第57回 簿記入門(57)決算総合問題 ― 試算表から締め切りまで一気に解く

第54回〜第56回で、
・決算整理仕訳
・精算表
・損益振替
を個別に学びました。

今回はそれを全部まとめて解く総合問題です。
簿記2級では「部分点の積み重ね」が重要です。流れを止めずに進める練習をしましょう。


【問題】

残高試算表(決算整理前)

  • 現金 300,000円
  • 売掛金 800,000円
  • 備品 600,000円
  • 貸倒引当金 20,000円(貸方)
  • 買掛金 250,000円(貸方)
  • 資本金 1,000,000円(貸方)
  • 売上 1,500,000円(貸方)
  • 仕入 900,000円
  • 給料 200,000円

決算整理事項

  1. 売掛金の3%を貸倒引当金として設定する。
  2. 備品は耐用年数5年、残存価額0、定額法(間接法)。
  3. 当期未払いの水道光熱費 30,000円。

ステップ1:決算整理仕訳

① 貸倒引当金

必要額=800,000×3%=24,000円
すでに20,000円ある → 不足4,000円

(借)貸倒引当金繰入 4,000 /(貸)貸倒引当金 4,000


② 減価償却

600,000÷5=120,000円

(借)減価償却費 120,000 /(貸)減価償却累計額 120,000


③ 未払費用

(借)水道光熱費 30,000 /(貸)未払費用 30,000


ステップ2:損益計算書を作る

売上 1,500,000
− 仕入 900,000
− 給料 200,000
− 貸倒引当金繰入 4,000
− 減価償却費 120,000
− 水道光熱費 30,000
= 利益 246,000円


ステップ3:貸借対照表に反映

資産

  • 現金 300,000
  • 売掛金 800,000 − 貸倒引当金 24,000 = 776,000
  • 備品 600,000 − 減価償却累計額 120,000 = 480,000

資産合計:1,556,000円

負債

  • 買掛金 250,000
  • 未払費用 30,000

負債合計:280,000円

純資産

  • 資本金 1,000,000
  • 当期純利益 246,000

純資産合計:1,246,000円

負債+純資産=280,000+1,246,000=1,526,000円

※計算過程の確認を必ず行うこと。総合問題では数字ミスが最大の敵です。


ステップ4:損益振替

①(借)売上 1,500,000 /(貸)損益 1,500,000

②(借)損益 1,254,000 /(貸)仕入 900,000
              給料 200,000
              貸倒引当金繰入 4,000
              減価償却費 120,000
              水道光熱費 30,000

③(借)損益 246,000 /(貸)繰越利益剰余金 246,000


練習問題

問題

売上 1,000,000円、仕入 700,000円、給料 100,000円。
備品 300,000円(3年償却、残存0)、未払費用 20,000円。
当期利益はいくらか。

解答を見る

減価償却=300,000÷3=100,000
利益=1,000,000−700,000−100,000−100,000−20,000
=80,000円


まとめ

  • 決算整理で「正しい利益」を出す
  • 精算表で流れを整理する
  • 損益振替で締め切る

ここまで来れば、簿記2級の決算問題は怖くありません。
次回からは商業簿記の応用論点に入ります。

第56回 簿記入門(56)損益振替と繰越処理 ― 決算の最後を固める

第55回では精算表まで進みました。
今回はその最後の仕上げ、損益振替と繰越処理です。

ここが理解できると、「1年の流れ」が一本につながります。
試験でも頻出ですので、構造から押さえましょう。


1. 損益振替とは何か?

1年間で発生した収益と費用をゼロにする作業です。
その差額(利益または損失)を繰越利益剰余金へ移します。

ステップ やること
① 収益の振替 収益を「損益」勘定へ移す
② 費用の振替 費用を「損益」勘定へ移す
③ 損益の振替 損益の残高(=利益または損失)を繰越利益剰余金へ

2. 具体例で理解する

【資料】

  • 売上 1,000,000円
  • 仕入 600,000円
  • 給料 200,000円

利益=1,000,000−600,000−200,000=200,000円


① 収益の振替

(借)売上 1,000,000 /(貸)損益 1,000,000

→ 売上はゼロになる。


② 費用の振替

(借)損益 800,000 /(貸)仕入 600,000
            給料 200,000

→ 費用もゼロになる。


③ 損益の振替(利益の場合)

損益の残高は貸方200,000(利益)。

(借)損益 200,000 /(貸)繰越利益剰余金 200,000

→ 損益もゼロになり、利益は純資産へ。


3. 損失の場合は?

