との戦い

つまり、

「知っている」から「解ける」へ

移行しなければなりません。


3.ここで自分に問いかけてほしいこと

□ 本当に税理士を目指す覚悟はあるか?
□ 3年以上の継続を受け入れられるか?
□ 毎日2時間以上の学習時間を確保できるか?

税理士試験は才能よりも「継続力」です。


4.次回からの新シリーズ

第61回からは

税理士合格ロードマップ

として、

  • 簿記論の攻略法
  • 財務諸表論との接続
  • 税法科目の戦略
  • 働きながら合格する方法

など、より実戦的な内容に入ります。


まとめ

スタートガイドは終了。

ここからは「受験生」としての物語が始まります。

本気でいきましょう。

第59回 簿記入門(59)商品評価損と低価法 ― 在庫は「高く」計上してはいけない

第58回では売上原価を扱いました。
今回はその発展論点である商品評価損と低価法です。

簿記2級では頻出、そして税理士試験でも当然の前提知識になります。
在庫は「利益を操作しやすい」項目です。だからこそルールが厳格です。


1.なぜ評価損が必要なのか?

例えば、100万円で仕入れた商品が、
決算日に市場価格70万円まで下落していた場合、

100万円のまま資産にしてよいでしょうか?

→ 答えはNOです。

資産は「回収可能な金額」で表示します。
そこで登場するのが低価法です。


2.低価法とは?

原価 と 時価 の いずれか低い方で評価する

原価 仕入れたときの金額
時価 決算日の市場価格

3.仕訳の形

原価100万円、時価70万円の場合:

評価損=30万円

(借)商品評価損 300,000 /(貸)商品 300,000

→ 商品は70万円に減額されます。


4.利益への影響

評価損は費用です。

つまり、利益は減ります。

これは「将来の損失を今のうちに反映する」という保守主義の考え方です。


5.練習問題

問題1

期末商品の帳簿価額は500,000円。
時価は460,000円である。
必要な決算整理仕訳をしなさい。

解答を見る

評価損=40,000円

(借)商品評価損 40,000 /(貸)商品 40,000


問題2(利益計算)

売上 2,000,000円
売上原価 1,300,000円
その他費用 400,000円
商品評価損 100,000円
当期純利益はいくらか。

解答を見る

利益=2,000,000−1,300,000−400,000−100,000
=200,000円


6.よくあるミス

  • 時価が上がっている場合に増額してしまう(※上げない)
  • 評価損を売上原価に混ぜてしまう
  • 帳簿価額と時価の比較を逆にする

低価法は「損だけ認める」。
利益は前倒しで計上しません。


シリーズについて

現在は「税理士スタートガイド」シリーズとして進めています。
この簿記入門シリーズは、第60回〜第65回あたりで一区切りとし、

次のシリーズへ移行予定です。

次シリーズでは、
・税理士試験の全体像
・科目選択戦略
・簿記から財務諸表論への接続
など、より実戦的な内容に入ります。


次回予告

第60回では、引当金の総整理(貸倒引当金以外)を扱います。
退職給付引当金・修繕引当金など、発展論点へ入ります。

第58回 簿記入門(58)売上原価を完全攻略する ― 期首・期末棚卸の本質

ここからは2級で確実に点を取るための重要論点に入ります。
今回は「売上原価」です。

決算問題で必ずと言っていいほど出題されます。
しかも、ここを落とすと利益が全部ずれます。


1. 売上原価とは何か?

売上原価とは、

当期に売れた商品の原価

です。

「仕入=売上原価」ではありません。


2. 売上原価の公式

期首商品棚卸高 + 当期仕入 - 期末商品棚卸高 = 売上原価


3. なぜこの式になるのか?

