第42回 減価償却は「計算」より先に、考え方で8割決まる
ここからはいよいよ、具体的な試験テーマに入っていきます。
第42回で取り上げるのは、税理士試験で必ず出題され、かつ差がつきやすいテーマ、
減価償却です。
減価償却というと、
- 定額法・定率法
- 耐用年数
- 期首・期中取得
といった計算ルールを思い浮かべる人が多いと思います。
しかし、実際の試験では
「計算はできるのに点が取れない」
という人が、非常に多い分野でもあります。
なぜ減価償却はミスが多いのか
理由ははっきりしています。
- 計算手順だけを暗記している
- 「なぜ費用になるのか」を意識していない
- 期中取得・売却時の意味を理解していない
その結果、
- 月割計算を機械的に当てはめる
- 仕訳の意味を考えずに数字だけ合わせる
- 問題文の条件を読み飛ばす
といったミスが起きます。
減価償却は、計算問題でありながら「考え方の問題」なのです。
減価償却の本質を一言で言うと
減価償却とは何か。
難しく考える必要はありません。
「長く使うものの代金を、使った期間に分けて費用にする」
ただそれだけです。
たとえば、次の例を見てください。
【具体例】コピー機を購入した場合
ある会社が、業務用コピー機を100万円で購入したとします。
このコピー機は、5年間使う予定です。
このとき、購入した年に100万円すべてを費用にしてしまうと、
- 初年度だけ費用が大きくなる
- 翌年以降は、コピー機を使っているのに費用が出てこない
という不自然な結果になります。
そこで、
「毎年使った分だけ、少しずつ費用にしよう」
と考える。
これが減価償却です。
定額法の基本を確認する
まずは最も基本的な定額法から確認します。
先ほどのコピー機の例を使います。
- 取得価額:100万円
- 耐用年数:5年
- 残存価額:0円(とする)
この場合、1年あたりの減価償却費は、
100万円 ÷ 5年 = 20万円
です。
毎年、20万円ずつ費用にしていきます。
仕訳を「丸暗記」しない
ここで仕訳を確認します。
(借方)減価償却費 200,000
(貸方)減価償却累計額 200,000
この仕訳を、ただ暗記してしまう人が多いのですが、
重要なのは意味です。
- 減価償却費:その年に使った分の費用
- 減価償却累計額:これまでに使った分の合計
つまり、
「費用を計上しつつ、資産の価値を少しずつ減らしている」
という処理をしているだけです。
ここでよくある失点ポイント
減価償却で点を落とす人には、典型的なパターンがあります。
- 計算は合っているのに仕訳を間違える
- 期中取得なのに月割を忘れる
- 売却・除却があるのに1年分計上してしまう
これらはすべて、
「その資産を、いつからいつまで使ったのか」
を考えていないことが原因です。
第42回のまとめ
- 減価償却は計算問題だが、本質は考え方
- 「使った期間」に対応させる意識が最重要
- 仕訳は意味を理解して切る
次回は、
期中取得・月割計算をテーマに、
試験でよく出るパターンを具体的に見ていきます。
減価償却は、ここで一度しっかり整理しておきましょう。