もし費用が収益より多ければ「損失」です。

例:売上 500,000円、費用 700,000円 → 損失 200,000円

(借)繰越利益剰余金 200,000 /(貸)損益 200,000

利益と損失で借貸が逆になる点に注意。


4. 繰越処理とは?

資産・負債・純資産は次の期に持ち越します。

(借)次期繰越 /(貸)各資産・負債 という形で締め切ります。

※実際の試験では精算表で表現されることが多いです。


5. 練習問題

問題1

次の科目について損益振替を行いなさい。

  • 売上 900,000円
  • 仕入 500,000円
  • 給料 250,000円
解答を見る

利益=900,000−500,000−250,000=150,000円

①(借)売上 900,000 /(貸)損益 900,000

②(借)損益 750,000 /(貸)仕入 500,000
               給料 250,000

③(借)損益 150,000 /(貸)繰越利益剰余金 150,000


問題2(損失の場合)

売上 400,000円、費用合計 600,000円の場合の損益振替をしなさい。

解答を見る

損失=200,000円

最後の仕訳:

(借)繰越利益剰余金 200,000 /(貸)損益 200,000


6. よくあるミス

  • 損益の残高の向きを間違える
  • 利益と損失で仕訳が逆になる点を忘れる
  • 費用を振替忘れする

損益振替は「ゼロにする作業」です。
すべての収益・費用が消えることを確認しましょう。


次回予告

第57回では、決算全体の総合問題を扱います。
試算表 → 整理 → 精算表 → 損益振替までを一気に解きます。

第55回 簿記入門(55)精算表を制する者が2級を制す

第54回では、決算整理仕訳を一つずつ確認しました。
第55回では、それらを精算表(せいさんひょう)にどう反映させるかを扱います。

簿記2級では、試算表 → 決算整理 → 精算表 → 財務諸表という流れを理解していないと得点が安定しません。
ここで「全体の流れ」を一気につなげましょう。


1. 精算表とは何か?

精算表とは、決算整理の結果をまとめて、損益計算書と貸借対照表を作るための表です。

意味
残高試算表 決算整理前の残高
整理記入 決算整理仕訳の金額を記入
損益計算書 収益・費用を集める
貸借対照表 資産・負債・純資産を集める

精算表は「橋渡し装置」です。
仕訳を覚えていても、精算表で流れが理解できていないと点数が伸びません。


2. 例題で理解する(小型精算表)

【資料】

  • 売上 1,200,000円
  • 仕入 700,000円
  • 給料 150,000円
  • 備品 600,000円
  • 貸倒引当金 10,000円(貸方)
  • 売掛金 500,000円

決算整理事項:

  • (1)売掛金の2%を貸倒引当金として設定する
  • (2)備品は耐用年数5年、残存価額0、定額法、間接法

ステップ1:整理仕訳を考える

①貸倒引当金

必要額=500,000×2%=10,000円

すでに貸方10,000円ある → 差額0円 → 仕訳不要

②減価償却

600,000÷5=120,000円

(借)減価償却費 120,000 /(貸)減価償却累計額 120,000


ステップ2:精算表に反映する

科目 試算表借方 試算表貸方 整理借方 整理貸方 損益計算書 貸借対照表
売上 1,200,000 1,200,000
仕入 700,000 700,000
給料 150,000 150,000
減価償却費 120,000 120,000
備品 600,000 600,000
減価償却累計額 120,000 120,000

3. 利益を計算する

売上 1,200,000
− 仕入 700,000
− 給料 150,000
− 減価償却費 120,000
= 利益 230,000円

この利益が貸借対照表の純資産へ入ります。


4. 練習問題

問題1

次の残高試算表がある。

  • 売上 800,000円
  • 仕入 500,000円
  • 給料 120,000円
  • 備品 300,000円

決算整理:備品は耐用年数3年、残存価額0、定額法。

①減価償却費はいくらか?
②当期利益はいくらか?

