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第47回 前払・未払・未収・前受を「実例」で完全整理する

決算整理仕訳で多くの人がつまずく原因は、
前払・未払・未収・前受を「言葉」で覚えようとすることにあります。

しかし、実戦では言葉の暗記は役に立ちません。

必要なのは、
「何が、いつの損益か」
を実例で判断できる力です。

今回は、試験で頻出のパターンを実例ベースで整理していきます。


1.まずは超基本ルール

決算整理で考えることは、これだけです。

「この収益・費用は、今期のものか?」

YESなら → そのまま
NOなら → 決算整理仕訳で修正

これを頭に置いたまま、実例を見ていきましょう。


2.前払費用の実例

例①
7月1日に1年分の家賃120,000円を現金で支払った。
決算日は12月31日。

まず、日本語に戻します。

  • 1年分まとめて払った
  • でも使ったのは6か月分だけ

→ 払いすぎている費用がある

決算整理仕訳

前払費用 60,000 / 地代家賃 60,000

「払ったけど、まだ今期の費用じゃない」
これが前払費用です。


3.未払費用の実例

例②
12月分の水道光熱費8,000円は、翌年1月に支払う予定である。

日本語にすると、

  • もう使っている
  • でも、まだ払っていない

→ 足りない費用を追加する

決算整理仕訳

水道光熱費 8,000 / 未払費用 8,000

「使ったのに、まだ払っていない」
これが未払費用です。


4.未収収益の実例

例③
定期預金の利息5,000円は翌年に受け取る予定である。

ここでのポイントは、

  • 現金はまだ入っていない
  • でも、今期分の収益である

決算整理仕訳

未収収益 5,000 / 受取利息 5,000

「もらっていないけど、今期の収益」
これが未収収益です。


5.前受収益の実例

例④
来期分の家賃50,000円を、今期中に受け取っている。

ここでは、

  • 現金はもう受け取っている
  • でも、来期の収益である

決算整理仕訳

家賃収入 50,000 / 前受収益 50,000

「もらいすぎた収益」
これが前受収益です。


6.4つを一気に見分けるコツ

状況 処理
払ったけど、まだ費用でない 前払費用
使ったけど、まだ払っていない 未払費用
もらっていないが、今期の収益 未収収益
もらったが、来期の収益 前受収益

