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第21回 簿記入門(14) 決算整理後試算表と財務諸表

第21回 簿記入門(14)
決算整理後試算表から財務諸表はどう作られるのか
― 損益計算書と貸借対照表の正体 ―

前回(第20回)では、
決算整理仕訳とは「期間のズレを直す作業」だということを学びました。

今回はいよいよ、その結果がどのように
損益計算書(P/L)貸借対照表(B/S)になるのかを見ていきます。


1. 決算整理後試算表とは何か

決算整理後試算表とは、

決算整理仕訳をすべて反映させたあとの
最終的な勘定科目の一覧表

です。

ここには、

  • 費用・収益(1年間の結果)
  • 資産・負債・純資産(期末の状態)

がすべてそろっています。


2. 決算整理後試算表の中身

決算整理後試算表は、大きく見ると次の2種類の科目でできています。

種類 内容
損益計算書項目 収益・費用(その年の成績)
貸借対照表項目 資産・負債・純資産(期末の財産状況)

3. 損益計算書はどう作られるのか

損益計算書(P/L)は、

決算整理後試算表のうち、
「収益」と「費用」だけを集めて作る

書類です。

区分 代表例
収益 売上、受取利息 など
費用 仕入、給料、減価償却費 など

収益 − 費用 = 当期純利益

これが、
1年間の経営成績です。


4. 貸借対照表はどう作られるのか

貸借対照表(B/S)は、

決算整理後試算表のうち、
「資産・負債・純資産」を集めて作る

書類です。

区分 意味
資産 会社が持っている財産
負債 将来支払う義務
純資産 返さなくてよい自己資本

ここに、
当期純利益が純資産として組み込まれることで、
貸借対照表は完成します。


5. 決算整理後試算表 → 財務諸表の流れ(整理)

段階 何をしているか
決算整理後試算表 すべての勘定科目を確定
損益計算書 収益・費用を抜き出して利益計算
貸借対照表 期末時点の財産状況を表示

まとめ

  • 決算整理後試算表は「すべての完成形」
  • P/Lは「成績表」
  • B/Sは「健康診断書」
  • 利益はP/Lで計算され、B/Sに引き継がれる

ここまで理解できれば、
決算の全体像は頭の中で1本につながります。


次回予告(第22回)

次回は、
帳簿を締めるとはどういうことかを扱います。

損益振替・資本振替の意味を、
暗記ではなく流れで整理します。

第20回 簿記入門(13) 決算整理仕訳・総まとめ

第20回 簿記入門(13)
決算整理仕訳とは何をしているのか
― 発生主義を完成させる最後の作業 ―

ここまでの回で、私たちは次のことを学んできました。

  • 減価償却:過去の支出を期間配分する
  • 引当金:将来のリスクを今期に見積もる
  • 前払費用・未払費用:費用の時間調整
  • 前受収益・未収収益:収益の時間調整

今回は、それらを一本につなぐ回です。


1. 決算整理仕訳とは何か

決算整理仕訳とは、

日々の取引だけではズレてしまう
「費用」と「収益」を、正しい期間に直すための仕訳

です。

日常の取引は、どうしても現金基準に引きずられます。
それを、決算のタイミングで発生主義に修正する。
それが決算整理仕訳の役割です。


2. なぜ決算で大量の仕訳を入れるのか

決算で突然、

  • 前払費用
  • 未払費用
  • 前受収益
  • 未収収益
  • 減価償却費
  • 各種引当金

がまとめて出てくるのは、偶然ではありません。

これらはすべて、

現金の動きと、
期間のズレを修正するための仕訳

だからです。


3. 決算整理仕訳でやっていること(整理)

決算整理仕訳の中身を、役割別に整理するとこうなります。

  • 期間配分
    └ 減価償却、前払費用
  • 未処理の確定費用・収益
    └ 未払費用、未収収益
  • 将来リスクの見積り
    └ 引当金
  • 先にもらった・払った分の調整
    └ 前受収益

見た目はバラバラでも、
目的はすべて同じです。

それは、

「この1年間の正しい利益を計算すること」


4. 【図】決算整理仕訳の全体像


【決算整理仕訳とは】


現金の動きではなく
「期間」
利益を確定させるための仕訳


5. 決算整理仕訳=利益調整ではない

初学者がよく誤解するのが、

決算整理仕訳は、
利益を操作するためのもの

という考え方です。

実際はその逆で、

利益を「ごまかさない」ために行う

のが決算整理仕訳です。


まとめ

  • 日々の取引=現金に近い
  • 決算整理仕訳=期間に修正
  • 目的は「正しい利益」の計算
  • 発生主義を完成させる最後の工程

ここまで理解できれば、
決算整理仕訳は暗記ではなく、意味で処理できるようになります。


次回予告(第21回)

次回は、
決算整理後試算表と財務諸表のつながりを扱います。

決算整理仕訳が、
どのように損益計算書・貸借対照表に反映されるのかを見ていきます。

第19回 簿記入門(12) なぜ「まだもらっていないお金」が収益になるのか― 前受収益・未収収益と発生主義

前回(第18回)では、
前払費用・未払費用を通じて、
「費用は現金ではなく、期間で決まる」という考え方を完成させました。

今回はその反対側です。

もうお金をもらったのに、収益じゃないもの
まだお金をもらっていないのに、収益になるもの

これを整理するのが、
前受収益未収収益です。


1. 前受収益 ― もらったが、まだ収益ではない

前受収益とは、

すでにお金を受け取っているが、まだサービスを提供していないもの
をいいます。

具体例

  • 翌月分・翌年分の家賃を先にもらった
  • 前受けした授業料・会費

現金は手元にありますが、
まだ仕事は終わっていません。

したがって、受け取った時点では収益ではなく「負債」として扱います。

(将来サービスを提供する義務があるためです)

サービスを提供した時点で、
はじめて収益に振り替えます。


2. 未収収益 ― 収益だが、まだもらっていない

未収収益は、前受収益とは逆です。

すでにサービスは提供しているが、まだお金を受け取っていないもの
を指します。

具体例

  • 利息収益(入金は翌期)
  • 月末締めで翌月請求する手数料収入

仕事は終わっている。
つまり、収益は今期に属しています

ただし入金がまだなので、
その分を資産(未収収益)として計上します。


3. 費用との完全な対称関係

ここまでで、気づいたかもしれません。

費用 収益
前払費用 前受収益
未払費用 未収収益

費用と収益は、
鏡写しの関係になっています。


4. 収益も「現金」ではなく「期間」で決まる

まとめると、収益についても判断基準は同じです。

  • 前受収益:先にもらったが、期間はこれから
  • 未収収益:期間は終わったが、入金はこれから

現金の有無は関係ありません。

「いつ、何を提供したか」
これが収益計上の基準です。


【図】収益計上の全体マップ(まとめ)


まとめ

  • 前受収益:もらったが、まだ収益でない
  • 未収収益:収益だが、まだもらっていない
  • 判断基準は常に「期間」

これで、
発生主義は費用・収益の両面から完成です。


次回予告(第20回)

次回は、
「決算整理仕訳とは何をしているのか」を総復習します。

なぜ決算で大量の仕訳を入れるのか。
その意味を、ここまでの知識で一本につなげます。