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第43回 期中取得・月割計算で迷わなくなる考え方

第43回 期中取得・月割計算で迷わなくなる考え方

前回は、減価償却の考え方そのものを整理しました。

今回は、試験で一気にミスが増えるポイント、
期中取得と月割計算を扱います。

ここで点を落とす人は本当に多いのですが、
理由はとても単純です。


期中取得で何が難しくなるのか

期中取得になると、多くの受験生はこう考えます。

  • とりあえず月割にする
  • 公式を思い出す
  • 何か12で割る

そして、


「合っているはずなのに、なぜか点が取れない」

という状態になります。

これは、月割計算を「作業」として扱っていることが原因です。


月割計算の本質はこれだけ

期中取得でも、考えることは前回と同じです。


「その資産を、何か月使ったのか」

これだけです。

定額法であれば、


1年分の減価償却費 × 実際に使った月数 ÷ 12

という形になりますが、
これは結果としてそうなるだけです。


【具体例】7月1日に固定資産を取得した場合

次の例で考えてみましょう。

  • 取得価額:120万円
  • 耐用年数:5年
  • 定額法
  • 7月1日取得

まず、1年分の減価償却費はいくらでしょうか。


120万円 ÷ 5年 = 24万円

次に、「何か月使ったか」を考えます。

7月1日取得なので、

  • 7月〜12月
  • 合計6か月

使っています。

したがって、当期の減価償却費は、


24万円 × 6か月 ÷ 12か月 = 12万円

となります。


仕訳を確認する

当期に計上する仕訳は次のとおりです。


(借方)減価償却費 120,000
(貸方)減価償却累計額 120,000

ここでも大切なのは、


「半年分だけ使ったから、半年分だけ費用にしている」

という感覚です。


よくある失点パターン① 月数を機械的に数える

典型的なミスが、

  • 取得月を含めるかどうか迷う
  • とりあえず6か月・7か月にしてしまう

というものです。

迷ったときは、


「いつから業務に使い始めたのか」

を問題文から冷静に読み取ってください。

試験では、意図的に迷わせる表現が使われます。


よくある失点パターン② 1年分を計上してしまう

期中取得にもかかわらず、

  • 月割を忘れる
  • 条件を読み飛ばす

ことで、1年分の減価償却費を計上してしまうケースです。

これは、


「減価償却=毎年同じ金額」

という思い込みが原因です。

あくまで、


「使った期間分だけ」

という原則に戻りましょう。


期中取得は「難しい処理」ではない

期中取得という言葉に身構える必要はありません。

やっていることは、

  • 1年分を計算する
  • 使った月数を考える
  • 対応させる

それだけです。

この順序を崩さなければ、
計算ミスも、仕訳ミスも大きく減ります。


第43回のまとめ

  • 期中取得でも考え方は同じ
  • 月割計算は「作業」ではなく「期間対応」
  • 使った月数を必ず意識する

次回は、
固定資産の売却・除却がある場合の減価償却を扱います。

「いつまで償却するのか」という、もう一つの落とし穴を整理していきましょう。

第42回 減価償却は「計算」より先に、考え方で8割決まる

第42回 減価償却は「計算」より先に、考え方で8割決まる

ここからはいよいよ、具体的な試験テーマに入っていきます。
第42回で取り上げるのは、税理士試験で必ず出題され、かつ差がつきやすいテーマ、
減価償却です。

減価償却というと、

  • 定額法・定率法
  • 耐用年数
  • 期首・期中取得

といった計算ルールを思い浮かべる人が多いと思います。

しかし、実際の試験では


「計算はできるのに点が取れない」

という人が、非常に多い分野でもあります。


なぜ減価償却はミスが多いのか

理由ははっきりしています。

  • 計算手順だけを暗記している
  • 「なぜ費用になるのか」を意識していない
  • 期中取得・売却時の意味を理解していない

その結果、

  • 月割計算を機械的に当てはめる
  • 仕訳の意味を考えずに数字だけ合わせる
  • 問題文の条件を読み飛ばす

といったミスが起きます。

減価償却は、計算問題でありながら「考え方の問題」なのです。


減価償却の本質を一言で言うと

減価償却とは何か。

難しく考える必要はありません。


「長く使うものの代金を、使った期間に分けて費用にする」

ただそれだけです。

たとえば、次の例を見てください。


【具体例】コピー機を購入した場合

ある会社が、業務用コピー機を100万円で購入したとします。
このコピー機は、5年間使う予定です。

このとき、購入した年に100万円すべてを費用にしてしまうと、

  • 初年度だけ費用が大きくなる
  • 翌年以降は、コピー機を使っているのに費用が出てこない

という不自然な結果になります。

そこで、


「毎年使った分だけ、少しずつ費用にしよう」

と考える。
これが減価償却です。


定額法の基本を確認する

まずは最も基本的な定額法から確認します。

先ほどのコピー機の例を使います。

  • 取得価額:100万円
  • 耐用年数:5年
  • 残存価額:0円(とする)