期首棚卸 前期から残っている商品
+ 仕入 当期に買った商品
- 期末棚卸 まだ売れていない商品

売れた分だけを取り出す計算です。


4. 具体例で理解する

期首棚卸高 300,000円
当期仕入 1,200,000円
期末棚卸高 400,000円

売上原価=300,000+1,200,000−400,000
=1,100,000円


5. 決算整理仕訳(仕入勘定で処理している場合)

① 期首棚卸の振替

(借)仕入 300,000 /(貸)繰越商品 300,000

② 期末棚卸の計上

(借)繰越商品 400,000 /(貸)仕入 400,000

→ 仕入勘定が売上原価になる


6. 練習問題

問題1

期首棚卸 200,000円、仕入 900,000円、期末棚卸 150,000円。
売上原価はいくらか。

解答を見る

200,000+900,000−150,000=950,000円


問題2(利益計算)

売上 1,500,000円。
期首棚卸 100,000円、仕入 800,000円、期末棚卸 200,000円。
その他費用 200,000円。
当期利益はいくらか。

解答を見る

売上原価=100,000+800,000−200,000=700,000
利益=1,500,000−700,000−200,000
=600,000円


7. 試験でよくあるミス

  • 期末棚卸を足してしまう
  • 期首棚卸を忘れる
  • 仕訳を逆にする

棚卸は売れていない分を除く作業です。


次回予告

第59回では、商品評価損と低価法を扱います。
売上原価の発展論点です。

第57回 簿記入門(57)決算総合トレーニング ― 手を動かして完成させる

ここまでで、
・決算整理仕訳
・精算表
・損益振替
を学びました。

今回は完全に練習用です。
読むのではなく、必ず紙に書いて解いてください。


【総合問題】

Ⅰ.決算整理前残高試算表

現金 400,000
売掛金 1,000,000
備品 600,000
貸倒引当金(貸方) 30,000
買掛金(貸方) 350,000
資本金(貸方) 1,200,000
売上(貸方) 2,000,000
仕入 1,200,000
給料 300,000

Ⅱ.決算整理事項

  1. 売掛金の2%を貸倒引当金として設定する。
  2. 備品は耐用年数5年、残存価額0、定額法(間接法)。
  3. 未払水道光熱費 40,000円。

【STEP1】決算整理仕訳を書きなさい

① 貸倒引当金

必要額:_______________

差額:_______________

仕訳:_______________

② 減価償却

年間償却額:_______________

仕訳:_______________

③ 未払費用

仕訳:_______________


【STEP2】当期純利益を計算しなさい

売上 2,000,000
− 仕入 1,200,000
− 給料 300,000
− (   )
− (   )
= ________円


【STEP3】貸借対照表を完成させなさい

資産

  • 現金 400,000
  • 売掛金 1,000,000 − (   )=(   )
  • 備品 600,000 − (   )=(   )

資産合計:________円

負債

  • 買掛金 350,000
  • 未払費用 (   )

負債合計:________円

純資産

  • 資本金 1,200,000
  • 当期純利益 (   )

純資産合計:________円


【STEP4】損益振替を書きなさい

① 売上の振替:_______________

② 費用の振替:_______________

③ 損益の振替:_______________


解答・解説

クリックして確認する

STEP1

① 必要額=1,000,000×2%=20,000

すでに30,000ある → 10,000過大 → 取崩

(借)貸倒引当金 10,000 /(貸)貸倒引当金戻入 10,000

② 600,000÷5=120,000

(借)減価償却費 120,000 /(貸)減価償却累計額 120,000

③ (借)水道光熱費 40,000 /(貸)未払費用 40,000

STEP2

売上 2,000,000
− 仕入 1,200,000
− 給料 300,000
− 減価償却費 120,000
− 水道光熱費 40,000
+ 貸倒引当金戻入 10,000
= 350,000円

STEP3

売掛金純額=1,000,000−20,000=980,000

備品帳簿価額=600,000−120,000=480,000

資産合計=400,000+980,000+480,000=1,860,000

負債合計=350,000+40,000=390,000

純資産合計=1,200,000+350,000=1,550,000

STEP4

①(借)売上 2,000,000 /(貸)損益 2,000,000

②(借)損益 1,650,000 /(貸)仕入 1,200,000
                給料 300,000
                減価償却費 120,000
                水道光熱費 40,000

