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第31回 簿記入門(24) 良いCF・悪いCFの見分け方

第31回 簿記入門(24)
良いキャッシュ・フロー、悪いキャッシュ・フロー
― 黒字でも危ない会社、赤字でも強い会社 ―

前回(第30回)では、
キャッシュ・フローは「営業・投資・財務」の3つに分けて考える
ことを学びました。

今回は、その知識を使って、
会社の状態を判断するところまで踏み込みます。

テーマは、

良いキャッシュ・フローと、悪いキャッシュ・フローの違い

です。


1. 「良い・悪い」は合計額だけでは分からない

キャッシュ・フローを見るとき、
つい現金が増えたか減ったかだけを見がちです。

しかし、本当に大切なのは、

どこからお金が入り、
どこへ出ていったのか

という中身です。


2. 実例① 黒字だが「悪いCF」の会社

まずは、
損益計算書では黒字の会社を見てみます。

損益計算書(抜粋)

項目 金額(万円)
当期純利益 200

一見すると、
好調な会社に見えます。

キャッシュ・フローの内訳

区分 金額(万円)
営業CF ▲120
投資CF ▲30
財務CF +200
現金の増減 +50

現金は増えていますが、

  • 本業(営業CF)はマイナス
  • 借入(財務CF)でお金を補っている

状態です。

この会社は、
「儲かっているように見えるが、自力では回っていない」

と評価できます。


3. 実例② 赤字だが「良いCF」の会社

次は逆の例です。

損益計算書(抜粋)

項目 金額(万円)
当期純損失 ▲40

P/Lだけ見ると、
不調な会社に見えます。

キャッシュ・フローの内訳

区分 金額(万円)
営業CF +180
投資CF ▲60
財務CF ▲50
現金の増減 +70

この会社は、

  • 本業でしっかり現金を生み
  • 借金を返しながら
  • 将来への投資もしている

状態です。

一時的な赤字でも、
体力のある会社

と言えます。


4. 良いCF・悪いCFを見分ける視点

チェックポイント 判断の目安
営業CF プラスが基本。マイナス続きは要注意
財務CF 借入頼みか、返済できているか
投資CF 将来につながる内容か

特に重要なのは、

営業CFが安定してプラスかどうか

です。


まとめ

  • 黒字=安全、とは限らない
  • 赤字=危険、とも限らない
  • お金の「出どころ」を見る
  • 営業CFが会社の生命線

キャッシュ・フローが読めるようになると、
会社の将来を現実的に判断できる
ようになります。


次回予告(第32回)

次回は、
財務諸表を使って会社を総合的に見る方法
を扱います。

P/L・B/S・CFをまとめて、
実践的な読み方を整理します。

第30回 簿記入門(23) キャッシュ・フロー計算書の3区分

第30回 簿記入門(23)
キャッシュ・フローは3つに分けて考える
― 営業・投資・財務でお金の流れを読み解く ―

前回(第29回)では、
利益とキャッシュは一致しないという点を、具体例で確認しました。

今回はさらに一歩進んで、
現金の動きを3つに分けて考える方法を学びます。

これが、キャッシュ・フロー計算書の基本的な考え方です。


1. キャッシュ・フロー計算書とは何か

キャッシュ・フロー計算書とは、

一定期間における
現金の増減を、その理由別に整理した書類

です。

その「理由」が、次の3つに分けられます。


2. キャッシュ・フローの3区分

区分 意味
営業キャッシュ・フロー 本業でお金が増えたか・減ったか
投資キャッシュ・フロー 将来のためにお金を使ったか
財務キャッシュ・フロー 借入や返済など、資金調達の動き