この場合、1年あたりの減価償却費は、


100万円 ÷ 5年 = 20万円

です。

毎年、20万円ずつ費用にしていきます。


仕訳を「丸暗記」しない

ここで仕訳を確認します。


(借方)減価償却費 200,000
(貸方)減価償却累計額 200,000

この仕訳を、ただ暗記してしまう人が多いのですが、
重要なのは意味です。

  • 減価償却費:その年に使った分の費用
  • 減価償却累計額:これまでに使った分の合計

つまり、


「費用を計上しつつ、資産の価値を少しずつ減らしている」

という処理をしているだけです。


ここでよくある失点ポイント

減価償却で点を落とす人には、典型的なパターンがあります。

  • 計算は合っているのに仕訳を間違える
  • 期中取得なのに月割を忘れる
  • 売却・除却があるのに1年分計上してしまう

これらはすべて、


「その資産を、いつからいつまで使ったのか」

を考えていないことが原因です。


第42回のまとめ

  • 減価償却は計算問題だが、本質は考え方
  • 「使った期間」に対応させる意識が最重要
  • 仕訳は意味を理解して切る

次回は、
期中取得・月割計算をテーマに、
試験でよく出るパターンを具体的に見ていきます。

減価償却は、ここで一度しっかり整理しておきましょう。

第41回 ここからは「合格するための勉強」に入ります

第41回 ここからは「合格するための勉強」に入ります

ここまで40回にわたって、税理士試験(主に簿記・会計)の全体像や考え方を解説してきました。

ここで、正直なところを一度きちんと整理しておきたいと思います。


「この内容だけで試験に合格できるか?」

結論から言うと、まだ足りません

そして、それは欠点ではなく、むしろ正しい順序です。


なぜ、ここまでは「合格できるレベル」まで踏み込まなかったのか

税理士試験、とくに簿記論・財務諸表論は、

  • 仕訳を正確に切れるか
  • 計算を最後まで崩さずにできるか
  • ひっかけや定番ミスを回避できるか

で合否が決まる試験です。

その一方で、多くの受験生がつまずく原因は、とてもシンプルです。

  • なぜその処理をするのか分からない
  • 暗記した仕訳が少し形を変えられると対応できない
  • 「わかったつもり」で問題演習に突入してしまう

そこでこのシリーズの前半40回は、

  • 会計の考え方
  • 費用・収益・資産・負債の関係
  • 「数字の裏で何が起きているのか」

を、あえて試験テクニックに寄せすぎず解説してきました。

これは、後半で本格的に問題を解くための土台作りです。


ここから先はフェーズが変わります

第41回以降は、はっきり方向性を切り替えます。


ここからは「理解する」ではなく、「解けるようになる」ための内容です。

具体的には、次の3点を強く意識して進めていきます。

① テーマを絞って、徹底的に掘り下げる

今後は、

  • 減価償却
  • 売掛金・貸倒引当金
  • 棚卸資産
  • 固定資産の売却・除却

といったテーマを、1つずつ取り上げます。

そして、

  • なぜその仕訳になるのか
  • 試験ではどう聞かれるのか
  • どこでミスが起きやすいのか

を、かなり細かく見ていきます。

② 「よくある失点パターン」を先に潰す

税理士試験は、


「難しい問題が解ける人」よりも
「当たり前の問題を落とさない人」

が合格します。

そのため今後は、

  • なぜそこで点を落とすのか
  • どう考えれば回避できるのか
  • 割り切っていいポイントはどこか

といった実戦視点を前面に出します。

③ 小さな例題で「手を動かす」

読むだけで終わらせないために、

  • 簡単な数字
  • 短い計算
  • 思考の流れが追える解説

を組み合わせていきます。

「なぜその計算になるのか」を言葉で説明できる状態を目指します。


第41回のまとめ

  • ここまでの40回は、合格への準備段階
  • 足りないと感じるのは、感覚として正しい
  • 第41回以降は、合格に直結する内容に踏み込む

次回からは、具体的なテーマを取り上げて、
「なぜ間違えるのか」「どうすれば解けるのか」
を一緒に確認していきます。

いよいよ、税理士試験の本丸に入っていきましょう。

第40回 簿記入門(実戦練習編⑤) 直前総まとめ

第40回 簿記入門(実戦練習編⑤・最終回)
簿記2級 直前総まとめ
― 合格者が試験当日に考えていること ―

第36回からここまで、
簿記2級合格を目的とした「実戦練習編」
を進めてきました。

最終回となる今回は、

試験直前・試験当日に頭の中で整理しておきたいこと

を、
できるだけシンプルにまとめます。


1. 簿記2級で本当に求められている力

簿記2級は、

知識量を競う試験ではありません

求められているのは、

  • よく出る論点を知っている
  • 決まった型で処理できる
  • 時間内に形にできる

という再現性です。


2. 直前に必ず確認したい論点一覧

分野 確認ポイント
決算整理仕訳 前払・未払・前受・未収、減価償却、引当金
精算表 整理→P/L→B/S の順番
損益計算書 費用・収益の区分、当期純利益
貸借対照表 資産・負債・純資産の整理