③(借)損益 350,000 /(貸)繰越利益剰余金 350,000


今回の狙い

  • 数字を「追える」こと
  • 戻入が出ても慌てないこと
  • 利益計算を確実にできること

総合問題は「慣れ」です。
同じ形式を何度も解きましょう。

第57回 簿記入門(57)決算総合問題 ― 試算表から締め切りまで一気に解く

第54回〜第56回で、
・決算整理仕訳
・精算表
・損益振替
を個別に学びました。

今回はそれを全部まとめて解く総合問題です。
簿記2級では「部分点の積み重ね」が重要です。流れを止めずに進める練習をしましょう。


【問題】

残高試算表(決算整理前)

  • 現金 300,000円
  • 売掛金 800,000円
  • 備品 600,000円
  • 貸倒引当金 20,000円(貸方)
  • 買掛金 250,000円(貸方)
  • 資本金 1,000,000円(貸方)
  • 売上 1,500,000円(貸方)
  • 仕入 900,000円
  • 給料 200,000円

決算整理事項

  1. 売掛金の3%を貸倒引当金として設定する。
  2. 備品は耐用年数5年、残存価額0、定額法(間接法)。
  3. 当期未払いの水道光熱費 30,000円。

ステップ1:決算整理仕訳

① 貸倒引当金

必要額=800,000×3%=24,000円
すでに20,000円ある → 不足4,000円

(借)貸倒引当金繰入 4,000 /(貸)貸倒引当金 4,000


② 減価償却

600,000÷5=120,000円

(借)減価償却費 120,000 /(貸)減価償却累計額 120,000


③ 未払費用

(借)水道光熱費 30,000 /(貸)未払費用 30,000


ステップ2:損益計算書を作る

売上 1,500,000
− 仕入 900,000
− 給料 200,000
− 貸倒引当金繰入 4,000
− 減価償却費 120,000
− 水道光熱費 30,000
= 利益 246,000円


ステップ3:貸借対照表に反映

資産

  • 現金 300,000
  • 売掛金 800,000 − 貸倒引当金 24,000 = 776,000
  • 備品 600,000 − 減価償却累計額 120,000 = 480,000

資産合計:1,556,000円

負債

  • 買掛金 250,000
  • 未払費用 30,000

負債合計:280,000円

純資産

  • 資本金 1,000,000
  • 当期純利益 246,000

純資産合計:1,246,000円

負債+純資産=280,000+1,246,000=1,526,000円

※計算過程の確認を必ず行うこと。総合問題では数字ミスが最大の敵です。


ステップ4:損益振替

①(借)売上 1,500,000 /(貸)損益 1,500,000

②(借)損益 1,254,000 /(貸)仕入 900,000
              給料 200,000
              貸倒引当金繰入 4,000
              減価償却費 120,000
              水道光熱費 30,000

③(借)損益 246,000 /(貸)繰越利益剰余金 246,000


練習問題

問題

売上 1,000,000円、仕入 700,000円、給料 100,000円。
備品 300,000円(3年償却、残存0)、未払費用 20,000円。
当期利益はいくらか。

解答を見る

減価償却=300,000÷3=100,000
利益=1,000,000−700,000−100,000−100,000−20,000
=80,000円


まとめ

  • 決算整理で「正しい利益」を出す
  • 精算表で流れを整理する
  • 損益振替で締め切る

ここまで来れば、簿記2級の決算問題は怖くありません。
次回からは商業簿記の応用論点に入ります。

第56回 簿記入門(56)損益振替と繰越処理 ― 決算の最後を固める

第55回では精算表まで進みました。
今回はその最後の仕上げ、損益振替と繰越処理です。

ここが理解できると、「1年の流れ」が一本につながります。
試験でも頻出ですので、構造から押さえましょう。


1. 損益振替とは何か?