言葉ではなく、状況で判断しましょう。


まとめ

  • 前払・未払・未収・前受は暗記しない
  • 「いつの損益か」で判断する
  • 日本語に戻すと必ず正解に近づく

次回は、
👉 「減価償却を実例で完全に腹落ちさせる」
をテーマに進めると、決算整理がさらに安定します。

第46回 決算整理仕訳で一気に点を落とす人の共通点

税理士試験(特に簿記論・財務諸表論)で、
合否を大きく左右するのが「決算整理仕訳」です。

実はここ、

  • 理屈は分かっている
  • 個別論点も理解している

それでも点を落とす人が非常に多い分野です。

今回は、
「なぜ決算整理で崩れるのか」
その共通点を整理していきます。


1.決算整理仕訳は「特別」だと思ってしまう

まず一番多いのが、この思い込みです。

「決算整理仕訳は難しい」
「普段の仕訳とは別物」

しかし実際には、決算整理仕訳も通常仕訳の延長です。

違うのは、
「期間をまたぐかどうか」
それだけです。

特別扱いすると、逆に頭が混乱します。


2.「現金が動かない仕訳」が苦手

決算整理仕訳が苦手な人の多くは、

  • 現金・預金が出てこない
  • 目に見える動きがない

仕訳に不安を感じます。

代表例は、

  • 前払費用・未払費用
  • 未収収益・前受収益
  • 減価償却費

ここで大事なのは、
「現金ではなく、期間を見る」
という視点です。


3.決算整理の基本は「ズレの修正」

決算整理仕訳は、難しく考える必要はありません。

やっていることは、常にこれです。

「今期の損益と、実際の取引のズレを直す」

たとえば、

  • 払ったけど、まだ今期の費用じゃない → 前払費用
  • 使ったけど、まだ払っていない → 未払費用

すべて、ズレを元に戻しているだけです。


4.よくある失点パターン

① 前払・未払・未収・前受がごちゃごちゃ

言葉を覚えようとすると、必ず混乱します。

覚えるべきなのは、
「今期の収益・費用かどうか」
それだけです。

② 減価償却を丸暗記している

定額法・定率法の計算以前に、

  • なぜ費用になるのか
  • なぜ毎期分けるのか

ここが曖昧だと、応用で崩れます。

③ 決算整理仕訳を後回しにする

本試験では、最後に残すほど危険です。

迷いやすい論点ほど、
早めに処理する勇気が必要です。


5.決算整理を安定させる考え方

  • 現金ではなく「期間」を見る
  • 増えすぎた収益・費用を減らす
  • 足りない収益・費用を足す

この3点を意識するだけで、
決算整理仕訳は一気に整理されます


まとめ

  • 決算整理仕訳は特別ではない
  • やっているのは「ズレの修正」
  • 現金ではなく期間で考える

次回は、
👉 「前払・未払・未収・前受を一発で整理する思考法」
をテーマに進めると、かなり実戦力が上がります。

第45回 実戦で差がつく「仕訳の総合力」――売上・仕入・諸経費を一気に処理する

第45回 実戦で差がつく「仕訳の総合力」――売上・仕入・諸経費を一気に処理する

ここまで、

  • 売上の認識
  • 仕入の処理
  • 各種費用(旅費交通費・通信費・消耗品費など)