この3つを分けて見ることで、
会社が今どんな状態にあるのかが見えてきます。


3. 具体例① 営業キャッシュ・フローを見る

まずは、営業キャッシュ・フローです。

ある制作会社の1年間を見てみましょう。

内容 金額(万円)
当期純利益 150
売掛金の増加 ▲200
営業CF ▲50

この会社は、

利益は出ているが、
本業では現金が減っている

という状態です。

売上は立っているものの、
回収が追いついていないことが原因です。


4. 具体例② 投資キャッシュ・フローを見る

次に、投資キャッシュ・フローです。

同じ会社が、
新しいパソコンやソフトを購入したとします。

内容 金額(万円)
設備投資 ▲120
投資CF ▲120

投資キャッシュ・フローがマイナスでも、

将来の売上につながる投資であれば、
必ずしも悪いことではない

という点が重要です。


5. 具体例③ 財務キャッシュ・フローを見る

最後に、財務キャッシュ・フローです。

この会社は、
設備投資の資金を借入でまかないました。

内容 金額(万円)
借入金の増加 +200
借入金の返済 ▲80
財務CF +120

この結果、

本業と投資で減った現金を、
借入で補っている

状態だと分かります。


6. 3つを合計すると何が見えるか

ここまでの3つを合計してみます。

区分 金額(万円)
営業CF ▲50
投資CF ▲120
財務CF +120
現金の増減 ▲50

この会社は、

将来に向けて投資をしているが、
まだ本業のキャッシュが弱い

という状態だと読み取れます。


まとめ

  • キャッシュ・フローは3区分で考える
  • 営業CFは本業の健康状態
  • 投資CFは将来への布石
  • 財務CFは資金調達の実態

3つをセットで見ることで、
会社のお金の流れが立体的に見える
ようになります。


次回予告(第31回)

次回は、
良いキャッシュ・フロー、悪いキャッシュ・フロー
を見分ける視点を整理します。

同じ黒字でも、
「安全な会社」と「危ない会社」の違いを考えます。

第29回 簿記入門(22) キャッシュ・フローの基本

第29回 簿記入門(22)
なぜ利益が出ているのにお金がないのか
― キャッシュ・フローで会社の血流を読む ―

前回(第28回)では、
損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)をセットで読む
ことで、会社の実像が見えてくることを学びました。

そこで浮かび上がった疑問が、

「利益は出ているのに、なぜお金が足りないのか?」

です。

この疑問に答えるのが、
キャッシュ・フローという考え方です。


1. キャッシュ・フローとは何か

キャッシュ・フローとは、

一定期間における
現金の増減を表す概念

です。

ここで大事なのは、

利益とキャッシュは、
必ずしも一致しない

という点です。


2. 利益とキャッシュがズレる理由

まず、基本的なズレの原因を整理します。

原因 何が起きているか
売掛金の増加 売上は計上したが、まだ入金されていない
在庫の増加 お金を使って商品を仕入れた
借入金の返済 費用ではないが現金は出ていく
設備投資 一度に大きな現金支出が発生

これらは、

P/Lにはすぐ表れないが、
現金には直接影響する

取引です。


3. 具体例① 黒字なのに資金繰りが苦しい会社

前回と同じ、
小さな制作会社を例に考えてみます。

この会社の今年のP/Lは、次の通りでした。

項目 金額(万円)
当期純利益 150

しかし、実際の現金の動きを見ると、

現金の動き 金額(万円)
売掛金の増加 ▲200
借入金の返済 ▲100
現金の増減 ▲150

結果として、

利益は150万円出たが、
現金は150万円減った

という状態になります。


4. 具体例② 赤字でもお金が増える会社

逆の例も見てみましょう。

次の会社は、P/L上は赤字でした。

項目 金額(万円)
当期純損失 ▲50

ところが、現金は、

現金の動き 金額(万円)
借入金の増加 +200
設備投資の見送り +0
現金の増減 +150

この会社は、

赤字だが、
当面のお金には困っていない

という状態です。


5. キャッシュ・フローを見るときの実践的視点

キャッシュ・フローを見るときは、
次の点を意識すると理解しやすくなります。

視点 見る意味
利益と現金の差 ズレの原因を探る
売掛金・在庫の動き 本業の資金効率
借入金の増減 資金繰りの依存度

数字を見るというより、

「お金がどこへ行ったのか」を
想像する

感覚が大切です。


まとめ

  • 利益とキャッシュは別物
  • 黒字でも倒産はあり得る
  • 赤字でも資金が回ることはある
  • キャッシュ・フローは会社の血流

キャッシュ・フローを理解できると、
会計が「生きた情報」として見えてきます。


次回予告(第30回)

次回は、
営業・投資・財務の3つのキャッシュ・フロー
を整理します。

現金の動きを、
さらに分解して見ていきます。

第28回 簿記入門(21) P/LとB/Sをセットで読む

第28回 簿記入門(21)
損益計算書と貸借対照表はどうつながっているのか
― 数字の流れで会社の姿を立体的に読む ―

前回(第27回)では、
貸借対照表は会社の体力を表す書類だということを学びました。

今回は一歩進んで、
損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)をセットで読む
方法を整理します。

