第2回 税理士試験ってどんな試験?

第2回 税理士試験ってどんな試験?

税理士を目指そう、と考えたときに、最初に気になるのは「そもそも税理士試験ってどんな試験なの?」という点だと思います。
ここでは、これから一緒に勉強していくうえで、最低限おさえておきたい全体像を整理しておきましょう。

1.科目合格制という少し変わったスタイル

税理士試験の一番の特徴は「科目合格制」です。
多くの資格試験は、年に1回の本試験で一発勝負、合否は「合格」か「不合格」かのどちらかですが、税理士試験は少し違います。

  • 試験は「科目ごと」に実施される
  • 1年で受ける科目数は、自分で選べる
  • 合格した科目はずっと有効(有効期限がない)

つまり、たとえば今年は2科目、来年は1科目、再来年は2科目、といったように、自分のペースで合格科目を積み上げていくことができます。
一気にすべての科目を合格しなくてはいけないわけではないので、働きながら少しずつ進めていくことも十分可能です。

2.何科目とればいいの?必須科目と選択科目

税理士になるためには、原則として5科目に合格する必要があります。
そのうち、

  • 必須科目:簿記論・財務諸表論(会計科目)
  • 選択科目:法人税法・所得税法 などの「税法」から一定数を選ぶ

という形になっています(詳しい組み合わせは、今後の回であらためて整理します)。
このサイトでは、まず会計(簿記)をしっかり固めることをスタート地点にします。
なぜなら、簿記の実力はそのまま「簿記論・財務諸表論」の得点力につながるだけでなく、税法科目を理解するうえでも土台になるからです。

3.どれくらい難しいの?合格までのイメージ

「税理士試験は難関資格」とよく言われますが、ここでは冷静にイメージしておきましょう。

  • 1科目あたりの合格率はおおよそ10〜20%前後
  • 年1回の試験なので、1年=1チャンス
  • ただし、科目合格が積み上がるので「5連勝しないとダメ」というわけではない

要するに、「一度に全部合格しないと終わり」というタイプの試験ではなく、長期戦を前提にじっくり取り組む試験です。
仕事や家庭の事情で、勉強できる時期・できない時期があっても、ペース配分さえ間違えなければ十分に合格ラインに届きます。

このサイトでは、その「長期戦」をできるだけ見通しよく、迷子にならずに進めることを目標にしています。

4.受験資格と「今どこにいるか」の確認

税理士試験には受験資格があります。
詳しい制度は公式情報を確認していただくとして、ざっくり言えば

  • 大学で一定の単位(法律・経済など)を修めている
  • 日商簿記1級などの資格を持っている
  • 税務の実務経験がある

といったケースで受験資格が認められます。
「まだ受験資格がない」という方もいると思いますが、心配はいりません。

このサイトでの学習は、

  1. まずは簿記3級レベルの基礎固め
  2. 次に簿記2級レベルで「会計の言語」をしっかり身につける
  3. 並行して、受験資格の確認・取得方法を整理する

という流れを想定しています。
「自分は今どの段階にいるのか」を意識しながら、無理なく一歩ずつ進んでいきましょう。

5.働きながら勉強することを前提に

税理士を目指す方の多くは、仕事や家庭の用事を抱えながら勉強しています。
フルタイムで勉強できる人の方が少数派でしょう。

だからこそ、

  • 1日に確保できる勉強時間は「長くて2〜3時間」
  • 平日は最低限をキープ、休日に少しだけ上乗せ
  • 長期休暇のときに一気に進めるのではなく、「細く長く」を基本にする

といった前提で、学習プランを組んでいきます。
このサイトでは、「ガッツリ予備校に通ってストイックに合格を目指す」というよりも、
「日常生活を大きく崩さず、それでも着実に前に進む」ための勉強の仕方を中心に扱います。

6.この先の流れ

次回以降は、もう少し具体的に

  • 税理士試験の「科目」ごとの特徴
  • 勉強を始める順番
  • 簿記3級〜2級レベルの勉強を、税理士試験につなげる方法

などを見ていく予定です。

今回のポイントを一言でまとめると、

税理士試験は「科目合格制の長期戦」。
一気にすべてを終わらせようとせず、科目を積み上げるマラソンだと考える。

ということです。

焦らず、でもダラダラしすぎず。
一緒に、長く走り続けられるペースを見つけていきましょう。