を個別には見てきました。

しかし、試験で問われるのは「1つずつ」ではありません。
実際の問題では、これらがまとめて、連続して、しかも時間制限つきで出てきます。

今回は、「実戦で仕訳が崩れやすいポイント」を意識しながら、
仕訳の総合処理力を鍛えていきましょう。


1.実戦問題で起こりがちなミス

まず、よくある失敗から整理します。

① 勘定科目は合っているが、貸借が逆

→ 理解不足というより、スピード優先による事故が多いです。

② 消費税の扱いで迷って止まる

→ 税抜・税込の判断に時間を使いすぎるケースです。

③ 仕訳は合っているのに、金額を間違える

→ 問題文を「流し読み」しているサインです。

これらはすべて、知識の問題ではなく「処理の型」ができていないことが原因です。


2.仕訳は「3ステップ」で処理する

実戦では、次の順番を体に染み込ませるのが重要です。

ステップ① 取引の性質を一瞬で判断

  • 売上か
  • 仕入か
  • 費用か
  • 資産の増減か

ここで迷うと、すべてが崩れます。

ステップ② 現金か、掛けか

  • 現金・普通預金 → すぐ動く
  • 売掛金・買掛金 → 将来動く

まず「現金が動いたか?」を見るクセをつけましょう。

ステップ③ 費用・収益は期間対応を意識

  • 今期の費用か
  • 次期以降の費用か

ここが、後の決算整理仕訳につながります。


3.総合例題で確認してみる

例)
商品100,000円を掛けで販売した。送料3,000円を現金で支払った。
なお、送料は当社負担とする。

この場合、取引は2つあります。

① 商品の販売

売掛金 100,000 / 売上 100,000

② 送料の支払い

発送費 3,000 / 現金 3,000

ここで重要なのは、「売上と送料を無理にまとめない」ことです。

試験では、
「まとめて1仕訳にしなさい」
とは、ほぼ書かれていません。


4.仕訳を速く、正確にするコツ

✔ 勘定科目を増やしすぎない

初心者ほど細かく分けたがりますが、試験では標準的な科目で十分です。

✔ 迷ったら立ち止まらない

完璧を狙わず、7割の確信で書いて次に進む勇気も必要です。

✔ 仕訳は「文章を日本語に戻す」

一度、頭の中で「何が起きたか」を短い日本語に戻すと、ミスが激減します。


5.ここが合否を分ける

税理士試験(特に簿記論・財表)では、

  • 難問を解ける人

よりも

  • 基本を崩さない人

が合格します。

仕訳の総合力は、点数を積み上げるための土台です。


まとめ

  • 仕訳は「知識」より「型」
  • 実戦では複数取引を冷静に分解
  • 迷わず、止まらず、基本を守る

次回は、
👉 「決算整理仕訳で一気に点を落とす人の共通点」
をテーマに進めるのがおすすめです。

第44回 売却・除却が出てきたら、減価償却は「いつまで?」を考える<

前回は、期中取得と月割計算を扱いました。

今回は、減価償却で最後に大きな落とし穴になる、
固定資産の売却・除却をテーマにします。

ここを苦手にしている受験生は非常に多いですが、
理由ははっきりしています。


売却・除却で混乱する理由

売却や除却が出てくると、多くの人はこうなります。

  • 減価償却をいくらまで計上するのか分からない
  • 売却益・売却損の計算がぐちゃぐちゃになる
  • 仕訳の順序に迷う

しかし、ここでも考え方は一貫しています。


「その資産を、いつまで使ったのか」

これだけです。


まず大原則を確認する

固定資産を売却・除却した場合、


減価償却は、売却・除却した日まで

しか行いません。

当たり前のことですが、

  • もう使っていない
  • 会社に存在しない

資産について、それ以降の減価償却はあり得ません。


【具体例】期中に売却した場合