解答を見る

①300,000÷3=100,000円

利益=800,000−500,000−120,000−100,000
=80,000円


5. 精算表で落ちる人の共通点

  • 整理仕訳を列に入れ忘れる
  • 減価償却累計額を貸借対照表に回さない
  • 損益計算書と貸借対照表の区分が曖昧

精算表は「作業」ではなく構造理解です。


次回予告

第56回では、損益振替と繰越を扱います。
決算整理の最終段階、「締め切り作業」です。

第54回 簿記入門(54)決算整理仕訳の総合演習(売掛金・貸倒/前払・前受/減価償却/未払・未収)

第54回は、決算整理仕訳で頻出の論点を「一気にまとめて」解ける形にします。
試験では、論点をバラで覚えていても、決算の場面で同時に出てくると混乱しがちです。ここでは典型パターンを表(考え方)→仕訳(結論)→練習問題の順で固めます。


1. 決算整理でよく出る5セット

論点 決算でやること(要点) 典型仕訳(代表)
貸倒引当金 売掛金などの回収不能に備えて、期末に引当金残高を「必要額」に合わせる (借)貸倒引当金繰入 xxx /(貸)貸倒引当金 xxx
前払・前受 支払ったけど「次期の費用」→前払へ/受け取ったけど「次期の収益」→前受へ (借)前払費用 xxx /(貸)支払家賃 xxx
(借)受取家賃 xxx /(貸)前受収益 xxx
減価償却 固定資産の価値減少分を費用化(間接法なら累計額も増やす) (借)減価償却費 xxx /(貸)減価償却累計額 xxx
未払・未収 発生しているのに未処理→当期に計上(費用は未払、収益は未収) (借)支払利息 xxx /(貸)未払費用 xxx
(借)未収収益 xxx /(貸)受取利息 xxx
売上原価(仕入) 期首・期末棚卸で当期の売上原価を確定(ここは別回で徹底するが頻出) (借)仕入 期首棚卸高 /(貸)繰越商品 同額
(借)繰越商品 期末棚卸高 /(貸)仕入 同額

この表を見て、「決算でやる目的」が言えるようになると、仕訳が安定します。


2. 例題で一気に確認(決算整理 4本)

例題(資料)

  • (1)当期末の売掛金残高は 800,000円。貸倒引当金は売掛金の2%を設定する。期首の貸倒引当金残高は10,000円(貸方残)
  • (2)12月分の家賃(毎月20,000円)を当期に12月1日に1年分前払いしており、「支払家賃」で処理している。
  • (3)備品(取得原価 600,000円、残存価額 0、耐用年数 5年)を期首に取得。間接法で定額法。
  • (4)当期12月分の水道光熱費 18,000円は未払いで、まだ処理していない。

考え方(手順)

論点 計算 ゴール
貸倒引当金 必要額=800,000×2%=16,000
差額=16,000−10,000=6,000
貸倒引当金を「16,000」に合わせる(不足分を追加)
前払家賃 当期の費用=20,000×1か月=20,000
前払い(次期分)=20,000×11か月=220,000
当期費用は1か月分だけ、残りは前払へ
減価償却 年間償却=600,000÷5=120,000 当期の減価償却費を計上(累計額も増やす)
未払費用 18,000は当期に発生している 当期費用にして、未払を立てる

仕訳(結論)

  1. 貸倒引当金:
    (借)貸倒引当金繰入 6,000 /(貸)貸倒引当金 6,000
  2. 前払家賃:
    (借)前払費用 220,000 /(貸)支払家賃 220,000
  3. 減価償却(間接法):
    (借)減価償却費 120,000 /(貸)減価償却累計額 120,000
  4. 未払費用:
    (借)水道光熱費 18,000 /(貸)未払費用 18,000

ポイント:決算整理は「当期の正しい利益」を出すために、
費用・収益の期間対応(当期のものは当期へ、次期のものは次期へ)を徹底する作業です。


3. 練習問題(本題)

ここからが第54回のメインです。問題 → 自力 → 解答(折りたたみ)で進めてください。

問題1(貸倒引当金:差額補充)

期末売掛金残高は 1,200,000円。貸倒引当金は売掛金の 3% を設定する。
期首の貸倒引当金残高は 25,000円(貸方残)である。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