実務でも試験でも、
「片方だけ読む」のは不十分です。


1. なぜP/LとB/Sはセットで読むのか

まず結論から確認します。

P/Lは「動き」、B/Sは「結果」

です。

書類 役割
損益計算書(P/L) 1年間で何が起きたか
貸借対照表(B/S) その結果、今どうなっているか

P/Lだけを見ると「儲かったか」は分かりますが、
お金が残っているかは分かりません。

逆に、B/Sだけを見ると、
なぜそうなったかが見えません。


2. 具体例で見る「利益が出ている会社」

では、具体的な数字で確認してみましょう。

ある小さな制作会社の、
今年の損益計算書が次の通りだったとします。

項目 金額(万円)
売上 1,200
売上原価 700
販売費・一般管理費 350
当期純利益 150

数字だけ見ると、
きちんと利益が出ている会社に見えます。


3. 同じ会社の貸借対照表を見る

では、同じ会社の
期末の貸借対照表を見てみます。

資産 金額(万円)
現金・預金 100
売掛金 400
備品 300
資産合計 800

負債・純資産 金額(万円)
借入金 500
純資産 300
合計 800

ここで、
違和感に気づくでしょうか。

利益は出ているのに、
現金があまり残っていない

という状態です。


4. なぜこのような状態になるのか

理由は、B/Sを見ると分かります。

  • 売掛金が多い → まだ回収できていない売上が多い
  • 借入金が多い → 設備投資や運転資金を借金でまかなっている

つまり、

P/Lでは「儲かっている」
B/Sでは「お金はまだ厳しい」

という、
よくある中小企業の姿が見えてきます。


5. P/LとB/Sをセットで読むと見えること

見る組み合わせ 分かること
P/Lの利益 × B/Sの現金 利益が本当にお金になっているか
P/Lの売上 × B/Sの売掛金 回収が順調かどうか
P/Lの利益 × B/Sの借入金 借金に依存していないか

このように、

「儲かっているのに苦しい」
「利益は少ないが安定している」

といった違いは、
P/LとB/Sを同時に見ないと分からない
のです。


まとめ

  • P/Lは動き、B/Sは結果
  • 利益=お金とは限らない
  • 2つを合わせると会社の実像が見える
  • 数字の背景を考えることが大切

財務諸表が読めるようになるとは、
数字の裏にある会社の姿を想像できること
です。


次回予告(第29回)

次回は、
キャッシュ・フローの考え方を扱います。

「なぜ利益が出ているのにお金がないのか」を、
さらに深く掘り下げていきます。

第27回 簿記入門(20) 貸借対照表の読み方

第27回 簿記入門(20)
貸借対照表は会社の何を映しているのか
― 「持っている会社」かどうかを見抜く ―

前回(第26回)では、
損益計算書は「儲け方」を見る書類だということを学びました。

今回はもう一つの財務諸表、
貸借対照表(B/S)を読み解いていきます。


1. 貸借対照表とは何か

貸借対照表とは、

決算日時点での
会社の財産と借金の状態を示す書類

です。

損益計算書が「1年間の映画」だとすると、
貸借対照表は決算日の一瞬を切り取った写真だと言えます。


2. 貸借対照表の基本構造

貸借対照表は、次の3つで構成されています。

区分 意味
資産 会社が持っているもの
負債 将来返さなければならないもの
純資産 返さなくてよい自己資本

数式で表すと、

資産 = 負債 + 純資産

となります。


3. リアルな具体例で見る貸借対照表

では、実際のイメージをつかむために、
小さなデザイン会社の例を見てみましょう。

この会社は、

  • 社員3名
  • オフィスは賃貸
  • 主な仕事はWeb制作

という、ごく一般的な小規模企業です。

資産 金額(万円)
現金・預金 300
売掛金 200
備品 100
資産合計 600

負債・純資産 金額(万円)
買掛金 80
借入金 220
純資産 300
合計 600

この会社は、

借金よりも自己資本がしっかりあり、
比較的安定した財務状態

だと読み取れます。


4. 貸借対照表を見るときの実践的な視点

実務や試験では、次のような点がよく見られます。

見るポイント 何が分かるか
現金・預金の割合 すぐに使えるお金があるか
借入金の多さ 返済負担の重さ
純資産の厚み 会社の体力

利益が出ていても、
現金が少なければ資金繰りは苦しくなります。

だからこそ、

損益計算書と貸借対照表は
必ずセットで読む

必要があります。


まとめ

  • 貸借対照表は会社の「スナップ写真」
  • 資産・負債・純資産の関係を見る
  • 純資産は会社の体力
  • P/Lと合わせて読むのが基本

貸借対照表が読めるようになると、
会社の安定性や将来の不安が見えてきます。


次回予告(第28回)