新しい論点を増やす必要はありません。

ここに挙げた内容が「自然に出てくる」状態が理想です。


3. 試験当日の頭の使い方

① 全体を見て戦略を決める
② 取れる問題から取る
③ 深追いしない

特に重要なのは、

「迷ったら後回しにする」判断

です。


4. 合格者がやらないこと

やらないこと 理由
満点を狙う 時間が足りなくなる
初見論点に時間を使う 得点効率が悪い
最後に新しい問題を解く ミスが増える

合格者は、

「やらないこと」を事前に決めています。


5. 残り5分の最優先チェック

借方・貸方が逆になっていないか
当期純利益がP/LとB/Sで一致しているか
転記漏れがないか

この確認だけで、

防げる失点は非常に多い

というのが実情です。


6. 簿記を学んだ意味

簿記は、

  • 会社の数字の見方
  • 利益と現金の違い
  • 経営判断の土台

を理解するための言語です。

試験が終わったあとも、

この視点は必ず役に立ちます。


まとめ

  • 簿記2級は戦略の試験
  • 取れるところを確実に取る
  • 順番と判断基準を守る

ここまで読み進めた方は、
すでに合格に必要な考え方を身につけています。

落ち着いて、
いつも通り処理してください。

第39回 簿記入門(実戦練習編④) 試験本番の時間配分

第39回 簿記入門(実戦練習編④)
試験本番で勝つための時間配分と解き方
― 解く問題・捨てる問題の判断基準 ―

前回(第38回)では、
財務諸表(P/L・B/S)を時間内に完成させる手順
を確認しました。

今回は、
試験本番で「どう戦うか」
に焦点を当てます。


1. 簿記2級は「満点を取る試験」ではない

まず大前提として、

簿記2級は、
満点を狙う試験ではありません

合格に必要なのは、

  • 取れる問題を確実に取る
  • 危険な問題に深入りしない

という判断力です。


2. 試験時間の目安配分

区分 内容 目安時間
第1問 仕訳問題 15分
第2問 文章問題・補助簿など 20分
第3問 精算表・財務諸表 45分

この配分を超えたら、必ず切り上げます。


3. 問題を見た瞬間にやること

① 全体をざっと確認(2分)
② 取れそうな問題に印をつける
③ 難しそうな問題は後回しに決定

この時点で、

「全部解こう」と考えない

ことが重要です。


4. 第1問(仕訳問題)の戦い方

第1問は、

  • 得点源
  • スピード勝負

です。

判断 対応
見た瞬間に型が浮かぶ 即解答
考えないと分からない 後回し
初見論点 捨てる

仕訳は完答主義にこだわらないことが大切です。


5. 第3問(精算表・財務諸表)の優先順位

第3問では、次の順で処理します。

作業 理由
決算整理仕訳 得点源・後工程に影響
損益計算書 数字が少ない
貸借対照表 残りを埋めるだけ

精算表が完璧でなくても、P/Lだけ先に作る判断もあり


6. 捨てる判断の基準

状況 判断
処理手順が思い出せない 捨てる
計算が複雑すぎる 後回し
部分点が狙える 最低限書く

迷った時点で時間を使いすぎです。


7. 残り5分でやること

符号(借方・貸方)の確認
当期純利益の一致確認
転記ミスのチェック

新しい問題には手を出さない


まとめ

  • 簿記2級は戦略の試験
  • 時間配分は事前に決める
  • 捨てる勇気が合格を呼ぶ

次回は、
簿記2級・直前総まとめ
を行います。

第38回 簿記入門(実戦練習編③) 財務諸表作成