必要額=1,200,000×3%=36,000円
差額=36,000−25,000=11,000円(不足)

(借)貸倒引当金繰入 11,000 /(貸)貸倒引当金 11,000

問題2(前払費用:支払時に費用処理している)

当期10月1日に、向こう1年分の保険料 120,000円を支払い、「支払保険料」で処理した。決算日は12月31日である。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

10/1〜12/31までの当期分は3か月。
月額=120,000÷12=10,000円
当期費用=10,000×3=30,000円
次期分(前払)=120,000−30,000=90,000円

(借)前払費用 90,000 /(貸)支払保険料 90,000

問題3(前受収益:受取時に収益処理している)

当期12月1日に、向こう3か月分の家賃 90,000円を受け取り、「受取家賃」で処理した。決算日は12月31日である。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

3か月分のうち、当期分は12月の1か月だけ。
月額=90,000÷3=30,000円
次期分(前受)=30,000×2=60,000円

(借)受取家賃 60,000 /(貸)前受収益 60,000

問題4(減価償却:定額法・間接法)

期首に車両運搬具(取得原価 1,000,000円、残存価額 100,000円、耐用年数 9年)を取得した。定額法・間接法で決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

償却対象=1,000,000−100,000=900,000円
年間償却=900,000÷9=100,000円

(借)減価償却費 100,000 /(貸)減価償却累計額 100,000

問題5(未払費用:当期分が未処理)

当期12月分の給料 320,000円は、翌期1月10日に支払う予定で、当期はまだ仕訳していない。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

当期に発生している費用なので当期に計上する。

(借)給料 320,000 /(貸)未払費用 320,000

問題6(未収収益:当期分が未処理)

当期12月分の受取利息 6,500円は翌期に受け取る予定で、当期はまだ仕訳していない。決算整理仕訳をしなさい。

解答・解説(クリックで表示)

当期に発生している収益なので当期に計上する。

(借)未収収益 6,500 /(貸)受取利息 6,500


4. 仕上げ:決算整理で迷わない「自問」

迷ったときの質問 答えの方向性
これは「当期の費用/収益」? 当期なら当期に計上。未処理なら未払・未収で拾う。
支払(受取)は済んでる? 支払済で次期分が混ざる→前払。受取済で次期分が混ざる→前受。
残高を「必要額」に合わせる論点? 貸倒引当金などは「期末のあるべき残高」に合わせて差額を仕訳する。
固定資産の価値減少は反映した? 減価償却を忘れると利益が大きく見える。毎期の定番チェック。

次回は、この決算整理を実際の決算(試算表→整理→精算表)につなげる形で、
「どこで、何を、どう直すか」を見える化していきます。

第53回 決算整理ミニ総合問題①(基礎完成編)

ここまで決算整理仕訳を一通り学んできました。

今回は、実戦形式で確認してみましょう。

紙とペンを用意してください。
本試験と同じように、時間を区切って考えてみましょう。


【ミニ総合問題】

決算日は12月31日である。次の事項について、決算整理仕訳を答えなさい。

  1. 12月1日に1年分の保険料120,000円を現金で支払っている。
  2. 12月分の水道光熱費8,000円は翌年1月に支払う予定である。
  3. 備品300,000円(耐用年数5年、定額法、残存価額0円)を10月1日に取得している。

制限時間:3分

――ここで一度スクロールを止めてください。


【解答・解説】

① 保険料(前払費用)

1年分支払ったが、使ったのは1か月分だけ。

120,000 × 11/12 = 110,000円

仕訳
前払費用 110,000 / 保険料 110,000

→ 来期分を資産に振り替えます。


② 水道光熱費(未払費用)

使ったが、まだ払っていない。

仕訳
水道光熱費 8,000 / 未払費用 8,000

→ 足りない費用を追加します。


③ 減価償却

年間償却額:

