第33回 簿記入門(26)
キャッシュ・フローを改善するにはどうすればいいのか
― 実例で学ぶ、お金が残る会社の考え方 ―
前回(第32回)では、
P/L・B/S・キャッシュ・フローをまとめて読む
方法を学びました。
今回は一歩進んで、
「では、どうすればキャッシュ・フローは良くなるのか」
を考えます。
実務では、
ちょっとした判断の違いで、
お金の残り方が大きく変わります。
1. キャッシュ・フロー改善の基本視点
キャッシュ・フロー改善の基本は、次の3点です。
| 視点 | 考え方 |
|---|---|
| 営業CF | 本業で現金を生む |
| 投資CF | 使いすぎない・使いどころを選ぶ |
| 財務CF | 借り方・返し方を整える |
以下、
よくある実例で見ていきます。
2. 実例① 売上は順調だが現金が足りない会社
ある制作会社では、
- 売上は毎年増えている
- 利益も出ている
にもかかわらず、
常に資金繰りが苦しい状態でした。
原因
| 売掛金の回収が遅い | 入金まで3〜4か月 |
| 支払いは現金 | 外注費・人件費は即時 |
改善策
- 請求書の締日・支払日を見直す
- 一部前金制を導入
- 回収条件を契約時に明確化
売上を増やすより、
回収を早める方が即効性がある
3. 実例② 利益は少ないが現金が残る会社
次は、
一見地味な小売店です。
特徴
- 利益率は高くない
- 派手な成長はない
実態
| 現金売上が中心 | 売掛金がほぼない |
| 在庫管理が厳格 | 余剰在庫を持たない |
「儲ける」より「回す」意識が強い会社
4. 実例③ 投資で失敗しやすいケース
キャッシュ・フローを悪化させる原因として、
非常に多いのが投資の判断ミスです。
よくある失敗
- 売上が伸びる前に大きな設備投資
- 見栄で高額なオフィス移転
- 使いこなせないシステム導入
改善の考え方
| 分割投資 | 小さく始めて様子を見る |
| レンタル・外注 | 固定費を増やさない |
投資は、
「できるか」ではなく「回せるか」
が判断基準です。
5. 実例④ 借入との付き合い方で差が出る
借入金は、
キャッシュ・フロー改善の味方にも敵にもなります。
危ないパターン
- 赤字補填のための借入
- 返済計画のない借入
良い使い方
| 運転資金 | 短期の資金繰りを安定させる |
| 成長投資 | 将来のCF改善につながる |
借入は「時間を買う手段」
6. キャッシュ・フロー改善のチェックリスト
| チェック項目 |
|---|
| 売掛金は増えすぎていないか |
| 在庫を抱えすぎていないか |
| 投資の回収時期を考えているか |
| 借入金の返済計画は現実的か |
まとめ
- キャッシュ・フローは改善できる
- 数字より「流れ」を意識する
- 小さな判断の積み重ねが差になる
会計は、
会社を守り、成長させるための道具です。
次回予告(第34回)
次回は、
「数字に強い経営者・担当者は何を見ているか」
をテーマにまとめます。
