第225回では、司法書士2人分を法定調書合計表へ集計し、個別の支払調書は1人分を提出すると確認しました。
今回は、その1枚をどの方法で提出するかを考えます。
T社は、2025年中に提出すべきであった同じ種類の支払調書が30枚でした。2027年に提出する支払調書が1枚でも、書面では提出できません。e-Tax等による提出が必要です。
1.基準年は2025年
所得税法228条の4による判定では、法定調書の提出期限が属する年の前々年に提出すべきであった、同じ種類の法定調書の枚数を使います。
| 年 | 役割 | T社の事実 |
|---|---|---|
| 2025年 | 基準年 | 同じ種類の支払調書を30枚提出すべきであった |
| 2026年 | 支払調書の対象年 | 司法書士2人への報酬等を合計表へ集計する |
| 2027年 | 提出期限が属する年 | 個別調書1枚と合計表を提出する |
2027年の提出方法を決める基準年は2025年です。2026年分の人数や、今回提出する1枚で判定するのではありません。
2.2027年から30枚基準になる
国税庁のタックスアンサーNo.7455では、2027年1月1日以後に提出すべき法定調書について、前々年の同種調書が30枚以上ならe-Tax等による提出が必要とされています。2026年12月31日以前に提出すべき法定調書の基準は100枚以上です。
30枚以上の基準に対して30枚なので、T社には電子的な提出義務があります。
29枚なら、この30枚基準だけを理由とする義務は生じません。ただし、任意にe-Tax等を利用することはできます。
3.「2人」「1人」「30枚」を分ける
| 数字 | 意味 | 義務判定に使うか |
|---|---|---|
| Ⓐ2人 | 2026年分の合計表に集計する人数 | 使わない |
| Ⓑ1人 | 2027年に個別調書を提出する人数 | 基準枚数には使わない |
| 2025年の30枚 | 基準年に提出すべきであった同種調書の枚数 | 使う |
判定は法定調書の種類ごとに行います。「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と「不動産の使用料等の支払調書」など、異なる種類を足して30枚とすることはありません。
また、基準となるのは実際に提出した枚数ではなく、提出すべきであった枚数です。提出漏れがあっても、その分を除いて判定することはできません。
4.認められる提出方法は三つ
| 方法 | 概要 | T社の選択 |
|---|---|---|
| e-Tax | インターネットでデータを送信する | 選択する |
| 認定クラウド等 | 国税庁長官の認定を受けたクラウドサービス等を利用する | 選択しない |
| 光ディスク等 | 所定形式のデータをCDやDVDなどで提出する | 選択しない |
| 書面 | 紙で提出する | 今回の同種調書には選択できない |
30枚基準が直接判定するのは、同じ種類の個別法定調書です。T社はe-Taxを選ぶため、個別調書1枚と合計表を電子送信します。
「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と法定調書合計表は、e-Taxソフト(WEB版)でも作成・提出できます。
5.送信する数字を照合する
| データ | 人員 | 支払金額 | 源泉徴収税額 |
|---|---|---|---|
| 合計表Ⓐ | 2人 | 100,000円 | 8,168円 |
| 合計表Ⓑ | 1人 | 60,000円 | 5,105円 |
| Bの個別調書 | 1人 | 60,000円 | 5,105円 |
合計表ⒷとBの個別調書は、人員・支払金額・源泉徴収税額が一致します。Ⓐとの差額は、個別調書を提出しないCの分です。
| 順序 | 確認すること |
|---|---|
| 1 | 2025年に提出すべきであった同種調書が30枚であること |
| 2 | 個別調書と合計表の人員、支払金額、源泉徴収税額 |
| 3 | 年分、提出区分、提出先、利用者識別番号など |
| 4 | 電子署名を付け、2027年2月1日までに送信すること |
| 5 | 送信後に受信通知を開き、エラーがないこと |
e-Taxの利用の流れによると、送信直後の画面はデータ形式などのチェック結果です。その後、メッセージボックスに格納される受信通知も確認します。受信通知は、提出内容そのものに対する税務署の審査結果ではありません。
6.提出した日には仕訳をしない
2027年1月10日は、法定調書を送信しただけです。金銭の支払や、新しい債権・債務の発生はありません。
この日の仕訳はありません。
| 勘定科目 | 残高の向き | 提出直前 | 提出直後 | 増減 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 借方 | 100,000円 | 100,000円 | 0円 |
| 未払金 | 貸方 | 66,000円 | 66,000円 | 0円 |
| 預り金(源泉所得税等) | 残高なし | 0円 | 0円 | 0円 |
未払金66,000円は、支払調書を提出しても消えません。Bへの支払前なので、預り金5,105円もまだ計上しません。支払調書へ未徴収の源泉徴収税額を記載することと、帳簿に預り金を計上することは別です。
7.5日で確認する
| 日 | 問題 | 答え |
|---|---|---|
| 1日目 | 2027年に提出期限が来る法定調書の基準年はいつか | 2025年 |
| 2日目 | 基準年が29枚、今回が80枚なら、30枚基準による義務は生じるか | 生じない。基準年が29枚だから |
| 3日目 | 種類の異なる法定調書を足して30枚と判定するか | 判定しない。種類ごとに分ける |
| 4日目 | 提出操作だけを行った日の仕訳は何か | 仕訳なし |
| 5日目 | e-Taxで送信した後に確認するものは何か | 受信通知 |
8.確認に使った一次資料
- e-Gov法令検索「所得税法」228条の4
- 国税庁「No.7455 法定調書の提出枚数が30枚以上の場合のe-Tax、光ディスク等又は認定クラウド等による提出義務」
- 国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」
- e-Tax「法定調書のe-Tax等による提出義務化の概要について」
- e-Tax「ご利用の流れ」
9.まとめ
- 2027年1月1日以後に提出すべき法定調書は、前々年の同種調書が30枚以上ならe-Tax等による提出が必要です。
- T社は2025年に30枚だったため、2027年に提出する個別調書が1枚でも書面では提出できません。
- 判定は種類ごとに行い、合計表の人数や今回の提出枚数とは分けます。
- e-Taxでは受信通知まで確認します。提出操作だけなら仕訳も残高も動きません。
見る数字は三つです。提出年、前々年、同じ種類の枚数。この順に確認します。