次回は、
損益計算書と貸借対照表をセットで読む方法
を扱います。

2つの書類を行き来しながら、
数字の意味を立体的に理解していきます。

第26回 簿記入門(19) 損益計算書の読み方

第26回 簿記入門(19)
損益計算書は何を語っているのか
― 利益の正体を読み解く ―

前回(第25回)では、
決算とは何をしている作業なのかを全体像で整理しました。

今回からは、
決算で完成した財務諸表そのものの読み方に入ります。

まず扱うのは、
損益計算書(P/L)です。


1. 損益計算書とは何か

損益計算書とは、

一定期間(通常は1年)における
経営成績を表す書類

です。

ここで重要なのは、

損益計算書は「儲かったかどうか」だけでなく、
どうやって儲かったかを示している

という点です。


2. 損益計算書の基本構造

損益計算書は、
大きく見ると次のような構造になっています。

区分 意味
収益 売上など、稼いだ金額
費用 その収益を得るために使ったコスト
利益 収益 − 費用

この「利益」が、
段階的に計算されていくのが損益計算書の特徴です。


3. 利益には種類がある

損益計算書には、
実は複数の利益が登場します。

利益の種類 何が分かるか
売上総利益 本業の基本的な儲け
営業利益 本業全体の儲け
経常利益 通常の事業活動での儲け
当期純利益 最終的な儲け

上から順に見ていくことで、
利益がどう積み上がってきたか
が分かります。


4. 具体例で見る損益計算書の読み方

例えば、次のような会社を考えてみましょう。

項目 金額
売上 1,000
売上原価 600
販売費・一般管理費 300

この場合、

  • 売上総利益:1,000 − 600 = 400
  • 営業利益:400 − 300 = 100

となります。

ここを見ることで、

・原価は高すぎないか
・管理コストは適切か

といった経営の状態が見えてきます。


5. 損益計算書を読むときの視点

損益計算書を見るときは、
単に数字を追うのではなく、
次の視点を持つと理解が深まります。

見るポイント 意味
売上と売上原価の関係 商品・サービスの収益性
営業利益の水準 本業が安定しているか
経常利益と営業利益の差 本業以外の影響
当期純利益 最終的な成果

まとめ

  • 損益計算書は「成績表」
  • 利益は1種類ではない
  • 段階ごとに理由を考えて読む
  • 経営の強み・弱みが見えてくる

損益計算書が読めるようになると、
数字が単なる記号ではなく、会社の物語
として見えてきます。


次回予告(第27回)

次回は、
貸借対照表(B/S)の読み方を扱います。

「どれだけ持っている会社なのか」を、
構造から読み解いていきます。

第25回 簿記入門(18) 決算の全体像・総復習

第25回 簿記入門(18)
決算とは何をしているのか
― 仕訳から財務諸表までを一気に整理する ―

第20回から第24回にかけて、
私たちは決算の流れを段階的に見てきました。

今回はそれをまとめて、
決算とは結局、何をしている作業なのか
を整理します。


1. 決算とは何のために行うのか

決算の目的は、ひとことで言えば次の通りです。

一定期間(通常は1年)の
経営成績財政状態
正しく外部に示すこと

そのために、日々の取引をそのまま集計するのではなく、
決算特有の調整を行います。


2. 決算の全体像(流れの整理)

決算は、次の順序で進みます。

段階 何をしているか
日々の仕訳 取引をその都度記録(現金に近い)
試算表 記録が正しいかを確認
決算整理仕訳 期間のズレを修正(発生主義)
精算表 決算作業全体を一覧で確認
財務諸表 結果を外部に報告

3. 決算整理でやっていること(再確認)