第38回 簿記入門(実戦練習編③)
財務諸表を時間内に作る
― P/L・B/S 作成問題の実戦攻略 ―

前回(第37回)では、
精算表を一気に完成させる手順
を確認しました。

今回は、その最終ゴールである

財務諸表作成問題(損益計算書・貸借対照表)

を、
試験時間内に確実に完成させる
ための実戦的な考え方を整理します。


1. 財務諸表作成問題の位置づけ

簿記2級では、

  • 精算表
  • 決算整理後試算表
  • 財務諸表作成

がセットで出題されることが多く、

財務諸表は「最後に書く作業」

になります。

つまり、

時間が足りなくなると、
まっ先に犠牲になる

部分でもあります。


2. 財務諸表作成で失敗する典型例

失敗例 原因
どこから書くか迷う 順番を決めていない
金額を写し間違える 転記の確認不足
時間が足りない 全部を丁寧にやりすぎ

これを防ぐには、

「書く順番」を固定する

ことが重要です。


3. 財務諸表はこの順番で書く

内容 理由
損益計算書(費用・収益) 数字が少なく計算が簡単
当期純利益 B/Sに必ず使う
貸借対照表(資産・負債) 残りを埋めるだけ

先にP/L、後でB/S

が鉄則です。


4. 実戦例:損益計算書を先に完成させる

精算表から、
費用・収益科目だけを抜き出します。

科目 金額
売上 500,000
給料 180,000
減価償却費 20,000
貸倒引当金繰入 10,000

計算すると、

当期純利益 = 290,000

となります。


5. 当期純利益は「橋渡しの数字」

当期純利益は、

  • 損益計算書の最下段
  • 貸借対照表の純資産の部

両方に登場します。

この金額が一致しない=必ずどこかでミス


6. 貸借対照表は「残りを埋める」

B/Sでは、

  • 現金
  • 売掛金(−貸倒引当金)
  • 備品(−減価償却累計額)
  • 買掛金
  • 資本金
  • 当期純利益

を転記していきます。

この時点では、

新しい計算はほぼありません。


7. 最後の確認ポイント(必須)

損益計算書の計算は合っているか
当期純利益はP/LとB/Sで一致しているか
貸借対照表の左右は一致しているか

この3点を確認するだけで、

大きな失点は防げます。


まとめ

  • 財務諸表は順番がすべて
  • 先にP/L、後でB/S
  • 当期純利益は最重要チェックポイント

次回は、
試験での時間配分と解き方
を扱います。

第37回 簿記入門(実戦練習編②) 精算表

第37回 簿記入門(実戦練習編②)
精算表を一気に完成させる
― 簿記2級・途中で迷わないための処理手順 ―

前回(第36回)では、
決算整理仕訳を集中的に練習しました。

今回は、その仕訳を使って、

精算表(決算整理後試算表)を完成させる

実戦練習を行います。


1. 精算表で受験生がつまずく理由

精算表が苦手な人の多くは、

  • どこから手を付けていいか分からない
  • 途中で借方・貸方が分からなくなる
  • P/LとB/Sの区別があいまい

という状態に陥っています。

精算表は「順番」を固定すれば怖くありません。


2. 精算表の全体構造を確認する

区分 役割
試算表欄 決算整理前の残高
整理仕訳欄 期末修正
損益計算書欄 収益・費用
貸借対照表欄 資産・負債・純資産

この4つの欄を、

左から右へ、同じ順番で処理

していきます。


3. 実戦例:決算整理前試算表(抜粋)

