日別アーカイブ: 2026年1月16日

第33回 簿記入門(26) キャッシュ・フロー改善の実例

第33回 簿記入門(26)
キャッシュ・フローを改善するにはどうすればいいのか
― 実例で学ぶ、お金が残る会社の考え方 ―

前回(第32回)では、
P/L・B/S・キャッシュ・フローをまとめて読む
方法を学びました。

今回は一歩進んで、

「では、どうすればキャッシュ・フローは良くなるのか」

を考えます。

実務では、
ちょっとした判断の違いで、
お金の残り方が大きく変わります。


1. キャッシュ・フロー改善の基本視点

キャッシュ・フロー改善の基本は、次の3点です。

視点 考え方
営業CF 本業で現金を生む
投資CF 使いすぎない・使いどころを選ぶ
財務CF 借り方・返し方を整える

以下、
よくある実例で見ていきます。


2. 実例① 売上は順調だが現金が足りない会社

ある制作会社では、

  • 売上は毎年増えている
  • 利益も出ている

にもかかわらず、
常に資金繰りが苦しい状態でした。

原因

売掛金の回収が遅い 入金まで3〜4か月
支払いは現金 外注費・人件費は即時

改善策

  • 請求書の締日・支払日を見直す
  • 一部前金制を導入
  • 回収条件を契約時に明確化

売上を増やすより、
回収を早める方が即効性がある


3. 実例② 利益は少ないが現金が残る会社

次は、
一見地味な小売店です。

特徴

  • 利益率は高くない
  • 派手な成長はない

実態

現金売上が中心 売掛金がほぼない
在庫管理が厳格 余剰在庫を持たない

「儲ける」より「回す」意識が強い会社


4. 実例③ 投資で失敗しやすいケース

キャッシュ・フローを悪化させる原因として、
非常に多いのが投資の判断ミスです。

よくある失敗

  • 売上が伸びる前に大きな設備投資
  • 見栄で高額なオフィス移転
  • 使いこなせないシステム導入

改善の考え方

分割投資 小さく始めて様子を見る
レンタル・外注 固定費を増やさない

投資は、

「できるか」ではなく「回せるか」

が判断基準です。


5. 実例④ 借入との付き合い方で差が出る

借入金は、
キャッシュ・フロー改善の味方にもにもなります。

危ないパターン

  • 赤字補填のための借入
  • 返済計画のない借入

良い使い方

運転資金 短期の資金繰りを安定させる
成長投資 将来のCF改善につながる

借入は「時間を買う手段」


6. キャッシュ・フロー改善のチェックリスト

チェック項目
売掛金は増えすぎていないか
在庫を抱えすぎていないか
投資の回収時期を考えているか
借入金の返済計画は現実的か

まとめ

  • キャッシュ・フローは改善できる
  • 数字より「流れ」を意識する
  • 小さな判断の積み重ねが差になる

会計は、
会社を守り、成長させるための道具です。


次回予告(第34回)

次回は、
「数字に強い経営者・担当者は何を見ているか」
をテーマにまとめます。