日別アーカイブ: 2026年3月18日

第10回 簿記入門(10)損益計算書と貸借対照表はどうつながっているのか

簿記の勉強を始めると、よく出てくるのが

  • 損益計算書
  • 貸借対照表

という2つの書類です。

名前だけ聞くと、まったく別のもののように感じるかもしれません。

しかし実際には、この2つはばらばらに存在しているわけではありません。

会社の活動の結果を、別の角度から見ているだけです。

今回は、簿記の学習で非常に大事な

「損益計算書と貸借対照表のつながり」

を、できるだけわかりやすく説明していきます。


1.損益計算書は「一定期間の成績表」

まず、損益計算書は何を表す書類なのかを整理しましょう。

損益計算書は、ある一定期間、たとえば1年間で

  • どれだけ売上があったか
  • どれだけ費用がかかったか
  • その結果、利益がいくら出たか

を示す書類です。

つまり、損益計算書は

「その会社がその期間にどんな成績を残したか」

を見るための書類です。

学校でいえば、テストの点数表のようなものです。

たとえば、あるお店が1年間で商品を売って、次のような結果になったとします。

  • 売上 100万円
  • 仕入 60万円
  • 家賃 20万円
  • その他の費用 10万円

すると、利益は

100万円 - 60万円 - 20万円 - 10万円 = 10万円

になります。

この「10万円の利益」が、その期間の経営成績です。


2.貸借対照表は「ある時点の財産の一覧表」

これに対して、貸借対照表は少し見方が違います。

貸借対照表は、決算日の時点で

  • どんな財産を持っているか
  • どんな借金があるか
  • 差し引きしてどれだけ自分のものがあるか

を示す書類です。

言いかえると、貸借対照表は

「その時点での会社の状態」

を表しています。

たとえば決算日の時点で、会社に

  • 現金 30万円
  • 売掛金 20万円
  • 商品 15万円

があり、

  • 買掛金 10万円
  • 借入金 20万円

があるとします。

すると、持っているものから返さなければならないものを引いた残りが、会社の純資産になります。

貸借対照表は、いわば

「決算日時点の会社の体重計」

のようなものです。


3.成績表と財産表は、どうつながるのか

ここが今回の本題です。

損益計算書で出てきた利益は、どこへ行くのでしょうか。

利益は、そのまま消えてしまうわけではありません。

利益は、最終的に貸借対照表の純資産を増やします。

これが2つの書類のつながりです。

たとえば、開業時に100万円の元手を出して事業を始めたとします。

最初の貸借対照表の純資産は100万円です。

その後、1年間営業して10万円の利益が出たとします。

すると、決算後の純資産は

100万円 + 10万円 = 110万円

になります。

つまり、損益計算書で計算された利益は、貸借対照表の純資産に組み込まれていくのです。


4.反対に、損失が出たらどうなるか

利益が出れば純資産が増えるのですから、反対に損失が出れば純資産は減ります。

たとえば元手が100万円ある会社が、1年間で20万円の損失を出したとします。

すると、決算後の純資産は

100万円 - 20万円 = 80万円

になります。

このように考えると、損益計算書は単なる「その年だけの話」ではありません。

その結果が貸借対照表に反映されて、会社の体力を増やしたり減らしたりしているのです。


5.なぜこのつながりが大事なのか

簿記を勉強していると、仕訳や勘定科目をひとつずつ覚えることに意識が向きがちです。

もちろん、それは大切です。

しかし、もっと大事なのは

「この仕訳が最終的にどこへ行くのか」

を理解することです。

売上を計上すれば、損益計算書で利益の増加につながります。

費用を計上すれば、損益計算書で利益の減少につながります。

そして、その利益や損失が最終的に純資産を増減させ、貸借対照表に反映されます。

この流れが頭に入ると、簿記の学習は一気につながって見えてきます。


6.実務でも、この感覚はとても重要

実務では、会社の数字を見るときに

  • 今年はいくら儲かったのか
  • その結果、会社の財産状態は良くなったのか

をセットで考えます。

たとえば、今年は利益が出ていても、借入金が多すぎたり、売掛金の回収が遅れていたりすると、安心できない場合があります。

逆に、一時的に利益が少なくても、現金がしっかり残り、財務内容が安定している会社もあります。

だからこそ、損益計算書だけ、あるいは貸借対照表だけを見るのではなく、両方をつなげて考える必要があるのです。


7.簿記の学習ではどう押さえるか

初学者の段階では、まず次の3点をしっかり押さえてください。

  • 損益計算書は一定期間の成績を表す
  • 貸借対照表はある時点の財産状態を表す
  • 利益は純資産を増やし、損失は純資産を減らす

これだけでも、簿記の全体像はかなり理解しやすくなります。

個別の仕訳を覚えるときも、

「これは利益に影響するのか、財産に影響するのか、それとも両方に関係するのか」

と考える習慣を持つと、記憶が定着しやすくなります。


8.まとめ

損益計算書と貸借対照表は、別々の書類ではありますが、実際には強くつながっています。

損益計算書は、その期間の努力の結果を示します。

貸借対照表は、その結果を受けた決算日時点の姿を示します。

そして、損益計算書で生まれた利益や損失は、最終的に貸借対照表の純資産へつながっていきます。

ここが理解できると、簿記は単なる暗記ではなく、会社の動きを数字で追いかける学問だということが見えてきます。

最初は難しく感じるかもしれませんが、このつながりが見えてくると、学習はずっと面白くなります。

次回は、決算整理に入る前に押さえておきたい考え方について、もう少し具体的に見ていきましょう。

税理士合格ロードマップ 第9回 税法科目はどのように選ぶべきか

税理士試験は全部で11科目あります。

そのうち必須科目は次の2つです。

  • 簿記論
  • 財務諸表論

そして残りは税法科目になります。

税法科目は全部で9科目あり、その中から3科目を選んで合格する必要があります。


1.税法科目の一覧

税理士試験の税法科目は次の通りです。

  • 所得税法
  • 法人税法
  • 相続税法
  • 消費税法
  • 酒税法
  • 国税徴収法
  • 住民税
  • 事業税
  • 固定資産税

ただし、ここで重要なルールがあります。

所得税法または法人税法のどちらかは必ず合格しなければならない

つまり、税法3科目の中には必ずどちらかが入ります。


2.多くの受験生の選択パターン

一般的によく選ばれる組み合わせは次のようなものです。

パターン 科目
王道パターン 法人税・消費税・相続税
会計事務所志向 法人税・消費税・所得税
短期合格志向 消費税・国税徴収法・固定資産税

ただし、科目選択は人によって大きく変わります。


3.税法科目の難易度

税理士試験では、科目によって勉強量が大きく違います。

勉強量 科目
非常に多い 法人税法・所得税法
多い 相続税法・消費税法
比較的少ない 国税徴収法・酒税法・固定資産税

そのため、最初に難しい科目を選ぶかどうかは大きな判断になります。


4.科目選択で大切な考え方

科目選択では次の3つを考える必要があります。

  • 将来の仕事
  • 勉強時間
  • 合格までの期間

例えば、会計事務所で働く予定なら、

法人税と消費税はほぼ必須

と言われています。


5.科目選択は戦略

税理士試験は長期戦です。

そのため、

科目選択そのものが合格戦略

になります。

最初の選択で数年変わることも珍しくありません。


まとめ

  • 税法科目は9科目ある
  • その中から3科目合格する
  • 法人税か所得税は必須

科目選択は慎重に考える必要があります。

次回は、

「税理士試験の勉強スケジュールの立て方」

について解説します。