第55回 簿記入門(55)精算表を制する者が2級を制す

第54回では、決算整理仕訳を一つずつ確認しました。
第55回では、それらを精算表(せいさんひょう)にどう反映させるかを扱います。

簿記2級では、試算表 → 決算整理 → 精算表 → 財務諸表という流れを理解していないと得点が安定しません。
ここで「全体の流れ」を一気につなげましょう。


1. 精算表とは何か?

精算表とは、決算整理の結果をまとめて、損益計算書と貸借対照表を作るための表です。

意味
残高試算表 決算整理前の残高
整理記入 決算整理仕訳の金額を記入
損益計算書 収益・費用を集める
貸借対照表 資産・負債・純資産を集める

精算表は「橋渡し装置」です。
仕訳を覚えていても、精算表で流れが理解できていないと点数が伸びません。


2. 例題で理解する(小型精算表)

【資料】

  • 売上 1,200,000円
  • 仕入 700,000円
  • 給料 150,000円
  • 備品 600,000円
  • 貸倒引当金 10,000円(貸方)
  • 売掛金 500,000円

決算整理事項:

  • (1)売掛金の2%を貸倒引当金として設定する
  • (2)備品は耐用年数5年、残存価額0、定額法、間接法

ステップ1:整理仕訳を考える

①貸倒引当金

必要額=500,000×2%=10,000円

すでに貸方10,000円ある → 差額0円 → 仕訳不要

②減価償却

600,000÷5=120,000円

(借)減価償却費 120,000 /(貸)減価償却累計額 120,000


ステップ2:精算表に反映する

科目 試算表借方 試算表貸方 整理借方 整理貸方 損益計算書 貸借対照表
売上 1,200,000 1,200,000
仕入 700,000 700,000
給料 150,000 150,000
減価償却費 120,000 120,000
備品 600,000 600,000
減価償却累計額 120,000 120,000

3. 利益を計算する

売上 1,200,000
− 仕入 700,000
− 給料 150,000
− 減価償却費 120,000
= 利益 230,000円

この利益が貸借対照表の純資産へ入ります。


4. 練習問題

問題1

次の残高試算表がある。

  • 売上 800,000円
  • 仕入 500,000円
  • 給料 120,000円
  • 備品 300,000円

決算整理:備品は耐用年数3年、残存価額0、定額法。

①減価償却費はいくらか?
②当期利益はいくらか?

解答を見る

①300,000÷3=100,000円

利益=800,000−500,000−120,000−100,000
=80,000円


5. 精算表で落ちる人の共通点

  • 整理仕訳を列に入れ忘れる
  • 減価償却累計額を貸借対照表に回さない
  • 損益計算書と貸借対照表の区分が曖昧

精算表は「作業」ではなく構造理解です。


次回予告

第56回では、損益振替と繰越を扱います。
決算整理の最終段階、「締め切り作業」です。