1年間で発生した収益と費用をゼロにする作業です。
その差額(利益または損失)を繰越利益剰余金へ移します。

ステップ やること
① 収益の振替 収益を「損益」勘定へ移す
② 費用の振替 費用を「損益」勘定へ移す
③ 損益の振替 損益の残高(=利益または損失)を繰越利益剰余金へ

2. 具体例で理解する

【資料】

  • 売上 1,000,000円
  • 仕入 600,000円
  • 給料 200,000円

利益=1,000,000−600,000−200,000=200,000円


① 収益の振替

(借)売上 1,000,000 /(貸)損益 1,000,000

→ 売上はゼロになる。


② 費用の振替

(借)損益 800,000 /(貸)仕入 600,000
            給料 200,000

→ 費用もゼロになる。


③ 損益の振替(利益の場合)

損益の残高は貸方200,000(利益)。

(借)損益 200,000 /(貸)繰越利益剰余金 200,000

→ 損益もゼロになり、利益は純資産へ。


3. 損失の場合は?

もし費用が収益より多ければ「損失」です。

例:売上 500,000円、費用 700,000円 → 損失 200,000円

(借)繰越利益剰余金 200,000 /(貸)損益 200,000

利益と損失で借貸が逆になる点に注意。


4. 繰越処理とは?

資産・負債・純資産は次の期に持ち越します。

(借)次期繰越 /(貸)各資産・負債 という形で締め切ります。

※実際の試験では精算表で表現されることが多いです。


5. 練習問題

問題1

次の科目について損益振替を行いなさい。

  • 売上 900,000円
  • 仕入 500,000円
  • 給料 250,000円
解答を見る

利益=900,000−500,000−250,000=150,000円

①(借)売上 900,000 /(貸)損益 900,000

②(借)損益 750,000 /(貸)仕入 500,000
               給料 250,000

③(借)損益 150,000 /(貸)繰越利益剰余金 150,000


問題2(損失の場合)

売上 400,000円、費用合計 600,000円の場合の損益振替をしなさい。

解答を見る

損失=200,000円

最後の仕訳:

(借)繰越利益剰余金 200,000 /(貸)損益 200,000


6. よくあるミス

  • 損益の残高の向きを間違える
  • 利益と損失で仕訳が逆になる点を忘れる
  • 費用を振替忘れする

損益振替は「ゼロにする作業」です。
すべての収益・費用が消えることを確認しましょう。


次回予告

第57回では、決算全体の総合問題を扱います。
試算表 → 整理 → 精算表 → 損益振替までを一気に解きます。

第55回 簿記入門(55)精算表を制する者が2級を制す

第54回では、決算整理仕訳を一つずつ確認しました。
第55回では、それらを精算表(せいさんひょう)にどう反映させるかを扱います。

簿記2級では、試算表 → 決算整理 → 精算表 → 財務諸表という流れを理解していないと得点が安定しません。
ここで「全体の流れ」を一気につなげましょう。


1. 精算表とは何か?

精算表とは、決算整理の結果をまとめて、損益計算書と貸借対照表を作るための表です。

意味
残高試算表 決算整理前の残高
整理記入 決算整理仕訳の金額を記入
損益計算書 収益・費用を集める
貸借対照表 資産・負債・純資産を集める

精算表は「橋渡し装置」です。
仕訳を覚えていても、精算表で流れが理解できていないと点数が伸びません。


2. 例題で理解する(小型精算表)

【資料】

  • 売上 1,200,000円
  • 仕入 700,000円
  • 給料 150,000円
  • 備品 600,000円
  • 貸倒引当金 10,000円(貸方)
  • 売掛金 500,000円

決算整理事項:

