第34回 簿記入門(27)
数字に強い人は何を見ているのか
― 会計を「判断の道具」に変える視点 ―
ここまでの回で、
P/L・B/S・キャッシュ・フローを一通り学んできました。
今回は、知識の総仕上げとして、
「数字に強い人は、実際に何を見て判断しているのか」
という視点を整理します。
1. 数字に強い人は「全部」は見ていない
会計が苦手な人ほど、
すべての数字を理解しようとします。
しかし、実務で数字に強い人は、
見る場所を最初から絞っています。
| 書類 | まず見るポイント |
|---|---|
| P/L | 利益が出ているか、その質はどうか |
| B/S | 現金・借入金・純資産 |
| CF | 営業CFがプラスか |
まずは要点だけを見る。
これが第一歩です。
2. 実例① 売上が伸びていると言われたとき
現場でよくある場面です。
「今年は売上がかなり伸びています」
このとき、数字に強い人は、
すぐに喜ばず、次を確認します。
| 見る項目 | 理由 |
|---|---|
| 利益 | 売上増が儲けにつながっているか |
| 売掛金 | 回収が追いついているか |
| 営業CF | 現金が増えているか |
売上だけを見て判断することは、
ほとんどありません。
3. 実例② 黒字なのに不安を感じるとき
「利益は出ているのに、なぜか不安」
こういう感覚を持つ人は、
実は数字に強くなり始めています。
チェックされているポイント
| 営業CF | マイナスが続いていないか |
| 借入金 | 増え続けていないか |
| 現金残高 | 数か月持つか |
利益より「持久力」を見ている
4. 実例③ 投資や新規事業を判断するとき
新しい設備や事業の話が出たとき、
数字に強い人は「損益」より先に、
「キャッシュ」を考えます。
| 確認点 | 考え方 |
|---|---|
| 初期支出 | 現金はいくら出るか |
| 回収時期 | 何年で戻るか |
| 失敗時 | 耐えられるか |
「うまくいったら」ではなく、
「うまくいかなかったらどうなるか」
を先に考えます。
5. 数字に強い人の共通点
| 特徴 |
|---|
| 完璧な理解を求めない |
| 数字を「変化」で見る |
| 利益よりキャッシュを重視 |
| 最悪のケースを想定する |
会計は、
暗記科目ではありません。
判断力を鍛えるための道具
です。
まとめ
- 数字は全部見なくていい
- 要点を絞ることが大切
- 「なぜ?」を考える
- 会計は判断のために使う
ここまで理解できれば、
「会計が分かる人」から「使える人」
へ一歩進んだと言えます。