次の例で確認しましょう。

  • 取得価額:120万円
  • 耐用年数:5年
  • 定額法
  • 期首帳簿価額:72万円
  • 7月1日に売却

まず、1年分の減価償却費を確認します。


120万円 ÷ 5年 = 24万円

次に、当期に「何か月使ったか」を考えます。

7月1日売却なので、

  • 1月〜6月
  • 6か月間使用

しています。

したがって、当期の減価償却費は、


24万円 × 6か月 ÷ 12か月 = 12万円

です。


売却時点の帳簿価額を求める

期首帳簿価額は72万円でした。

そこから、当期分の減価償却費12万円を引くと、


72万円 − 12万円 = 60万円

これが、売却時点の帳簿価額です。

売却価額と比較するのは、
この60万円です。


売却損益を計算する

仮に、この固定資産を65万円で売却したとします。

  • 売却価額:65万円
  • 帳簿価額:60万円

差額は、


65万円 − 60万円 = 5万円

よって、固定資産売却益 5万円が発生します。


仕訳の流れを整理する

売却時の仕訳は、流れで考えると整理しやすくなります。

  1. 当期分の減価償却を計上する
  2. 帳簿価額を確定させる
  3. 売却損益を計算する

結果として、次のような仕訳になります。


(借方)現金 650,000
(借方)減価償却累計額 600,000
(貸方)固定資産 1,200,000
(貸方)固定資産売却益 50,000

※減価償却累計額は、売却時点までの累計額です。


除却の場合はどうなるか

除却の場合も、考え方は同じです。

違うのは、

  • 売却価額がない

という点だけです。

帳簿価額がそのまま、


固定資産除却損

になります。


よくある失点パターン

  • 売却後も1年分の減価償却をしてしまう
  • 期首帳簿価額をそのまま使ってしまう
  • 減価償却と売却損益を混ぜて考える

これらはすべて、


「いつまで使ったか」

を意識していないことが原因です。


第44回のまとめ

  • 減価償却は、売却・除却した日まで
  • まず帳簿価額を正確に出す
  • 売却損益・除却損はその後に考える

次回は、減価償却シリーズの総まとめとして、
本試験で減価償却を落とさないための整理を行います。

ここまで理解できれば、減価償却は得点源にできます。

第43回 期中取得・月割計算で迷わなくなる考え方

第43回 期中取得・月割計算で迷わなくなる考え方

前回は、減価償却の考え方そのものを整理しました。

今回は、試験で一気にミスが増えるポイント、
期中取得と月割計算を扱います。

ここで点を落とす人は本当に多いのですが、
理由はとても単純です。


期中取得で何が難しくなるのか

期中取得になると、多くの受験生はこう考えます。

  • とりあえず月割にする
  • 公式を思い出す
  • 何か12で割る

そして、


「合っているはずなのに、なぜか点が取れない」

という状態になります。

これは、月割計算を「作業」として扱っていることが原因です。


月割計算の本質はこれだけ

期中取得でも、考えることは前回と同じです。


「その資産を、何か月使ったのか」

これだけです。

定額法であれば、


1年分の減価償却費 × 実際に使った月数 ÷ 12

という形になりますが、
これは結果としてそうなるだけです。


【具体例】7月1日に固定資産を取得した場合

次の例で考えてみましょう。

  • 取得価額:120万円
  • 耐用年数:5年
  • 定額法
  • 7月1日取得

まず、1年分の減価償却費はいくらでしょうか。


120万円 ÷ 5年 = 24万円

次に、「何か月使ったか」を考えます。

7月1日取得なので、

  • 7月〜12月
  • 合計6か月

使っています。

