第31回 簿記入門(24)
良いキャッシュ・フロー、悪いキャッシュ・フロー
― 黒字でも危ない会社、赤字でも強い会社 ―
前回(第30回)では、
キャッシュ・フローは「営業・投資・財務」の3つに分けて考える
ことを学びました。
今回は、その知識を使って、
会社の状態を判断するところまで踏み込みます。
テーマは、
良いキャッシュ・フローと、悪いキャッシュ・フローの違い
です。
1. 「良い・悪い」は合計額だけでは分からない
キャッシュ・フローを見るとき、
つい現金が増えたか減ったかだけを見がちです。
しかし、本当に大切なのは、
どこからお金が入り、
どこへ出ていったのか
という中身です。
2. 実例① 黒字だが「悪いCF」の会社
まずは、
損益計算書では黒字の会社を見てみます。
損益計算書(抜粋)
| 項目 | 金額(万円) |
|---|---|
| 当期純利益 | 200 |
一見すると、
好調な会社に見えます。
キャッシュ・フローの内訳
| 区分 | 金額(万円) |
|---|---|
| 営業CF | ▲120 |
| 投資CF | ▲30 |
| 財務CF | +200 |
| 現金の増減 | +50 |
現金は増えていますが、
- 本業(営業CF)はマイナス
- 借入(財務CF)でお金を補っている
状態です。
この会社は、
「儲かっているように見えるが、自力では回っていない」
と評価できます。
3. 実例② 赤字だが「良いCF」の会社
次は逆の例です。
損益計算書(抜粋)
| 項目 | 金額(万円) |
|---|---|
| 当期純損失 | ▲40 |
P/Lだけ見ると、
不調な会社に見えます。
キャッシュ・フローの内訳
| 区分 | 金額(万円) |
|---|---|
| 営業CF | +180 |
| 投資CF | ▲60 |
| 財務CF | ▲50 |
| 現金の増減 | +70 |
この会社は、
- 本業でしっかり現金を生み
- 借金を返しながら
- 将来への投資もしている
状態です。
一時的な赤字でも、
体力のある会社
と言えます。
4. 良いCF・悪いCFを見分ける視点
| チェックポイント | 判断の目安 |
|---|---|
| 営業CF | プラスが基本。マイナス続きは要注意 |
| 財務CF | 借入頼みか、返済できているか |
| 投資CF | 将来につながる内容か |
特に重要なのは、
営業CFが安定してプラスかどうか
です。
まとめ
- 黒字=安全、とは限らない
- 赤字=危険、とも限らない
- お金の「出どころ」を見る
- 営業CFが会社の生命線
キャッシュ・フローが読めるようになると、
会社の将来を現実的に判断できる
ようになります。
次回予告(第32回)
次回は、
財務諸表を使って会社を総合的に見る方法
を扱います。
P/L・B/S・CFをまとめて、
実践的な読み方を整理します。
