第59回 簿記入門(59)商品評価損と低価法 ― 在庫は「高く」計上してはいけない

第58回では売上原価を扱いました。
今回はその発展論点である商品評価損と低価法です。

簿記2級では頻出、そして税理士試験でも当然の前提知識になります。
在庫は「利益を操作しやすい」項目です。だからこそルールが厳格です。


1.なぜ評価損が必要なのか?

例えば、100万円で仕入れた商品が、
決算日に市場価格70万円まで下落していた場合、

100万円のまま資産にしてよいでしょうか?

→ 答えはNOです。

資産は「回収可能な金額」で表示します。
そこで登場するのが低価法です。


2.低価法とは?

原価 と 時価 の いずれか低い方で評価する

原価 仕入れたときの金額
時価 決算日の市場価格

3.仕訳の形

原価100万円、時価70万円の場合:

評価損=30万円

(借)商品評価損 300,000 /(貸)商品 300,000

→ 商品は70万円に減額されます。


4.利益への影響

評価損は費用です。

つまり、利益は減ります。

これは「将来の損失を今のうちに反映する」という保守主義の考え方です。


5.練習問題

問題1

期末商品の帳簿価額は500,000円。
時価は460,000円である。
必要な決算整理仕訳をしなさい。

解答を見る

評価損=40,000円

(借)商品評価損 40,000 /(貸)商品 40,000


問題2(利益計算)

売上 2,000,000円
売上原価 1,300,000円
その他費用 400,000円
商品評価損 100,000円
当期純利益はいくらか。

解答を見る

利益=2,000,000−1,300,000−400,000−100,000
=200,000円


6.よくあるミス

  • 時価が上がっている場合に増額してしまう(※上げない)
  • 評価損を売上原価に混ぜてしまう
  • 帳簿価額と時価の比較を逆にする

低価法は「損だけ認める」。
利益は前倒しで計上しません。


シリーズについて

現在は「税理士スタートガイド」シリーズとして進めています。
この簿記入門シリーズは、第60回〜第65回あたりで一区切りとし、

次のシリーズへ移行予定です。

次シリーズでは、
・税理士試験の全体像
・科目選択戦略
・簿記から財務諸表論への接続
など、より実戦的な内容に入ります。


次回予告

第60回では、引当金の総整理(貸倒引当金以外)を扱います。
退職給付引当金・修繕引当金など、発展論点へ入ります。