したがって、当期の減価償却費は、


24万円 × 6か月 ÷ 12か月 = 12万円

となります。


仕訳を確認する

当期に計上する仕訳は次のとおりです。


(借方)減価償却費 120,000
(貸方)減価償却累計額 120,000

ここでも大切なのは、


「半年分だけ使ったから、半年分だけ費用にしている」

という感覚です。


よくある失点パターン① 月数を機械的に数える

典型的なミスが、

  • 取得月を含めるかどうか迷う
  • とりあえず6か月・7か月にしてしまう

というものです。

迷ったときは、


「いつから業務に使い始めたのか」

を問題文から冷静に読み取ってください。

試験では、意図的に迷わせる表現が使われます。


よくある失点パターン② 1年分を計上してしまう

期中取得にもかかわらず、

  • 月割を忘れる
  • 条件を読み飛ばす

ことで、1年分の減価償却費を計上してしまうケースです。

これは、


「減価償却=毎年同じ金額」

という思い込みが原因です。

あくまで、


「使った期間分だけ」

という原則に戻りましょう。


期中取得は「難しい処理」ではない

期中取得という言葉に身構える必要はありません。

やっていることは、

  • 1年分を計算する
  • 使った月数を考える
  • 対応させる

それだけです。

この順序を崩さなければ、
計算ミスも、仕訳ミスも大きく減ります。


第43回のまとめ

  • 期中取得でも考え方は同じ
  • 月割計算は「作業」ではなく「期間対応」
  • 使った月数を必ず意識する

次回は、
固定資産の売却・除却がある場合の減価償却を扱います。

「いつまで償却するのか」という、もう一つの落とし穴を整理していきましょう。

第42回 減価償却は「計算」より先に、考え方で8割決まる

第42回 減価償却は「計算」より先に、考え方で8割決まる

ここからはいよいよ、具体的な試験テーマに入っていきます。
第42回で取り上げるのは、税理士試験で必ず出題され、かつ差がつきやすいテーマ、
減価償却です。

減価償却というと、

  • 定額法・定率法
  • 耐用年数
  • 期首・期中取得

といった計算ルールを思い浮かべる人が多いと思います。

しかし、実際の試験では


「計算はできるのに点が取れない」

という人が、非常に多い分野でもあります。


なぜ減価償却はミスが多いのか

理由ははっきりしています。

  • 計算手順だけを暗記している
  • 「なぜ費用になるのか」を意識していない
  • 期中取得・売却時の意味を理解していない

その結果、

  • 月割計算を機械的に当てはめる
  • 仕訳の意味を考えずに数字だけ合わせる
  • 問題文の条件を読み飛ばす

といったミスが起きます。

減価償却は、計算問題でありながら「考え方の問題」なのです。


減価償却の本質を一言で言うと

減価償却とは何か。

難しく考える必要はありません。


「長く使うものの代金を、使った期間に分けて費用にする」

ただそれだけです。

たとえば、次の例を見てください。


【具体例】コピー機を購入した場合

ある会社が、業務用コピー機を100万円で購入したとします。
このコピー機は、5年間使う予定です。

このとき、購入した年に100万円すべてを費用にしてしまうと、

  • 初年度だけ費用が大きくなる
  • 翌年以降は、コピー機を使っているのに費用が出てこない

という不自然な結果になります。

そこで、


「毎年使った分だけ、少しずつ費用にしよう」

と考える。
これが減価償却です。


定額法の基本を確認する

まずは最も基本的な定額法から確認します。

先ほどのコピー機の例を使います。

  • 取得価額:100万円
  • 耐用年数:5年
  • 残存価額:0円(とする)