  • (1)売掛金の2%を貸倒引当金として設定する
  • (2)備品は耐用年数5年、残存価額0、定額法、間接法

ステップ1:整理仕訳を考える

①貸倒引当金

必要額=500,000×2%=10,000円

すでに貸方10,000円ある → 差額0円 → 仕訳不要

②減価償却

600,000÷5=120,000円

(借)減価償却費 120,000 /(貸)減価償却累計額 120,000


ステップ2:精算表に反映する

科目 試算表借方 試算表貸方 整理借方 整理貸方 損益計算書 貸借対照表
売上 1,200,000 1,200,000
仕入 700,000 700,000
給料 150,000 150,000
減価償却費 120,000 120,000
備品 600,000 600,000
減価償却累計額 120,000 120,000

3. 利益を計算する

売上 1,200,000
− 仕入 700,000
− 給料 150,000
− 減価償却費 120,000
= 利益 230,000円

この利益が貸借対照表の純資産へ入ります。


4. 練習問題

問題1

次の残高試算表がある。

  • 売上 800,000円
  • 仕入 500,000円
  • 給料 120,000円
  • 備品 300,000円

決算整理:備品は耐用年数3年、残存価額0、定額法。

①減価償却費はいくらか?
②当期利益はいくらか?

解答を見る

①300,000÷3=100,000円

利益=800,000−500,000−120,000−100,000
=80,000円


5. 精算表で落ちる人の共通点

  • 整理仕訳を列に入れ忘れる
  • 減価償却累計額を貸借対照表に回さない
  • 損益計算書と貸借対照表の区分が曖昧

精算表は「作業」ではなく構造理解です。


次回予告

第56回では、損益振替と繰越を扱います。
決算整理の最終段階、「締め切り作業」です。

第54回 簿記入門(54)決算整理仕訳の総合演習(売掛金・貸倒/前払・前受/減価償却/未払・未収)

第54回は、決算整理仕訳で頻出の論点を「一気にまとめて」解ける形にします。
試験では、論点をバラで覚えていても、決算の場面で同時に出てくると混乱しがちです。ここでは典型パターンを表(考え方)→仕訳(結論)→練習問題の順で固めます。


1. 決算整理でよく出る5セット

論点 決算でやること(要点) 典型仕訳(代表)
貸倒引当金 売掛金などの回収不能に備えて、期末に引当金残高を「必要額」に合わせる (借)貸倒引当金繰入 xxx /(貸)貸倒引当金 xxx
前払・前受 支払ったけど「次期の費用」→前払へ/受け取ったけど「次期の収益」→前受へ (借)前払費用 xxx /(貸)支払家賃 xxx
(借)受取家賃 xxx /(貸)前受収益 xxx
減価償却 固定資産の価値減少分を費用化(間接法なら累計額も増やす) (借)減価償却費 xxx /(貸)減価償却累計額 xxx
未払・未収 発生しているのに未処理→当期に計上(費用は未払、収益は未収) (借)支払利息 xxx /(貸)未払費用 xxx
(借)未収収益 xxx /(貸)受取利息 xxx
売上原価(仕入) 期首・期末棚卸で当期の売上原価を確定(ここは別回で徹底するが頻出) (借)仕入 期首棚卸高 /(貸)繰越商品 同額
(借)繰越商品 期末棚卸高 /(貸)仕入 同額

この表を見て、「決算でやる目的」が言えるようになると、仕訳が安定します。


2. 例題で一気に確認(決算整理 4本)

例題(資料)

  • (1)当期末の売掛金残高は 800,000円。貸倒引当金は売掛金の2%を設定する。期首の貸倒引当金残高は10,000円(貸方残)
  • (2)12月分の家賃(毎月20,000円)を当期に12月1日に1年分前払いしており、「支払家賃」で処理している。
  • (3)備品(取得原価 600,000円、残存価額 0、耐用年数 5年)を期首に取得。間接法で定額法。
  • (4)当期12月分の水道光熱費 18,000円は未払いで、まだ処理していない。

考え方(手順)

