第20回 簿記入門(13)
決算整理仕訳とは何をしているのか
― 発生主義を完成させる最後の作業 ―
ここまでの回で、私たちは次のことを学んできました。
- 減価償却:過去の支出を期間配分する
- 引当金:将来のリスクを今期に見積もる
- 前払費用・未払費用:費用の時間調整
- 前受収益・未収収益:収益の時間調整
今回は、それらを一本につなぐ回です。
1. 決算整理仕訳とは何か
決算整理仕訳とは、
日々の取引だけではズレてしまう
「費用」と「収益」を、正しい期間に直すための仕訳
です。
日常の取引は、どうしても現金基準に引きずられます。
それを、決算のタイミングで発生主義に修正する。
それが決算整理仕訳の役割です。
2. なぜ決算で大量の仕訳を入れるのか
決算で突然、
- 前払費用
- 未払費用
- 前受収益
- 未収収益
- 減価償却費
- 各種引当金
がまとめて出てくるのは、偶然ではありません。
これらはすべて、
現金の動きと、
期間のズレを修正するための仕訳
だからです。
3. 決算整理仕訳でやっていること(整理)
決算整理仕訳の中身を、役割別に整理するとこうなります。
-
期間配分
└ 減価償却、前払費用 -
未処理の確定費用・収益
└ 未払費用、未収収益 -
将来リスクの見積り
└ 引当金 -
先にもらった・払った分の調整
└ 前受収益
見た目はバラバラでも、
目的はすべて同じです。
それは、
「この1年間の正しい利益を計算すること」
4. 【図】決算整理仕訳の全体像
【決算整理仕訳とは】
現金の動きではなく
「期間」で
利益を確定させるための仕訳
5. 決算整理仕訳=利益調整ではない
初学者がよく誤解するのが、
決算整理仕訳は、
利益を操作するためのもの
という考え方です。
実際はその逆で、
利益を「ごまかさない」ために行う
のが決算整理仕訳です。
まとめ
- 日々の取引=現金に近い
- 決算整理仕訳=期間に修正
- 目的は「正しい利益」の計算
- 発生主義を完成させる最後の工程
ここまで理解できれば、
決算整理仕訳は暗記ではなく、意味で処理できるようになります。
次回予告(第21回)
次回は、
決算整理後試算表と財務諸表のつながりを扱います。
決算整理仕訳が、
どのように損益計算書・貸借対照表に反映されるのかを見ていきます。