この場合、1年あたりの減価償却費は、


100万円 ÷ 5年 = 20万円

です。

毎年、20万円ずつ費用にしていきます。


仕訳を「丸暗記」しない

ここで仕訳を確認します。


(借方)減価償却費 200,000
(貸方)減価償却累計額 200,000

この仕訳を、ただ暗記してしまう人が多いのですが、
重要なのは意味です。

  • 減価償却費:その年に使った分の費用
  • 減価償却累計額:これまでに使った分の合計

つまり、


「費用を計上しつつ、資産の価値を少しずつ減らしている」

という処理をしているだけです。


ここでよくある失点ポイント

減価償却で点を落とす人には、典型的なパターンがあります。

  • 計算は合っているのに仕訳を間違える
  • 期中取得なのに月割を忘れる
  • 売却・除却があるのに1年分計上してしまう

これらはすべて、


「その資産を、いつからいつまで使ったのか」

を考えていないことが原因です。


第42回のまとめ

  • 減価償却は計算問題だが、本質は考え方
  • 「使った期間」に対応させる意識が最重要
  • 仕訳は意味を理解して切る

次回は、
期中取得・月割計算をテーマに、
試験でよく出るパターンを具体的に見ていきます。

減価償却は、ここで一度しっかり整理しておきましょう。

第41回 ここからは「合格するための勉強」に入ります

第41回 ここからは「合格するための勉強」に入ります

ここまで40回にわたって、税理士試験(主に簿記・会計)の全体像や考え方を解説してきました。

ここで、正直なところを一度きちんと整理しておきたいと思います。


「この内容だけで試験に合格できるか?」

結論から言うと、まだ足りません

そして、それは欠点ではなく、むしろ正しい順序です。


なぜ、ここまでは「合格できるレベル」まで踏み込まなかったのか

税理士試験、とくに簿記論・財務諸表論は、

  • 仕訳を正確に切れるか
  • 計算を最後まで崩さずにできるか
  • ひっかけや定番ミスを回避できるか

で合否が決まる試験です。

その一方で、多くの受験生がつまずく原因は、とてもシンプルです。

  • なぜその処理をするのか分からない
  • 暗記した仕訳が少し形を変えられると対応できない
  • 「わかったつもり」で問題演習に突入してしまう

そこでこのシリーズの前半40回は、

  • 会計の考え方
  • 費用・収益・資産・負債の関係
  • 「数字の裏で何が起きているのか」

を、あえて試験テクニックに寄せすぎず解説してきました。

これは、後半で本格的に問題を解くための土台作りです。


ここから先はフェーズが変わります

第41回以降は、はっきり方向性を切り替えます。


ここからは「理解する」ではなく、「解けるようになる」ための内容です。

具体的には、次の3点を強く意識して進めていきます。

① テーマを絞って、徹底的に掘り下げる

今後は、

  • 減価償却
  • 売掛金・貸倒引当金
  • 棚卸資産
  • 固定資産の売却・除却

といったテーマを、1つずつ取り上げます。

そして、

  • なぜその仕訳になるのか
  • 試験ではどう聞かれるのか
  • どこでミスが起きやすいのか

を、かなり細かく見ていきます。

② 「よくある失点パターン」を先に潰す

税理士試験は、


「難しい問題が解ける人」よりも
「当たり前の問題を落とさない人」

が合格します。

そのため今後は、

  • なぜそこで点を落とすのか
  • どう考えれば回避できるのか
  • 割り切っていいポイントはどこか

といった実戦視点を前面に出します。

③ 小さな例題で「手を動かす」

読むだけで終わらせないために、

  • 簡単な数字
  • 短い計算
  • 思考の流れが追える解説

を組み合わせていきます。

「なぜその計算になるのか」を言葉で説明できる状態を目指します。


第41回のまとめ

  • ここまでの40回は、合格への準備段階
  • 足りないと感じるのは、感覚として正しい
  • 第41回以降は、合格に直結する内容に踏み込む

次回からは、具体的なテーマを取り上げて、
「なぜ間違えるのか」「どうすれば解けるのか」
を一緒に確認していきます。

いよいよ、税理士試験の本丸に入っていきましょう。

第40回 簿記入門(実戦練習編⑤) 直前総まとめ

第40回 簿記入門(実戦練習編⑤・最終回)
簿記2級 直前総まとめ
― 合格者が試験当日に考えていること ―

第36回からここまで、
簿記2級合格を目的とした「実戦練習編」
を進めてきました。

最終回となる今回は、

試験直前・試験当日に頭の中で整理しておきたいこと

を、
できるだけシンプルにまとめます。


1. 簿記2級で本当に求められている力

簿記2級は、

知識量を競う試験ではありません

求められているのは、

  • よく出る論点を知っている
  • 決まった型で処理できる
  • 時間内に形にできる

という再現性です。


2. 直前に必ず確認したい論点一覧

分野 確認ポイント
決算整理仕訳 前払・未払・前受・未収、減価償却、引当金
精算表 整理→P/L→B/S の順番
損益計算書 費用・収益の区分、当期純利益
貸借対照表 資産・負債・純資産の整理