論点 計算 ゴール
貸倒引当金 必要額=800,000×2%=16,000
差額=16,000−10,000=6,000
貸倒引当金を「16,000」に合わせる(不足分を追加)
前払家賃 当期の費用=20,000×1か月=20,000
前払い(次期分)=20,000×11か月=220,000
当期費用は1か月分だけ、残りは前払へ
減価償却 年間償却=600,000÷5=120,000 当期の減価償却費を計上(累計額も増やす)
未払費用 18,000は当期に発生している 当期費用にして、未払を立てる

仕訳(結論)

  1. 貸倒引当金:
    (借)貸倒引当金繰入 6,000 /(貸)貸倒引当金 6,000
  2. 前払家賃:
    (借)前払費用 220,000 /(貸)支払家賃 220,000
  3. 減価償却(間接法):
    (借)減価償却費 120,000 /(貸)減価償却累計額 120,000
  4. 未払費用:
    (借)水道光熱費 18,000 /(貸)未払費用 18,000

ポイント:決算整理は「当期の正しい利益」を出すために、
費用・収益の期間対応(当期のものは当期へ、次期のものは次期へ)を徹底する作業です。


3. 練習問題(本題)

ここからが第54回のメインです。問題 → 自力 → 解答(折りたたみ)で進めてください。

問題1(貸倒引当金:差額補充)

期末売掛金残高は 1,200,000円。貸倒引当金は売掛金の 3% を設定する。
期首の貸倒引当金残高は 25,000円(貸方残)である。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

必要額=1,200,000×3%=36,000円
差額=36,000−25,000=11,000円(不足)

(借)貸倒引当金繰入 11,000 /(貸)貸倒引当金 11,000

問題2(前払費用:支払時に費用処理している)

当期10月1日に、向こう1年分の保険料 120,000円を支払い、「支払保険料」で処理した。決算日は12月31日である。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

10/1〜12/31までの当期分は3か月。
月額=120,000÷12=10,000円
当期費用=10,000×3=30,000円
次期分(前払)=120,000−30,000=90,000円

(借)前払費用 90,000 /(貸)支払保険料 90,000

問題3(前受収益:受取時に収益処理している)

当期12月1日に、向こう3か月分の家賃 90,000円を受け取り、「受取家賃」で処理した。決算日は12月31日である。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

3か月分のうち、当期分は12月の1か月だけ。
月額=90,000÷3=30,000円
次期分(前受)=30,000×2=60,000円

(借)受取家賃 60,000 /(貸)前受収益 60,000

問題4(減価償却:定額法・間接法)

期首に車両運搬具(取得原価 1,000,000円、残存価額 100,000円、耐用年数 9年)を取得した。定額法・間接法で決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

償却対象=1,000,000−100,000=900,000円
年間償却=900,000÷9=100,000円

(借)減価償却費 100,000 /(貸)減価償却累計額 100,000

問題5(未払費用:当期分が未処理)

当期12月分の給料 320,000円は、翌期1月10日に支払う予定で、当期はまだ仕訳していない。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

当期に発生している費用なので当期に計上する。

(借)給料 320,000 /(貸)未払費用 320,000

問題6(未収収益:当期分が未処理)

当期12月分の受取利息 6,500円は翌期に受け取る予定で、当期はまだ仕訳していない。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

当期に発生している収益なので当期に計上する。

(借)未収収益 6,500 /(貸)受取利息 6,500


4. 仕上げ:決算整理で迷わない「自問」

迷ったときの質問 答えの方向性
これは「当期の費用/収益」? 当期なら当期に計上。未処理なら未払・未収で拾う。
支払(受取)は済んでる? 支払済で次期分が混ざる→前払。受取済で次期分が混ざる→前受。
残高を「必要額」に合わせる論点? 貸倒引当金などは「期末のあるべき残高」に合わせて差額を仕訳する。
固定資産の価値減少は反映した? 減価償却を忘れると利益が大きく見える。毎期の定番チェック。