300,000 ÷ 5年 = 60,000円

10月1日取得なので3か月分。

60,000 × 3/12 = 15,000円

仕訳
減価償却費 15,000 / 備品減価償却累計額 15,000


【この問題で確認したいこと】

  • 前払は「払いすぎ」
  • 未払は「足りない」
  • 減価償却は「期間配分」

すべて、期間のズレを修正しているだけです。


【実戦ポイント】

この3問は、本試験なら確実に取りたいレベルです。

もし3分を超えたなら、
まだ処理スピードを上げる余地があります。

読んで理解するのではなく、
時間内に処理できるかが重要です。


まとめ

  • 総合問題は基本の集合体
  • 期間のズレを意識する
  • 必ず時間を測る

次回は、
👉 「固定資産売却を含むミニ総合問題②」
に進みます。

第52回 合格する人の勉強法と落ちる人の勉強法 ― 実例ミニクイズ付き

ここまで、仕訳・決算整理・固定資産処分・試験戦略まで見てきました。

では最後に差がつくのは何か。

「勉強のやり方」

同じ教材を使っても、
合格する人と落ちる人には明確な違いがあります。


1.落ちる人の勉強法

  • ノートをきれいにまとめる
  • テキストを何度も読む
  • 「分かった気」になる

しかし、本試験で必要なのは、

「思い出せる力」

読むだけでは、思い出せるようにはなりません。


2.合格する人の勉強法

  • 必ず手を動かす
  • 時間を測る
  • 間違いノートを作る

そして最大の特徴は、

「問題を解く時間の方が長い」

インプットよりアウトプットが多いのです。


3.ミニ実例クイズ

では、実際に考えてみましょう。

【問題】
12月1日に1年分の保険料120,000円を現金で支払った。
決算日は12月31日。

問:決算整理仕訳はいくらか?

(30秒以内で考えてください)


4.解答と考え方

まず日本語に戻します。

  • 1年分払った
  • 使ったのは1か月分だけ

→ 11か月分は来期の費用

計算
120,000 × 11/12 = 110,000円

決算整理仕訳

前払費用 110,000 / 保険料 110,000


5.なぜこのクイズが重要か

読んでいるだけだと、
「簡単」と思います。

しかし、時間を区切ると、
意外と迷いませんでしたか?

本試験は、
「時間制限付きアウトプット試験」です。


6.今日から変えること

  • 読む時間を減らす
  • 解く時間を増やす
  • 必ず時間を測る

これだけで、
勉強の質は大きく変わります。


まとめ

  • インプット中心は危険
  • アウトプット中心に切り替える
  • 時間制限を必ずつける

次回は、
👉 「本試験レベルの総合ミニ問題(実戦編)」
に挑戦してみましょう。

第51回 本試験で“時間切れ”を防ぐための解答戦略

知識もある。
仕訳も書ける。

それなのに、本試験で落ちる人の最大の原因は、

「時間切れ」

です。

税理士試験(簿記論・財表)は、
満点を取る試験ではありません。

今回は、
時間内に合格点を取り切る戦略
を整理します。


1.まず理解すべき事実

  • 全問完答は前提ではない
  • 難問は必ず混ざる
  • 合格者も取りこぼしている

つまり、

「全部解こうとする人ほど落ちる」

これが現実です。


2.試験開始からの動き方

① 最初の5分は“読む時間”