新しい論点を増やす必要はありません。

ここに挙げた内容が「自然に出てくる」状態が理想です。


3. 試験当日の頭の使い方

① 全体を見て戦略を決める
② 取れる問題から取る
③ 深追いしない

特に重要なのは、

「迷ったら後回しにする」判断

です。


4. 合格者がやらないこと

やらないこと 理由
満点を狙う 時間が足りなくなる
初見論点に時間を使う 得点効率が悪い
最後に新しい問題を解く ミスが増える

合格者は、

「やらないこと」を事前に決めています。


5. 残り5分の最優先チェック

借方・貸方が逆になっていないか
当期純利益がP/LとB/Sで一致しているか
転記漏れがないか

この確認だけで、

防げる失点は非常に多い

というのが実情です。


6. 簿記を学んだ意味

簿記は、

  • 会社の数字の見方
  • 利益と現金の違い
  • 経営判断の土台

を理解するための言語です。

試験が終わったあとも、

この視点は必ず役に立ちます。


まとめ

  • 簿記2級は戦略の試験
  • 取れるところを確実に取る
  • 順番と判断基準を守る

ここまで読み進めた方は、
すでに合格に必要な考え方を身につけています。

落ち着いて、
いつも通り処理してください。

第39回 簿記入門(実戦練習編④) 試験本番の時間配分

第39回 簿記入門(実戦練習編④)
試験本番で勝つための時間配分と解き方
― 解く問題・捨てる問題の判断基準 ―

前回(第38回)では、
財務諸表(P/L・B/S)を時間内に完成させる手順
を確認しました。

今回は、
試験本番で「どう戦うか」
に焦点を当てます。


1. 簿記2級は「満点を取る試験」ではない

まず大前提として、

簿記2級は、
満点を狙う試験ではありません

合格に必要なのは、

  • 取れる問題を確実に取る
  • 危険な問題に深入りしない

という判断力です。


2. 試験時間の目安配分

区分 内容 目安時間
第1問 仕訳問題 15分
第2問 文章問題・補助簿など 20分
第3問 精算表・財務諸表 45分

この配分を超えたら、必ず切り上げます。


3. 問題を見た瞬間にやること

① 全体をざっと確認(2分)
② 取れそうな問題に印をつける
③ 難しそうな問題は後回しに決定

この時点で、

「全部解こう」と考えない

ことが重要です。


4. 第1問(仕訳問題)の戦い方

第1問は、

  • 得点源
  • スピード勝負

です。

判断 対応
見た瞬間に型が浮かぶ 即解答
考えないと分からない 後回し
初見論点 捨てる

仕訳は完答主義にこだわらないことが大切です。


5. 第3問(精算表・財務諸表)の優先順位

第3問では、次の順で処理します。

作業 理由
決算整理仕訳 得点源・後工程に影響
損益計算書 数字が少ない
貸借対照表 残りを埋めるだけ

精算表が完璧でなくても、P/Lだけ先に作る判断もあり


6. 捨てる判断の基準

状況 判断
処理手順が思い出せない 捨てる
計算が複雑すぎる 後回し
部分点が狙える 最低限書く

迷った時点で時間を使いすぎです。


7. 残り5分でやること

符号(借方・貸方)の確認
当期純利益の一致確認
転記ミスのチェック

新しい問題には手を出さない


まとめ

  • 簿記2級は戦略の試験
  • 時間配分は事前に決める
  • 捨てる勇気が合格を呼ぶ

次回は、
簿記2級・直前総まとめ
を行います。

第38回 簿記入門(実戦練習編③) 財務諸表作成

第38回 簿記入門(実戦練習編③)
財務諸表を時間内に作る
― P/L・B/S 作成問題の実戦攻略 ―

前回(第37回)では、
精算表を一気に完成させる手順
を確認しました。

今回は、その最終ゴールである

財務諸表作成問題(損益計算書・貸借対照表)

を、
試験時間内に確実に完成させる
ための実戦的な考え方を整理します。


1. 財務諸表作成問題の位置づけ

簿記2級では、

  • 精算表
  • 決算整理後試算表
  • 財務諸表作成

がセットで出題されることが多く、

財務諸表は「最後に書く作業」

になります。

つまり、

時間が足りなくなると、
まっ先に犠牲になる

部分でもあります。


2. 財務諸表作成で失敗する典型例

失敗例 原因
どこから書くか迷う 順番を決めていない
金額を写し間違える 転記の確認不足
時間が足りない 全部を丁寧にやりすぎ

これを防ぐには、

「書く順番」を固定する

ことが重要です。


3. 財務諸表はこの順番で書く

内容 理由
損益計算書(費用・収益) 数字が少なく計算が簡単
当期純利益 B/Sに必ず使う
貸借対照表(資産・負債) 残りを埋めるだけ

先にP/L、後でB/S

が鉄則です。


4. 実戦例:損益計算書を先に完成させる

精算表から、
費用・収益科目だけを抜き出します。

科目 金額
売上 500,000
給料 180,000
減価償却費 20,000
貸倒引当金繰入 10,000

計算すると、

当期純利益 = 290,000

となります。


5. 当期純利益は「橋渡しの数字」

当期純利益は、

  • 損益計算書の最下段
  • 貸借対照表の純資産の部

両方に登場します。

この金額が一致しない=必ずどこかでミス


6. 貸借対照表は「残りを埋める」

B/Sでは、

  • 現金
  • 売掛金(−貸倒引当金)
  • 備品(−減価償却累計額)
  • 買掛金
  • 資本金
  • 当期純利益

を転記していきます。

この時点では、

新しい計算はほぼありません。


7. 最後の確認ポイント(必須)

損益計算書の計算は合っているか
当期純利益はP/LとB/Sで一致しているか
貸借対照表の左右は一致しているか

この3点を確認するだけで、

大きな失点は防げます。


まとめ

  • 財務諸表は順番がすべて
  • 先にP/L、後でB/S
  • 当期純利益は最重要チェックポイント

次回は、
試験での時間配分と解き方
を扱います。