科目 借方 貸方
現金 120,000
売掛金 200,000
備品 100,000
買掛金 90,000
資本金 300,000
売上 500,000
給料 180,000

4. 決算整理仕訳を整理欄に書く

整理① 減価償却

備品(100,000円、耐用年数5年)

借方 減価償却費 20,000
貸方 備品減価償却累計額 20,000

整理② 貸倒引当金

売掛金残高200,000円、見積率5%

借方 貸倒引当金繰入 10,000
貸方 貸倒引当金 10,000

5. 精算表への転記ルール(ここが重要)

科目の性質 転記先
収益・費用 損益計算書欄
資産・負債・純資産 貸借対照表欄

迷ったら「P/LかB/Sか」を先に判断


6. 完成後に必ずやるチェック

損益計算書欄の借貸は一致しているか
貸借対照表欄の借貸は一致しているか
当期純利益がP/LとB/Sで一致しているか

このチェックを必ず最後に行うことで、

ケアレスミスを大きく減らせます。


まとめ

  • 精算表は順番がすべて
  • 整理仕訳→転記→チェックを固定
  • P/LかB/Sかを先に判断

次回は、
財務諸表作成問題(P/L・B/S)
を扱います。

第36回 簿記入門(実戦練習編①) 決算整理仕訳

第36回 簿記入門(実戦練習編①)
決算整理仕訳で確実に点を取る
― 簿記2級・頻出論点を整理する ―

ここからは、
簿記2級合格を目的とした「実戦練習編」
に入ります。

第36回のテーマは、

決算整理仕訳

です。

簿記2級では、
決算整理仕訳ができるかどうかで得点が大きく変わります。


1. 決算整理仕訳とは何か(試験向け整理)

決算整理仕訳とは、

期末に、
収益と費用を正しい期間に修正するための仕訳

です。

試験では、

  • 処理の型を覚えているか
  • どちらを増やすか・減らすか判断できるか

が問われます。


2. まず押さえるべき4分類

決算整理仕訳は、
次の4つに整理すると混乱しません。

分類 代表例
費用の前払い・未払い 前払費用/未払費用
収益の前受・未収 前受収益/未収収益
減価償却 備品・機械装置
引当金 貸倒引当金など

まずはこの分類を瞬時に思い出せるようにします。


3. 前払費用・未払費用(最頻出)

例題

決算日において、
次期分の保険料12,000円が含まれている。

考え方

  • すでに費用にしている
  • でも、来期の分である

→ 費用を減らして、資産に振り替える

仕訳

借方 前払費用 12,000
貸方 保険料 12,000

「すでに払った → 資産」が合言葉です。


4. 前受収益・未収収益

例題

決算日において、
来期分の家賃6,000円をすでに受け取っている。

考え方

  • 現金は受け取っている
  • でも、今期の収益ではない

→ 収益を減らして、負債に振り替える

仕訳

借方 家賃収入 6,000
貸方 前受収益 6,000

「先にもらった → まだ収益でない」
と判断します。


5. 減価償却(必ず出る)

例題

備品(取得価額100,000円、耐用年数5年、定額法)

計算

100,000 ÷ 5 = 20,000

仕訳

借方 減価償却費 20,000
貸方 備品減価償却累計額 20,000

「費用はP/L、累計額はB/S」
をセットで覚えます。


6. 貸倒引当金(苦手克服ポイント)

例題

売掛金残高200,000円、
貸倒見積率5%

計算

200,000 × 5% = 10,000

仕訳

借方 貸倒引当金繰入 10,000
貸方 貸倒引当金 10,000

「将来の損失を今、費用にする」
と考えます。


7. 決算整理仕訳のチェック手順

① 今期の収益・費用として正しいか
② 資産・負債に振り替える必要はないか
③ P/LとB/Sの両方を意識したか

この手順を毎回同じ順番で行うことが重要です。


まとめ

  • 決算整理仕訳は得点源
  • 型を覚えると速くなる
  • P/LとB/Sを同時に意識する

次回は、
決算整理後試算表・精算表
を扱います。

第35回 簿記入門(28) ケーススタディ集

第35回 簿記入門(28)
財務諸表をどう使うか
― ケーススタディで学ぶ、数字からの判断 ―

第34回では、
数字に強い人が、どこを見て判断しているのか
を整理しました。

今回は総合実践編として、
実際の会社を想定したケースをもとに、
財務諸表をどう使うかを確認します。


ケース① 売上成長中だが資金繰りが苦しい会社

状況

  • 売上は前年比120%
  • 社員も増え、事業は拡大中

P/L(抜粋)

