簿記を勉強していると、必ず出てくるのが「決算」という言葉です。
何となく大事そうな言葉だとはわかるものの、最初のうちは
- 決算とは何をすることなのか
- なぜ決算が必要なのか
- ふだんの記帳とどう違うのか
が、はっきり見えないかもしれません。
しかし、簿記を理解するうえで、決算は避けて通れません。
むしろ、日々の記帳はすべて、最後に決算をするために積み重ねているといってもよいくらいです。
今回は、「決算とは何か」を、できるだけわかりやすく整理していきます。
1.決算とは「一区切りをつけること」
会社の活動は、本来ずっと続いていきます。
商売は1日で終わるわけではありませんし、1か月で終わるわけでもありません。
来月も、来年も、その先も続いていきます。
しかし、それでは
「結局この会社は儲かっているのか」
が、いつまでたってもわかりません。
そこで、ある一定の期間で区切って、その期間の成績と、その時点の財産状態を調べる必要が出てきます。
これが決算です。
つまり決算とは、
「会社の活動をいったん区切って、成績と財産の状態を明らかにすること」
なのです。
2.なぜ区切る必要があるのか
たとえば、1年中営業しているお店があるとします。
毎日売上があり、仕入があり、家賃を払い、水道光熱費を払い、時には売れ残りも出ます。
もし何年も区切らずに商売を続けてしまったら、
- 今年は儲かったのか
- 去年より良くなったのか悪くなったのか
- 今どれくらい財産が残っているのか
が見えなくなってしまいます。
会社を経営する人にとっても、銀行にとっても、税金を計算するうえでも、それでは困ります。
だからこそ、通常は1年ごとに区切って、決算を行うのです。
個人でも家計簿をつけていると、月末に
「今月はいくら使ったのか」
を見たくなることがあります。
会社の決算は、それをもっと正式に、もっと正確に行う作業だと考えるとわかりやすいでしょう。
3.ふだんの記帳だけでは足りない
毎日の取引を仕訳して、帳簿に記録していけば、それで十分なようにも見えます。
しかし実際には、それだけでは正しい成績は出ません。
なぜなら、日々の記帳の中には、
- まだ整理しきれていないもの
- そのままでは当期の成績に正しく反映されないもの
- 時間の経過に応じて修正しなければならないもの
があるからです。
たとえば、年末の時点で売れ残っている商品があれば、その分はまだ費用として確定していない部分があります。
あるいは、建物や備品のように何年も使うものは、買った年に全額を費用にするのではなく、少しずつ費用化していかなければなりません。
また、前払いした保険料や、まだ受け取っていない利息なども、そのままでは期間ごとの成績が正しく出ません。
そこで決算では、こうしたズレを直していきます。
4.決算でやることの大まかな流れ
決算といっても、いきなり難しいことをするわけではありません。
大きく言えば、次のような流れになります。
- 帳簿の記録を確認する
- 決算整理を行う
- 損益計算書と貸借対照表を作る
- 利益または損失を確定する
この中でも特に大事なのが、決算整理です。
決算整理とは、決算日に合わせて帳簿を正しい状態に直すことです。
言いかえると、ふだんの記録をそのまま集計するのではなく、
「当期の数字として本当に正しい形に整える作業」
が必要になるのです。
5.決算整理は「成績表を作る前の見直し」
学校のテストでも、集計の前に答案を見直すことがあります。
記入漏れがないか、転記ミスがないか、計算ミスがないかを確認します。
決算整理も、それと少し似ています。
ただし、単なるミス直しではありません。
決算整理では、
- 当期に属する収益はいくらか
- 当期に属する費用はいくらか
- 決算日時点の資産や負債はいくらか
を、きちんと確定させます。
この作業をしないと、利益が実際より多く出たり、少なく出たりしてしまいます。
つまり決算整理は、会社の成績表をごまかしのない形で作るための重要な手続なのです。
6.具体例で考える
たとえば、12月決算の会社が12月1日に1年分の保険料12万円を現金で支払ったとします。
このとき、支払った瞬間に12万円すべてを費用にしてしまうと、どうなるでしょうか。
12月の1か月分しか使っていないのに、1年分全部がその年の費用になってしまいます。
これでは、その年の費用が大きくなりすぎて、利益が不当に少なくなります。
そこで決算では、まだ来年分にあたる11か月分を費用から外し、前払費用などとして整理します。
逆に、まだ現金を受け取っていなくても、当期の収益に含めるべきものがあれば計上しなければなりません。
こうして、期間ごとの成績を正しくそろえるわけです。
7.決算をすると、会社の姿が見える
決算を行うことで、会社の数字がはっきり見えてきます。
たとえば、
- 今年はどれだけ利益が出たのか
- 現金はどれくらい残っているのか
- 売掛金や買掛金はどの程度あるのか
- 借入金は増えているのか減っているのか
といったことがわかります。
これによって、経営者は次の判断がしやすくなります。
また、外部の人にとっても、その会社の状態を知る手がかりになります。
つまり決算は、単なる会計上の作業ではなく、
会社の現在地を確認するための重要な手続
でもあるのです。
8.簿記の勉強では、まず全体像をつかむ
初学者にとっては、決算整理仕訳がいくつも出てくると、それだけで難しく感じるかもしれません。
しかし、最初から細かい論点を全部覚えようとする必要はありません。
まずは、
- 会社の活動を一定期間で区切る
- その期間の成績を正しく出す
- 決算日時点の財産状態を正しく出す
という決算の目的を理解することが大切です。
そのうえで、各論として
- 商品
- 減価償却
- 前払費用
- 未払費用
- 未収収益
- 貸倒れ
などを順番に学んでいけば、知識がばらばらになりにくくなります。
9.まとめ
決算とは、会社の活動を一定期間で区切って、その期間の成績と、決算日時点の財産状態を明らかにすることです。
日々の記帳だけでは、そのままでは正しい数字にならないことがあるため、決算整理を行って数字を整えます。
その結果、損益計算書や貸借対照表が作られ、会社の実際の姿が見えてきます。
簿記を勉強するうえでは、決算整理の個別論点に入る前に、
「なぜ決算をするのか」
を理解しておくことがとても大切です。
ここが見えてくると、これから学ぶ決算整理の仕訳も、単なる暗記ではなく意味のある作業として理解しやすくなります。
次回は、決算整理の中でも代表的なテーマである商品の決算整理について見ていきましょう。