いきなり書き始めないこと。

  • どの問題が重いか
  • 計算量が多いのはどれか
  • 明らかに取れる問題はどれか

これを見極めます。

② 取れる問題から処理する

売上・経費など、
迷いの少ない仕訳から書く

ここで得点を積み上げることで、
精神的に安定します。


3.やってはいけない行動

  • 最初の難問に30分かける
  • 1つの論点で止まる
  • 途中でやり直す

本試験で一番危険なのは、

「止まること」

止まった瞬間、時間は奪われます。


4.時間配分の基本モデル

たとえば120分の試験なら、

  • 最初の確認:5分
  • 確実に取れる問題:50〜60分
  • 重めの問題:40分
  • 見直し:10〜15分

あらかじめ配分を決めておくと、
焦りが減ります。


5.“合格点思考”とは何か

本試験では、

100点を目指す人より、70点を確実に取る人が受かる

難問は、全員が苦しんでいます。

そこで差はつきません。

差がつくのは、
基本論点を落とさない力です。


6.本番で安定する人の特徴

  • 処理順が決まっている
  • 完璧を求めない
  • 途中で感情に流されない

これは才能ではなく、
練習段階での意識で決まります。


まとめ

  • 全部解こうとしない
  • 止まらない
  • 基本を積み上げる

試験は「知識勝負」ではなく、
戦略勝負です。

次回は、
👉 「合格する人の勉強法と落ちる人の勉強法の決定的な違い」
に踏み込みます。

第50回 総合問題で点を取り切るための「仕訳の処理順」

ここまで、

  • 決算整理仕訳
  • 前払・未払・未収・前受
  • 減価償却
  • 固定資産の売却・除却

と、一通りの個別論点を見てきました。

しかし、本試験で問われるのは、
「知っているか」ではなく「処理できるか」です。

第50回では、
総合問題で崩れないための仕訳処理の順番
を、具体例を交えて整理します。


1.総合問題で点が取れない原因

できるはずなのに点が取れない人には、共通点があります。

  • 問題文を読んだ瞬間に仕訳を書き始める
  • 思いついたところから処理する
  • 途中で「何をやっているか」分からなくなる

これは知識不足ではなく、
「処理の順番」が決まっていないことが原因です。


2.総合問題の基本処理フロー

総合問題は、必ず次の順番で処理します。

  1. ① 通常取引(売上・仕入・経費)
  2. ② 決算整理仕訳
  3. ③ 固定資産の処分

この順番を崩さないだけで、
ミスは大幅に減ります。


3.実戦イメージで確認する

例)
当期中に次の取引があった。
・商品を掛けで販売した
・家賃を1年分前払いしている
・備品を売却している

この問題で、やってはいけないのは、
売却の仕訳から書き始めることです。

まずやるのは、

① 通常取引の処理

売上・仕入・経費など、
期中の動きを先に処理します。

② 決算整理仕訳

前払・未払・減価償却など、
期間のズレを修正します。

③ 固定資産の処分

最後に、
帳簿価額 → 売却価額 → 益損
の順で処理します。


4.時間を奪われないためのコツ

① 仕訳は完璧を狙わない

7割の確信で書いて進む方が、
結果的に得点は安定します。

② 計算は紙に残す

帳簿価額や月割計算は、
必ず書き出すことでミスを防げます。

③ 悩む論点ほど後回しにしない

決算整理や固定資産は、
後に回すほど不安が増える分野です。


5.この回までで身についたこと

  • 仕訳には「型」がある
  • 決算整理はズレの修正
  • 固定資産処分は帳簿価額がすべて

これらを順番どおり使えるようになった時、
総合問題は「怖い問題」ではなくなります。


まとめ

  • 総合問題は処理順が命
  • 通常取引 → 決算整理 → 処分
  • 思考を止めず、流れで処理する

次回は、
👉 「本試験で実際に起こる“時間切れ”を防ぐ解答戦略」
をテーマに、点数を最大化する考え方に踏み込みます。

第49回 固定資産の売却・除却・廃棄を実例で完全攻略する

減価償却が理解できたと思った直後に、
一気に難易度が上がるのが「固定資産の処分」です。

特に試験では、

  • 減価償却したあとに売却
  • 帳簿価額が残ったまま除却
  • 売却損・売却益の判定

といった複合パターンが頻出します。

今回は、
どんな問題でも同じ手順で処理できる考え方
を、実例で確認していきましょう。


1.固定資産処分の基本手順

どんなケースでも、必ずこの順番です。

  1. ① 減価償却累計額を確認する
  2. ② 帳簿価額を計算する
  3. ③ 処分価額と比較する

このを崩さなければ、迷いません。


2.売却の実例(売却益が出るケース)

例①
取得価額500,000円の備品を売却した。
減価償却累計額は300,000円。
売却代金は250,000円、代金は現金で受け取った。

ステップ① 帳簿価額

500,000 − 300,000 = 200,000円

ステップ② 売却価額と比較

  • 売却価額:250,000円
  • 帳簿価額:200,000円

→ 50,000円多く売れている → 売却益

仕訳

現金 250,000 / 備品 500,000
      備品減価償却累計額 300,000
      固定資産売却益 50,000


3.売却の実例(売却損が出るケース)

