第225回 司法書士報酬の法定調書合計表:Ⓐ2人・Ⓑ1人と預り金0円が両立する理由

第224回では、未払の司法書士報酬について個別の支払調書を作成しました。

今回は、司法書士2人分を法定調書合計表へ全件記載する設例で、Ⓐが2人、Ⓑが1人となる理由と、合計表の源泉徴収税額が帳簿の預り金残高と一致しない理由を確認します。

法定調書はその年中に支払が確定した報酬等を集計します。一方、預り金は実際の支払時に源泉徴収した税額を納付するまで計上する負債です。対象とする期間と計上時点が異なるため、合計表の源泉徴収税額が8,168円でも、作成時点の預り金残高は0円になり得ます。

1.支払先ごとの金額を確定する

国税庁「No.2801 司法書士等に支払う報酬・料金」によると、司法書士報酬の源泉徴収税額は、同一人への1回の支払金額から10,000円を控除し、その残額に10.21%を乗じて計算します。1円未満は切り捨てます。

支払先 税抜報酬 計算 源泉徴収税額 作成時の状態
司法書士B 60,000円 (60,000円-10,000円)×10.21% 5,105円 未払・未徴収
司法書士C 40,000円 (40,000円-10,000円)×10.21% 3,063円 支払・納付済み
合計 100,000円 5,105円+3,063円 8,168円 ―

報酬と消費税等が明確に区分されている場合は、税抜報酬だけを源泉徴収の対象として差し支えないとされています。本設例の計算もこの取扱いを前提としています。

2.提出する支払調書はBの1枚

令和8年分法定調書の手引「第4章」では、司法書士報酬を含む区分について、同一人に対する年中の支払金額が5万円を超えるものを支払調書の提出範囲としています。

したがって、税抜報酬60,000円のBは提出対象です。40,000円のCは5万円を超えないため、提出対象ではありません。

手引は、年中に支払が確定した未払報酬も支払調書へ記載し、作成日現在の未払額と未徴収税額を内書きするよう示しています。Bの支払調書には、支払金額60,000円と源泉徴収税額5,105円を記載し、それぞれ全額を未払額、未徴収税額として内書きします。

消費税等を支払金額から除外して記載する場合は、摘要欄に除外した消費税等の額を記載します。本設例ではBの消費税等6,000円を摘要欄に記載します。

3.全件記載を選ぶとⒶは2人、Ⓑは1人になる

令和8年分法定調書の手引「第8章」に従い、すべての報酬等を合計表へ記載する方法を選ぶと、次のようになります。

合計表の欄 個人 個人以外 支払金額 源泉徴収税額
弁護士、税理士等の報酬又は料金(2号該当) 2人 0人 100,000円 8,168円
Ⓐ 計 2人 0人 100,000円 8,168円
Ⓑ Ⓐのうち支払調書を提出するもの 1人 0人 60,000円 5,105円

人員は支払回数ではなく、報酬を受ける人の実人員です。ⒶにはBとC、Ⓑには支払調書を提出するBだけを含めます。

Bの未徴収税額5,105円は、源泉徴収税額の内数です。内書きした5,105円を合計額へ重ねて加算するわけではありません。

手引は、合計表へ実際に提出する支払調書の分だけを記載する方法も認めています。その方法を選ぶ場合は、ⒶもⒷと同じ1人、60,000円、5,105円になります。本設例は全件記載を選んだ場合であり、人員だけを全件、金額だけを提出分とするような混在はしません。

4.預り金残高が0円になる仕訳

次の仕訳は、源泉徴収と預り金残高の動きに焦点を当てるため、消費税等を支払報酬に含めて表示した簡略例です。

日付 借方 貸方 仕訳後の預り金残高
2026年7月15日 支払報酬 44,000円 普通預金 40,937円
預り金 3,063円
3,063円
2026年8月10日 預り金 3,063円 普通預金 3,063円 0円
2026年12月25日 支払報酬 66,000円 未払金 66,000円 0円
2027年1月10日 支払調書と合計表の作成自体には仕訳なし 0円

各仕訳の借方合計と貸方合計は一致しています。Cから源泉徴収した3,063円は納付時に預り金から消えます。Bについては報酬をまだ支払っておらず、源泉徴収もしていないため、未払計上時には預り金を計上していません。

したがって、全件記載した合計表の源泉徴収税額は8,168円である一方、2027年1月10日時点の預り金残高は0円です。

合計表の8,168円は、2026年中に支払が確定した報酬等に対応する「源泉徴収すべき税額」の合計です。帳簿の預り金0円は、作成時点で実際に徴収済みかつ未納となっている税額がないことを示します。両者は意味と計上時点が異なるため、一致しなくても直ちに誤りではありません。

なお、未払報酬について見積記載した税額と、その後実際に徴収した税額が異なる場合は、国税庁の手引に従って法定調書を訂正する必要があります。