決算整理仕訳では、次のような処理を行いました。

処理内容 意味
減価償却 過去の支出を期間配分
前払・未払 費用の時間調整
前受・未収 収益の時間調整
引当金 将来リスクの見積り

これらはすべて、

現金ではなく「期間」で
利益を正しく計算するための処理

でした。


4. 精算表の役割(総整理)

精算表は、決算の中でも特に重要な位置にあります。

役割 意味
整理 決算整理の影響を横断的に確認
確認 計算ミス・転記ミスの防止
橋渡し 試算表から財務諸表への接続

5. 財務諸表で最終的に何が分かるのか

決算の最終成果物は、
損益計算書(P/L)貸借対照表(B/S)です。

書類 分かること
損益計算書 1年間でどれだけ儲かったか
貸借対照表 期末時点でどれだけの財産があるか

決算とは、
この2つを正しく作るための一連の作業
だと言えます。


まとめ

  • 決算は「特別な作業」ではない
  • 日々の取引を期間で整理し直すだけ
  • 精算表は決算の地図
  • 最終目的は正しい財務諸表

ここまで理解できれば、
決算は暗記ではなく、流れで説明できる
ようになります。


次回予告

次回からは、
決算で作った財務諸表の読み方に進みます。

数字の意味を、
経営の視点で読み取る練習をしていきます。

第24回 簿記入門(17) 精算表と財務諸表の関係

第24回 簿記入門(17)
精算表から財務諸表をどう読み取るのか
― 損益計算書・貸借対照表が完成する瞬間 ―

前回(第23回)では、
精算表は決算作業を一覧で確認するための表
だということを学びました。

今回は一歩進んで、
精算表のどこを見れば、損益計算書と貸借対照表が完成するのか
を整理します。


1. 精算表は「完成図」ではない

まず大切な前提を確認します。

精算表そのものが、
財務諸表ではありません。

精算表はあくまで、

  • 決算整理が正しく行われたか
  • 数字がどこへ流れていくか

を確認するための途中経過の表です。


2. 精算表の「右側」が重要

精算表は横に区分が並んでいますが、
実際に財務諸表になるのは、右側の欄です。

精算表の欄 役割
損益計算書欄 収益・費用を集め、当期純利益を計算する
貸借対照表欄 資産・負債・純資産を確定させる

左側(試算表・決算整理欄)は、
あくまで「そこへ至るまでの過程」です。


3. 損益計算書はどこから作るのか

損益計算書(P/L)は、

精算表の「損益計算書欄」だけを縦に集計して作る

書類です。

精算表の項目 損益計算書での扱い
収益の金額 上から順に合計される
費用の金額 収益から差し引かれる
差額 当期純利益(または損失)

つまり、
精算表の右側を見れば、すでにP/Lは完成している
ということです。


4. 貸借対照表はどこから作るのか

貸借対照表(B/S)も同じです。

精算表の「貸借対照表欄」だけを集計して作る

精算表の項目 B/Sでの意味
資産 期末時点で会社が持っている財産
負債 将来支払う義務
純資産 返済不要の自己資本

ここに、

損益計算書で確定した当期純利益が、
純資産として組み込まれる

ことで、
貸借対照表が完成します。


5. 精算表から財務諸表を読むコツ

精算表を見て混乱しないためには、
次の見方を意識すると効果的です。

見るポイント 理由
左右の合計が一致しているか 計算ミス・転記ミスの防止
P/L欄とB/S欄を分けて考える 役割の混同を防ぐ
利益がどこへ行ったか 損益と財産のつながりを理解する

まとめ

  • 精算表は「流れ」を確認する表
  • 右側の欄が財務諸表の元データ
  • P/Lで利益を確定し、B/Sへ引き継ぐ
  • 精算表が読めれば、決算は怖くない

ここまで理解できれば、
決算の全体像は完全に頭の中で再現できる
ようになります。


次回予告(第25回)

