日別アーカイブ: 2026年4月6日

第27回 簿記入門(27) 有価証券の基礎(取得・評価・売却の仕訳と評価差損益)

学習を進める中で、「有価証券の処理」がややこしく感じられるのは自然なことです。まずは分類をきちんと整理し、それぞれの期末処理と代表的な仕訳を押さえることが大切です。試験では、評価差額をどう扱うかが問われやすいので、そこを中心に確認していきましょう。最後に短時間で復習できるチェックポイントも付けています。

有価証券の分類と期末処理

分類 目的 期末評価 損益計上 代表的な勘定科目
売買目的有価証券 短期売買による利益獲得 時価で評価 評価差額は当期損益に計上 売買目的有価証券、評価差額益、評価差額損
満期保有目的債券 満期まで保有し、利息を得る 取得原価を基礎に償却原価法で処理 評価差額は原則として計上しない 満期保有目的債券、受取利息
その他有価証券 売買目的でも満期保有でもない投資 原則として時価評価 評価差額は純資産の部で処理することが多い その他有価証券評価差額金

代表的な仕訳パターン

取引 借方 貸方 備考
取得(購入) 有価証券 現金・預金 取得時の手数料は取得原価に含める
期末時価評価(売買目的) 有価証券 評価差額益 時価が上昇した場合
期末時価評価(売買目的) 評価差額損 有価証券 時価が下落した場合
受取配当 現金・預金 受取配当金 配当は収益として処理する
売却 現金・預金 有価証券 差額は有価証券売却益または売却損で処理する

評価差額の考え方

たとえば、売買目的有価証券を1,000,000円で取得し、期末時価が1,150,000円になった場合、評価差額は150,000円の評価益です。

項目 金額
取得原価 1,000,000円
期末時価 1,150,000円
評価差額 150,000円(評価益)

この場合の仕訳は次のとおりです。

借方 貸方
有価証券 150,000 評価差額益 150,000

反対に、期末時価が900,000円であれば、100,000円の評価損となります。この場合は、借方に評価差額損、貸方に有価証券を記入します。

試験でよくあるミス

チェック項目 注意点
分類の誤り まず「売買目的」「満期保有」「その他」のどれかを確認する
期末評価の方法 売買目的は時価、満期保有は償却原価が原則
評価差額の処理 当期損益に入れるのか、純資産で処理するのかを区別する
手数料の処理 取得時の手数料は取得原価に含める

練習問題

  1. ある会社が売買目的で株式を1,000,000円で取得し、期末時価が900,000円になった。期末の仕訳を答えなさい。
  2. 満期保有目的の債券を1,000,000円で購入した。期末時価が1,100,000円であっても、どのように処理するか。理由も答えなさい。
解答・解説

1.売買目的有価証券は時価で評価するため、100,000円の評価損を計上します。

借方 評価差額損 100,000 / 貸方 有価証券 100,000

2.満期保有目的債券は、原則として時価評価を行わず、取得原価を基礎に償却原価法で処理します。したがって、期末時価が1,100,000円であっても、その金額に評価替えはしません。

短時間で確認したいポイント

  • 取引の目的は何かを確認する
  • 期末評価が時価か取得原価かを判断する
  • 評価差額が出たとき、どの勘定科目を使うか整理する

まとめ

有価証券の処理は、まず分類を正しく押さえることが出発点です。売買目的有価証券は時価評価を行い、評価差額を当期損益に計上します。満期保有目的債券は、原則として償却原価法によって処理し、時価評価はしません。その他有価証券は、原則として時価評価を行い、その差額の扱いに注意が必要です。

試験では、取得・期末評価・売却のそれぞれの場面で、どの勘定科目を使うかを問われます。表と例題を使って繰り返し確認し、評価差額の処理を手で書けるようにしておくと、得点しやすくなります。

継続のコツ

  • 今日:分類と期末評価の表を確認し、練習問題を1回解く
  • 1週間後:類題を2問解いて仕訳を再確認する
  • 1か月後:複数銘柄を扱う問題で、分類から判断する練習をする