次回は、この決算整理を実際の決算(試算表→整理→精算表)につなげる形で、
「どこで、何を、どう直すか」を見える化していきます。

第53回 決算整理ミニ総合問題①(基礎完成編)

ここまで決算整理仕訳を一通り学んできました。

今回は、実戦形式で確認してみましょう。

紙とペンを用意してください。
本試験と同じように、時間を区切って考えてみましょう。


【ミニ総合問題】

決算日は12月31日である。次の事項について、決算整理仕訳を答えなさい。

  1. 12月1日に1年分の保険料120,000円を現金で支払っている。
  2. 12月分の水道光熱費8,000円は翌年1月に支払う予定である。
  3. 備品300,000円(耐用年数5年、定額法、残存価額0円)を10月1日に取得している。

制限時間:3分

――ここで一度スクロールを止めてください。


【解答・解説】

① 保険料(前払費用)

1年分支払ったが、使ったのは1か月分だけ。

120,000 × 11/12 = 110,000円

仕訳
前払費用 110,000 / 保険料 110,000

→ 来期分を資産に振り替えます。


② 水道光熱費(未払費用)

使ったが、まだ払っていない。

仕訳
水道光熱費 8,000 / 未払費用 8,000

→ 足りない費用を追加します。


③ 減価償却

年間償却額:

300,000 ÷ 5年 = 60,000円

10月1日取得なので3か月分。

60,000 × 3/12 = 15,000円

仕訳
減価償却費 15,000 / 備品減価償却累計額 15,000


【この問題で確認したいこと】

  • 前払は「払いすぎ」
  • 未払は「足りない」
  • 減価償却は「期間配分」

すべて、期間のズレを修正しているだけです。


【実戦ポイント】

この3問は、本試験なら確実に取りたいレベルです。

もし3分を超えたなら、
まだ処理スピードを上げる余地があります。

読んで理解するのではなく、
時間内に処理できるかが重要です。


まとめ

  • 総合問題は基本の集合体
  • 期間のズレを意識する
  • 必ず時間を測る

次回は、
👉 「固定資産売却を含むミニ総合問題②」
に進みます。

第52回 合格する人の勉強法と落ちる人の勉強法 ― 実例ミニクイズ付き

ここまで、仕訳・決算整理・固定資産処分・試験戦略まで見てきました。

では最後に差がつくのは何か。

「勉強のやり方」

同じ教材を使っても、
合格する人と落ちる人には明確な違いがあります。


1.落ちる人の勉強法

  • ノートをきれいにまとめる
  • テキストを何度も読む
  • 「分かった気」になる

しかし、本試験で必要なのは、

「思い出せる力」

読むだけでは、思い出せるようにはなりません。


2.合格する人の勉強法

  • 必ず手を動かす
  • 時間を測る
  • 間違いノートを作る

そして最大の特徴は、

「問題を解く時間の方が長い」

インプットよりアウトプットが多いのです。


3.ミニ実例クイズ

では、実際に考えてみましょう。

【問題】
12月1日に1年分の保険料120,000円を現金で支払った。
決算日は12月31日。

問:決算整理仕訳はいくらか?

(30秒以内で考えてください)


4.解答と考え方

まず日本語に戻します。

  • 1年分払った
  • 使ったのは1か月分だけ

→ 11か月分は来期の費用

計算
120,000 × 11/12 = 110,000円

決算整理仕訳

前払費用 110,000 / 保険料 110,000


5.なぜこのクイズが重要か

読んでいるだけだと、
「簡単」と思います。

しかし、時間を区切ると、
意外と迷いませんでしたか?

本試験は、
「時間制限付きアウトプット試験」です。


6.今日から変えること

  • 読む時間を減らす
  • 解く時間を増やす
  • 必ず時間を測る

これだけで、
勉強の質は大きく変わります。


まとめ

  • インプット中心は危険
  • アウトプット中心に切り替える
  • 時間制限を必ずつける

次回は、
👉 「本試験レベルの総合ミニ問題(実戦編)」
に挑戦してみましょう。