売上 2,400万円
当期純利益 180万円

B/S(ポイント)

現金・預金 90万円
売掛金 780万円
借入金 1,100万円

判断

  • 売上成長=現金増加ではない
  • 売掛金が資金繰りを圧迫

成長のスピードに、回収と資金管理が追いついていない


ケース② 利益は少ないが安定している会社

状況

  • 売上は横ばい
  • 派手な成長はない

P/L(抜粋)

売上 1,600万円
当期純利益 60万円

B/S(ポイント)

現金・預金 420万円
売掛金 120万円
借入金 300万円

判断

  • 現金が厚く、売掛金が少ない
  • 借入への依存度も低い

成長は遅いが、倒れにくい会社


ケース③ 投資判断で迷っている会社

状況

  • 新設備に500万円投資予定
  • 売上増加は不確実

見るべきポイント

現金残高 投資後も運転資金が残るか
営業CF 本業で回せているか
回収期間 何年で投資回収できるか

「儲かりそう」より「耐えられるか」


ケース④ 借入をどう判断するか

状況

  • 一時的な資金不足
  • 銀行から融資提案あり

チェック視点

用途 運転資金か、赤字補填か
返済原資 営業CFで返せるか
期間 短期で詰まらないか

借入は「延命」ではなく「整理」に使う


まとめ

  • 数字は判断の材料
  • 会社ごとに正解は違う
  • 重要なのは「倒れないこと」

会計が分かるとは、
数字から未来を想像できること
です。

第34回 簿記入門(27) 数字に強い人の視点

第34回 簿記入門(27)
数字に強い人は何を見ているのか
― 会計を「判断の道具」に変える視点 ―

ここまでの回で、
P/L・B/S・キャッシュ・フローを一通り学んできました。

今回は、知識の総仕上げとして、

「数字に強い人は、実際に何を見て判断しているのか」

という視点を整理します。


1. 数字に強い人は「全部」は見ていない

会計が苦手な人ほど、
すべての数字を理解しようとします。

しかし、実務で数字に強い人は、

見る場所を最初から絞っています。

書類 まず見るポイント
P/L 利益が出ているか、その質はどうか
B/S 現金・借入金・純資産
CF 営業CFがプラスか

まずは要点だけを見る。
これが第一歩です。


2. 実例① 売上が伸びていると言われたとき

現場でよくある場面です。

「今年は売上がかなり伸びています」

このとき、数字に強い人は、

すぐに喜ばず、次を確認します。

見る項目 理由
利益 売上増が儲けにつながっているか
売掛金 回収が追いついているか
営業CF 現金が増えているか

売上だけを見て判断することは、
ほとんどありません。


3. 実例② 黒字なのに不安を感じるとき

「利益は出ているのに、なぜか不安」

こういう感覚を持つ人は、
実は数字に強くなり始めています。

チェックされているポイント

営業CF マイナスが続いていないか
借入金 増え続けていないか
現金残高 数か月持つか

利益より「持久力」を見ている


4. 実例③ 投資や新規事業を判断するとき

新しい設備や事業の話が出たとき、

数字に強い人は「損益」より先に、
「キャッシュ」を考えます。

確認点 考え方
初期支出 現金はいくら出るか
回収時期 何年で戻るか
失敗時 耐えられるか

「うまくいったら」ではなく、

「うまくいかなかったらどうなるか」

を先に考えます。


5. 数字に強い人の共通点

特徴
完璧な理解を求めない
数字を「変化」で見る
利益よりキャッシュを重視
最悪のケースを想定する

会計は、
暗記科目ではありません。

判断力を鍛えるための道具

です。


まとめ

  • 数字は全部見なくていい
  • 要点を絞ることが大切
  • 「なぜ?」を考える
  • 会計は判断のために使う

ここまで理解できれば、
「会計が分かる人」から「使える人」
へ一歩進んだと言えます。