第227回 法定調書のe-Tax訂正:無効分→訂正分・合計表は対象分だけ・訂正送信に仕訳なし(5日練習付き)

第226回では、法定調書をe-Taxで提出する場面を確認しました。

今回は、送信後に司法書士Bの氏名の一字を誤っていたと分かった場合です。

e-Taxで提出済みの法定調書を訂正するときは、元の内容を「無効分」として送り、次に正しい内容を「訂正分」として送ります。請求書と帳簿が正しければ、この訂正送信に仕訳はありません。

1.訂正と追加は別の手続

国税庁の令和8年分法定調書の手引第9章は、提出済みの調書に誤りがある場合と、提出漏れがある場合を分けています。

状況 処理 送信するもの
提出済みの調書に誤りがある 訂正 無効分、続いて訂正分
提出すべき調書を送っていない 追加 追加分

T社はBの支払調書を提出済みなので、追加分ではなく訂正として処理します。

2.無効分と訂正分を順番に送る

e-Taxの公式Q&Aでは、先に無効分を送り、次に訂正分を送る手順が示されています。それぞれに法定調書合計表を付けます。

順序 支払調書 合計表
1 1月10日に送信した誤った氏名を含む内容を、そのまま再現した無効分 無効にするBの分だけを記載した無効分
2 氏名を正し、ほかの項目も根拠資料と照合した訂正分 訂正するBの分だけを記載した訂正分

無効分に正しい氏名を書くのではありません。提出済みデータを特定して無効にするため、氏名の誤りを含めて元の内容と同じにします。

訂正分は氏名だけでなく、金額や住所などの全項目を根拠資料と照合して作ります。

3.合計表には対象分だけを記載する

第225回で確認した年分全体のⒶ2人・100,000円・8,168円を、訂正時の合計表へ転記するものではありません。国税庁の手引とe-Taxソフト(WEB版)の公式手順に従い、無効分と訂正分の各合計表には対象となるBの分だけを記載します。

区分 人員 支払金額 源泉徴収税額
Ⓐ計 1人 60,000円 5,105円
ⒷⒶのうち支払調書を提出するもの 1人 60,000円 5,105円

同じ内容で、提出区分が「無効」の合計表と「訂正」の合計表を別々に作ります。二つを一枚の合計表で相殺する処理ではありません。

4.e-Taxソフト(WEB版)での訂正手順

  1. 1月10日の送信データ、受信通知、請求書などを照合し、誤った箇所を確定する。
  2. 令和8年分について「無効分を提出される方」を選択する。
  3. 前回受付番号と前回受付年月日を入力する。
  4. 提出済みの誤った支払調書と同じ内容を作り、Bの分だけを記載した無効分の合計表を作る。
  5. 内容を確認し、電子署名を付けて送信する。
  6. 次に「訂正分を提出される方」を選び、正しい支払調書とBの分だけを記載した訂正分の合計表を作る。
  7. 内容を確認し、電子署名を付けて送信する。
  8. 二回の送信について、それぞれ受信通知を確認する。

前回の提出でe-Taxを利用していない場合や、前回受付番号などが分からない場合は、公式手順上、その入力を省略できます。

画面構成は変更されることがあります。実際に操作するときは、その時点の公式手順を確認してください。

5.二回の受信通知を確認する

e-Taxでは送信直後に即時通知が表示され、その後、メッセージボックスに受信通知が格納されます。e-Taxの送信確認に関するQ&Aに従い、エラー情報がないかを確認します。

対象 確認内容
元の提出 送信日、受付番号、誤っていた項目
無効分 元の内容との一致、受付日時、受付番号、エラーの有無
訂正分 正しい氏名と金額、受付日時、受付番号、エラーの有無
対応関係 どの提出を無効にし、どの提出へ置き換えたか

送信操作だけで終わりにせず、無効分と訂正分の双方が正常に受け付けられたことまで確認します。

6.氏名の訂正送信に仕訳はない

2026年12月25日に計上した取引の仕訳は、請求書と帳簿に誤りがないため変更しません。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
支払手数料 60,000円 未払金 66,000円
仮払消費税等 6,000円
合計 66,000円 合計 66,000円

1月12日の訂正送信では、支払も債務の増減も生じません。このため、無効分と訂正分の送信について新たな仕訳はありません。

勘定科目 残高の側 訂正送信前 訂正送信後
支払手数料 借方 60,000円 60,000円
仮払消費税等 借方 6,000円 6,000円
未払金 貸方 66,000円 66,000円
預り金(源泉所得税等) 貸方 0円 0円

支払調書に内書きした5,105円は、作成時点で未徴収の見積税額です。Bへの支払前には実際の徴収が行われていないため、帳簿上の預り金は0円のままです。

支払金額の誤りから帳簿の誤記も見つかった場合は、法定調書の訂正とは別に訂正仕訳の要否を検討します。今回は氏名欄だけの誤りなので、訂正送信に仕訳はありません。

7.5日で定着させる練習

日 練習内容 確認点
1日目 事例を訂正と追加に分ける すでに提出した調書かを先に見る
2日目 提出済みデータから無効分を作る 誤りも含めて同じ内容にする
3日目 根拠資料から訂正分を作る 全項目を照合する
4日目 二枚の合計表を確認する 各送信の対象分だけを記載する
5日目 受信通知と仕訳の要否を確認する 提出手続と帳簿修正を分ける

8.まとめ

提出済みの支払調書に氏名の誤りがあった場合は、元の内容を無効分として送った後、正しい内容を訂正分として送ります。各合計表に記載するのは対象となるBの分だけです。請求書と帳簿に誤りがない本設例では、訂正送信によって勘定残高は変わらず、新たな仕訳も生じません。