第44回 売却・除却が出てきたら、減価償却は「いつまで?」を考える<

前回は、期中取得と月割計算を扱いました。

今回は、減価償却で最後に大きな落とし穴になる、
固定資産の売却・除却をテーマにします。

ここを苦手にしている受験生は非常に多いですが、
理由ははっきりしています。


売却・除却で混乱する理由

売却や除却が出てくると、多くの人はこうなります。

  • 減価償却をいくらまで計上するのか分からない
  • 売却益・売却損の計算がぐちゃぐちゃになる
  • 仕訳の順序に迷う

しかし、ここでも考え方は一貫しています。


「その資産を、いつまで使ったのか」

これだけです。


まず大原則を確認する

固定資産を売却・除却した場合、


減価償却は、売却・除却した日まで

しか行いません。

当たり前のことですが、

  • もう使っていない
  • 会社に存在しない

資産について、それ以降の減価償却はあり得ません。


【具体例】期中に売却した場合

次の例で確認しましょう。

  • 取得価額:120万円
  • 耐用年数:5年
  • 定額法
  • 期首帳簿価額:72万円
  • 7月1日に売却

まず、1年分の減価償却費を確認します。


120万円 ÷ 5年 = 24万円

次に、当期に「何か月使ったか」を考えます。

7月1日売却なので、

  • 1月〜6月
  • 6か月間使用

しています。

したがって、当期の減価償却費は、


24万円 × 6か月 ÷ 12か月 = 12万円

です。


売却時点の帳簿価額を求める

期首帳簿価額は72万円でした。

そこから、当期分の減価償却費12万円を引くと、


72万円 − 12万円 = 60万円

これが、売却時点の帳簿価額です。

売却価額と比較するのは、
この60万円です。


売却損益を計算する

仮に、この固定資産を65万円で売却したとします。

  • 売却価額:65万円
  • 帳簿価額:60万円

差額は、


65万円 − 60万円 = 5万円

よって、固定資産売却益 5万円が発生します。


仕訳の流れを整理する

売却時の仕訳は、流れで考えると整理しやすくなります。

  1. 当期分の減価償却を計上する
  2. 帳簿価額を確定させる
  3. 売却損益を計算する

結果として、次のような仕訳になります。


(借方)現金 650,000
(借方)減価償却累計額 600,000
(貸方)固定資産 1,200,000
(貸方)固定資産売却益 50,000

※減価償却累計額は、売却時点までの累計額です。


除却の場合はどうなるか

除却の場合も、考え方は同じです。

違うのは、

  • 売却価額がない

という点だけです。

帳簿価額がそのまま、


固定資産除却損

になります。


よくある失点パターン

  • 売却後も1年分の減価償却をしてしまう
  • 期首帳簿価額をそのまま使ってしまう
  • 減価償却と売却損益を混ぜて考える

これらはすべて、


「いつまで使ったか」

を意識していないことが原因です。


第44回のまとめ

  • 減価償却は、売却・除却した日まで
  • まず帳簿価額を正確に出す
  • 売却損益・除却損はその後に考える

次回は、減価償却シリーズの総まとめとして、
本試験で減価償却を落とさないための整理を行います。

ここまで理解できれば、減価償却は得点源にできます。