第30回 簿記入門(23)
キャッシュ・フローは3つに分けて考える
― 営業・投資・財務でお金の流れを読み解く ―
前回(第29回)では、
利益とキャッシュは一致しないという点を、具体例で確認しました。
今回はさらに一歩進んで、
現金の動きを3つに分けて考える方法を学びます。
これが、キャッシュ・フロー計算書の基本的な考え方です。
1. キャッシュ・フロー計算書とは何か
キャッシュ・フロー計算書とは、
一定期間における
現金の増減を、その理由別に整理した書類
です。
その「理由」が、次の3つに分けられます。
2. キャッシュ・フローの3区分
| 区分 | 意味 |
|---|---|
| 営業キャッシュ・フロー | 本業でお金が増えたか・減ったか |
| 投資キャッシュ・フロー | 将来のためにお金を使ったか |
| 財務キャッシュ・フロー | 借入や返済など、資金調達の動き |
この3つを分けて見ることで、
会社が今どんな状態にあるのかが見えてきます。
3. 具体例① 営業キャッシュ・フローを見る
まずは、営業キャッシュ・フローです。
ある制作会社の1年間を見てみましょう。
| 内容 | 金額(万円) |
|---|---|
| 当期純利益 | 150 |
| 売掛金の増加 | ▲200 |
| 営業CF | ▲50 |
この会社は、
利益は出ているが、
本業では現金が減っている
という状態です。
売上は立っているものの、
回収が追いついていないことが原因です。
4. 具体例② 投資キャッシュ・フローを見る
次に、投資キャッシュ・フローです。
同じ会社が、
新しいパソコンやソフトを購入したとします。
| 内容 | 金額(万円) |
|---|---|
| 設備投資 | ▲120 |
| 投資CF | ▲120 |
投資キャッシュ・フローがマイナスでも、
将来の売上につながる投資であれば、
必ずしも悪いことではない
という点が重要です。
5. 具体例③ 財務キャッシュ・フローを見る
最後に、財務キャッシュ・フローです。
この会社は、
設備投資の資金を借入でまかないました。
| 内容 | 金額(万円) |
|---|---|
| 借入金の増加 | +200 |
| 借入金の返済 | ▲80 |
| 財務CF | +120 |
この結果、
本業と投資で減った現金を、
借入で補っている
状態だと分かります。
6. 3つを合計すると何が見えるか
ここまでの3つを合計してみます。
| 区分 | 金額(万円) |
|---|---|
| 営業CF | ▲50 |
| 投資CF | ▲120 |
| 財務CF | +120 |
| 現金の増減 | ▲50 |
この会社は、
将来に向けて投資をしているが、
まだ本業のキャッシュが弱い
という状態だと読み取れます。
まとめ
- キャッシュ・フローは3区分で考える
- 営業CFは本業の健康状態
- 投資CFは将来への布石
- 財務CFは資金調達の実態
3つをセットで見ることで、
会社のお金の流れが立体的に見える
ようになります。
次回予告(第31回)
次回は、
良いキャッシュ・フロー、悪いキャッシュ・フロー
を見分ける視点を整理します。
同じ黒字でも、
「安全な会社」と「危ない会社」の違いを考えます。
