第32回 簿記入門(25)
財務諸表をまとめて読む
― P/L・B/S・キャッシュ・フローで会社を立体的に理解する ―
これまでの回で、
損益計算書(P/L)・貸借対照表(B/S)・キャッシュ・フロー
を個別に学んできました。
今回はいよいよ、
3つの財務諸表を同時に見て、
会社の実像を読み取る
ことに挑戦します。
1. なぜ「まとめて」読む必要があるのか
財務諸表は、それぞれ役割が異なります。
| 書類 | 分かること |
|---|---|
| P/L | どれだけ儲かったか(成績表) |
| B/S | 今どんな体力があるか(健康診断) |
| CF | お金の流れは健全か(血流) |
どれか1つだけでは、
会社を正しく判断することはできません。
2. 実例:ある小さな制作会社の数字
ここからは、
1社の実例を使って読み進めます。
損益計算書(P/L)
| 項目 | 金額(万円) |
|---|---|
| 売上 | 1,300 |
| 費用 | 1,150 |
| 当期純利益 | 150 |
P/Lだけ見ると、
「しっかり利益が出ている会社」
に見えます。
3. 貸借対照表(B/S)を見る
資産の部
| 資産 | 金額(万円) |
|---|---|
| 現金・預金 | 120 |
| 売掛金 | 420 |
| 設備 | 260 |
| 合計 | 800 |
負債・純資産の部
| 項目 | 金額(万円) |
|---|---|
| 借入金 | 500 |
| 純資産 | 300 |
| 合計 | 800 |
ここで見えてくるのは、
- 売掛金が多く、現金が少ない
- 借入金への依存度が高い
という点です。
4. キャッシュ・フローを見る
| 区分 | 金額(万円) |
|---|---|
| 営業キャッシュ・フロー | ▲30 |
| 投資キャッシュ・フロー | ▲120 |
| 財務キャッシュ・フロー | +100 |
| 現金の増減 | ▲50 |
キャッシュ・フローから分かるのは、
本業でお金を生めておらず、
借入で資金繰りを支えている
という事実です。
5. 3つを合わせて読むと何が見えるか
| 書類 | 評価 |
|---|---|
| P/L | 利益は出ている |
| B/S | 借金が多く、体力は中程度 |
| CF | 本業のキャッシュが弱い |
総合すると、この会社は、
「成長途中だが、まだ資金面は不安定」
と判断できます。
まとめ
- P/Lだけでは判断できない
- B/Sで体力を見る
- CFで血流を確認する
- 3つを同時に見ることが重要
財務諸表が読めるとは、
数字の裏にある会社の姿を想像できること
です。
次回予告(第33回)
次回からは、
数字を「改善する」視点に進みます。
「どうすればキャッシュ・フローは良くなるのか」
実務的な考え方を扱います。