次回は、
決算の全体像を最初から最後まで総復習します。

仕訳 → 決算整理 → 精算表 → 財務諸表、
その流れを一気に整理します。

第23回 簿記入門(16) 精算表

第23回 簿記入門(16)
精算表とは何をしている表なのか
― 決算の全工程を1枚で確認する ―

前回(第22回)では、
損益振替・資本振替によって帳簿を締める意味を整理しました。

今回は、決算作業の流れを
1枚の表でまとめて確認できる道具
精算表を扱います。


1. 精算表とは何か

精算表とは、

試算表から決算整理、
そして損益計算書・貸借対照表までの流れを
一覧で確認するための表

です。

大切なポイントは、

  • 帳簿そのものではない
  • 試験や学習用に作られた「整理のための表」

だということです。


2. 精算表は何のために使うのか

決算では、

  • 決算整理仕訳
  • 損益計算書の作成
  • 貸借対照表の作成

と、多くの作業が連続します。

精算表は、それらを

「ちゃんとつながっているか」
「数字が合っているか」

を確認するためのチェックシートです。


3. 精算表の基本構造

精算表は、横に区分が並ぶ形をしています。

区分 内容
試算表 決算整理前の残高
決算整理 前払・未払・減価償却などの修正
損益計算書 収益・費用を集計
貸借対照表 資産・負債・純資産を集計

左から右へ見ていくことで、
決算の流れをそのまま追える構造になっています。


4. 具体例で見る精算表の考え方

例えば、次のような決算整理があったとします。

内容 処理
前払家賃が1か月分残っていた 前払費用として資産計上
給料の未払いがあった 未払費用として負債計上

これらは、

  • 決算整理欄で修正され
  • 損益計算書欄に費用が反映され
  • 貸借対照表欄に資産・負債が反映される

という流れで、
横方向につながっていきます


5. 精算表を見るときのコツ

精算表は、
細かい数字を追うよりも、次の点を見るのが大切です。

チェックポイント 見る理由
左右が必ず一致しているか 仕訳のミスを防ぐため
決算整理がどこに影響しているか 処理の意味を理解するため
P/LとB/Sに正しく振り分けられているか 財務諸表作成の確認

まとめ

  • 精算表は決算作業の「地図」
  • 帳簿ではなく、整理・確認のための表
  • 決算の流れを横に追えるのが最大の特徴
  • 理解できれば、決算は一気に楽になる

精算表を使って考えられるようになると、
決算は暗記ではなく流れで処理できるようになります。


次回予告(第24回)

次回は、
精算表と財務諸表の関係をもう一歩深めます。

精算表のどこを見れば、
損益計算書・貸借対照表が完成するのかを整理します。

第22回 簿記入門(15) 損益振替・資本振替

前回(第21回)では、
決算整理後試算表から、損益計算書と貸借対照表が作られる
ことを確認しました。

今回はその続きとして、
帳簿を締める作業、つまり
損益振替・資本振替を扱います。


1. 帳簿を「締める」とは何をすることか

「帳簿を締める」と聞くと、
特別な作業を想像しがちですが、やっていることはシンプルです。

1年間使った勘定科目をリセットし、
次の期をゼロから始められるようにする

そのために使われるのが、
損益振替資本振替です。


2. なぜ振替が必要なのか

収益や費用の勘定は、
1年間の成績を記録するためのものです。

そのまま残してしまうと、
翌年の成績と混ざってしまいます。

そこで、

  • 今年の収益・費用 → 今年で完結させる
  • 翌年はまたゼロから記録する

という区切りをつける必要があります。


3. 損益振替とは何か

損益振替とは、

すべての収益・費用を、
「損益」勘定に集める作業

です。

対象 意味
収益 すべて損益勘定へ振り替える
費用 すべて損益勘定へ振り替える

この結果、
損益勘定の残高=当期純利益(または損失)
になります。


4. 資本振替とは何か

資本振替は、損益振替の次のステップです。

損益勘定に集まった利益(または損失)を、
資本(純資産)へ移す作業

振替内容 意味
利益の場合 純資産が増える
損失の場合 純資産が減る

これにより、
今年の成績が、会社の財産に反映されます。


5. 損益振替と資本振替の関係(整理)

手順 何をしているか
損益振替 収益・費用をまとめて、当期の利益を確定
資本振替 確定した利益を、純資産に組み込む

この2つを行うことで、
帳簿は次の期に向けてリセットされます。


まとめ

  • 帳簿を締める=区切りをつける
  • 損益振替で「今年の成績」を確定
  • 資本振替で「会社の財産」に反映
  • 翌期はまたゼロからスタート

ここまで理解できれば、
決算の流れは完全に一本につながります。


次回予告(第23回)

次回は、
精算表とは何かを扱います。

決算整理・損益振替・財務諸表作成を、
1枚でまとめる道具として整理します。