第45回 実戦で差がつく「仕訳の総合力」――売上・仕入・諸経費を一気に処理する
ここまで、
- 売上の認識
- 仕入の処理
- 各種費用(旅費交通費・通信費・消耗品費など)
を個別には見てきました。
しかし、試験で問われるのは「1つずつ」ではありません。
実際の問題では、これらがまとめて、連続して、しかも時間制限つきで出てきます。
今回は、「実戦で仕訳が崩れやすいポイント」を意識しながら、
仕訳の総合処理力を鍛えていきましょう。
1.実戦問題で起こりがちなミス
まず、よくある失敗から整理します。
① 勘定科目は合っているが、貸借が逆
→ 理解不足というより、スピード優先による事故が多いです。
② 消費税の扱いで迷って止まる
→ 税抜・税込の判断に時間を使いすぎるケースです。
③ 仕訳は合っているのに、金額を間違える
→ 問題文を「流し読み」しているサインです。
これらはすべて、知識の問題ではなく「処理の型」ができていないことが原因です。
2.仕訳は「3ステップ」で処理する
実戦では、次の順番を体に染み込ませるのが重要です。
ステップ① 取引の性質を一瞬で判断
- 売上か
- 仕入か
- 費用か
- 資産の増減か
ここで迷うと、すべてが崩れます。
ステップ② 現金か、掛けか
- 現金・普通預金 → すぐ動く
- 売掛金・買掛金 → 将来動く
まず「現金が動いたか?」を見るクセをつけましょう。
ステップ③ 費用・収益は期間対応を意識
- 今期の費用か
- 次期以降の費用か
ここが、後の決算整理仕訳につながります。
3.総合例題で確認してみる
例)
商品100,000円を掛けで販売した。送料3,000円を現金で支払った。
なお、送料は当社負担とする。
この場合、取引は2つあります。
① 商品の販売
売掛金 100,000 / 売上 100,000
② 送料の支払い
発送費 3,000 / 現金 3,000
ここで重要なのは、「売上と送料を無理にまとめない」ことです。
試験では、
「まとめて1仕訳にしなさい」
とは、ほぼ書かれていません。
4.仕訳を速く、正確にするコツ
✔ 勘定科目を増やしすぎない
初心者ほど細かく分けたがりますが、試験では標準的な科目で十分です。
✔ 迷ったら立ち止まらない
完璧を狙わず、7割の確信で書いて次に進む勇気も必要です。
✔ 仕訳は「文章を日本語に戻す」
一度、頭の中で「何が起きたか」を短い日本語に戻すと、ミスが激減します。
5.ここが合否を分ける
税理士試験(特に簿記論・財表)では、
- 難問を解ける人
よりも
- 基本を崩さない人
が合格します。
仕訳の総合力は、点数を積み上げるための土台です。
まとめ
- 仕訳は「知識」より「型」
- 実戦では複数取引を冷静に分解
- 迷わず、止まらず、基本を守る
次回は、
👉 「決算整理仕訳で一気に点を落とす人の共通点」
をテーマに進めるのがおすすめです。