例②
取得価額600,000円の車両運搬具を売却した。
減価償却累計額は400,000円。
売却代金は150,000円。

帳簿価額

600,000 − 400,000 = 200,000円

比較

  • 売却価額:150,000円
  • 帳簿価額:200,000円

→ 50,000円足りない → 売却損

仕訳

現金 150,000 / 車両運搬具 600,000
固定資産売却損 50,000
      車両運搬具減価償却累計額 400,000


4.除却の実例(売れずに処分)

例③
取得価額400,000円の備品を除却した。
減価償却累計額は320,000円。

帳簿価額

400,000 − 320,000 = 80,000円

売却代金はありません。

→ 帳簿価額はそのまま除却損

仕訳

固定資産除却損 80,000 / 備品 400,000
      備品減価償却累計額 320,000


5.完全に償却済みの資産を処分する場合

例④
取得価額300,000円、減価償却累計額300,000円の備品を除却した。

帳簿価額

0円

→ 損も益も出ません。

仕訳

備品減価償却累計額 300,000 / 備品 300,000

このパターンは、
試験で「引っかけ」としてよく出ます


6.よくある失敗

  • いきなり仕訳を書き始める
  • 帳簿価額を出さずに益損を判断する
  • 累計額を書き忘れる

必ず、
帳簿価額 → 比較 → 仕訳
の順番を守りましょう。


まとめ

  • 固定資産処分は「型」で処理する
  • 最初に帳簿価額を出す
  • 売却価額との差が益か損

次回は、
👉 「商品売買と固定資産処分が同時に出る総合問題の解き方」
をテーマにすると、簿記論レベルの総合問題にかなり強くなります。

第48回 減価償却を「実例」で完全に理解する――なぜ毎年費用になるのか

決算整理仕訳の中でも、
最後まで苦手意識が残りやすいのが「減価償却」です。

計算式は覚えた。
定額法・定率法も分かる。

それでも本試験になると、

  • 仕訳の方向に迷う
  • 月割・年割で混乱する
  • なぜこの金額なのか不安になる

今回は、
「減価償却は何をしている処理なのか」
を実例で徹底的に整理します。


1.減価償却を一言でいうと

「高額なモノの代金を、使った年数に分けて費用にする」

これだけです。

現金は、
買ったときに一気に出ていく
でも、

費用は、
使った期間に分けて計上する

ここが、減価償却の本質です。


2.建物の実例

例① 建物
4月1日に建物2,000,000円を購入した。
耐用年数は20年、定額法を用いる。

まず、日本語に戻します。

  • 建物は長く使う
  • 20年にわたって会社に貢献する

→ 今年1年分だけ費用にする

年間の減価償却費

2,000,000 ÷ 20年 = 100,000円

ただし、4月1日取得なので、今年は12か月中9か月分。

当期の減価償却費

100,000 × 9/12 = 75,000円

決算整理仕訳

減価償却費 75,000 / 建物減価償却累計額 75,000


3.備品の実例

例② 備品
10月1日に事務用備品300,000円を購入した。
耐用年数は5年とする。

ここでも考え方は同じです。

  • 備品も数年使う
  • 今年使った分だけ費用にする

年間の減価償却費

300,000 ÷ 5年 = 60,000円

10月1日取得なので、当期は3か月分。

当期の減価償却費

60,000 × 3/12 = 15,000円

決算整理仕訳

減価償却費 15,000 / 備品減価償却累計額 15,000


4.車両運搬具の実例

例③ 車両運搬具
期首に車両600,000円を取得している。
耐用年数は6年とする。

この場合は、月割計算は不要です。

年間の減価償却費

600,000 ÷ 6年 = 100,000円

決算整理仕訳

減価償却費 100,000 / 車両運搬具減価償却累計額 100,000

取得時期によって、
月割が必要かどうかが変わる
ここは試験でよく狙われます。


5.よくあるミス

① 現金が動かないのに不安になる

減価償却は、現金と関係ありません

② 資産を直接減らしてしまう

原則は、
「資産 − 累計額」
で管理します。

③ 月割を忘れる・逆にしてしまう

取得日を必ず確認しましょう。


まとめ

  • 減価償却は「分割払いの費用化」
  • 現金は無視してOK
  • 使った期間分だけ費用にする

次回は、
👉 「減価償却と固定資産売却が絡むときの実戦処理」
をテーマにすると、応用問題への耐性が一気に上がります。