前回は、期中取得と月割計算を扱いました。
今回は、減価償却で最後に大きな落とし穴になる、
固定資産の売却・除却をテーマにします。
ここを苦手にしている受験生は非常に多いですが、
理由ははっきりしています。
売却・除却で混乱する理由
売却や除却が出てくると、多くの人はこうなります。
- 減価償却をいくらまで計上するのか分からない
- 売却益・売却損の計算がぐちゃぐちゃになる
- 仕訳の順序に迷う
しかし、ここでも考え方は一貫しています。
「その資産を、いつまで使ったのか」
これだけです。
まず大原則を確認する
固定資産を売却・除却した場合、
減価償却は、売却・除却した日まで
しか行いません。
当たり前のことですが、
- もう使っていない
- 会社に存在しない
資産について、それ以降の減価償却はあり得ません。
【具体例】期中に売却した場合
次の例で確認しましょう。
- 取得価額:120万円
- 耐用年数:5年
- 定額法
- 期首帳簿価額:72万円
- 7月1日に売却
まず、1年分の減価償却費を確認します。
120万円 ÷ 5年 = 24万円
次に、当期に「何か月使ったか」を考えます。
7月1日売却なので、
- 1月〜6月
- 6か月間使用
しています。
したがって、当期の減価償却費は、
24万円 × 6か月 ÷ 12か月 = 12万円
です。
売却時点の帳簿価額を求める
期首帳簿価額は72万円でした。
そこから、当期分の減価償却費12万円を引くと、
72万円 − 12万円 = 60万円
これが、売却時点の帳簿価額です。
売却価額と比較するのは、
この60万円です。
売却損益を計算する
仮に、この固定資産を65万円で売却したとします。
- 売却価額:65万円
- 帳簿価額:60万円
差額は、
65万円 − 60万円 = 5万円
よって、固定資産売却益 5万円が発生します。
仕訳の流れを整理する
売却時の仕訳は、流れで考えると整理しやすくなります。
- 当期分の減価償却を計上する
- 帳簿価額を確定させる
- 売却損益を計算する
結果として、次のような仕訳になります。
(借方)現金 650,000
(借方)減価償却累計額 600,000
(貸方)固定資産 1,200,000
(貸方)固定資産売却益 50,000
※減価償却累計額は、売却時点までの累計額です。
除却の場合はどうなるか
除却の場合も、考え方は同じです。
違うのは、
- 売却価額がない
という点だけです。
帳簿価額がそのまま、
固定資産除却損
になります。
よくある失点パターン
- 売却後も1年分の減価償却をしてしまう
- 期首帳簿価額をそのまま使ってしまう
- 減価償却と売却損益を混ぜて考える
これらはすべて、
「いつまで使ったか」
を意識していないことが原因です。
第44回のまとめ
- 減価償却は、売却・除却した日まで
- まず帳簿価額を正確に出す
- 売却損益・除却損はその後に考える
次回は、減価償却シリーズの総まとめとして、
本試験で減価償却を落とさないための整理を行います。
ここまで理解できれば、減価償却は得点源にできます。
