1.引当金が分かりにくい理由
引当金は、減価償却と並んで、
直感に反する会計処理
の代表例です。
なぜなら引当金は、
まだ実際には発生していない費用
を、先に計上するからです。
「お金も払っていない」
「まだ問題も起きていない」
それなのに、なぜ費用になるのでしょうか。
2.引当金は「将来の支出」を見積もる処理
引当金とは、一言で言えば、
将来、高い確率で発生する支出を、あらかじめ見積もる処理
です。
代表例として、次のようなものがあります。
- 貸倒引当金
- 賞与引当金
- 退職給付引当金
3.なぜ今、費用にする必要があるのか
ここで重要なのが、
「いつ費用として認識するか」
という問題です。
例えば、売上は今期に計上しているのに、
その売上に対応する費用を来期に回すと、
今期の利益は不自然に大きくなってしまいます。
そこで会計では、
収益と、それに対応する費用は、同じ期間に計上する
という考え方を取ります。
4.貸倒引当金を例に考えてみる
例:売掛金100万円のうち、5万円は回収不能になりそうだ
この時点では、まだ実際に貸倒れは起きていません。
しかし、
- 売上はすでに計上済み
- 回収できない可能性が高い
という状況です。
そこで、
将来の損失を見積もって、今のうちに費用として計上する
これが引当金の考え方です。
5.引当金を計上すると何が動くのか

引当金を計上すると、次の変化が起こります。
- P/L:引当金繰入額(費用)が発生
- B/S:引当金(負債または控除項目)が増える
そして重要なのは、
この時点で、現金は一切動いていない
という点です。
6.引当金と純資産の関係
引当金繰入額は費用ですから、
- 利益を減らす
- 純資産を減らす
という効果を持ちます。
つまり引当金とは、
将来の損失を、前倒しで純資産から差し引いている
処理だと言えます。
7.なぜ「予想」で会計処理してよいのか
会計は、
事実だけを記録する世界
だと思われがちです。
しかし実際には、
将来を合理的に見積もること
も、非常に重要な役割を持っています。
引当金は、
- 利益を過大に見せない
- 会社の実態をより正確に表す
ための仕組みなのです。
8.まとめ
- 引当金は将来の支出を見積もる処理
- まだ現金は動いていない
- 費用は先に計上される
- 結果として純資産が減る
次回は、
「前払費用・未払費用はなぜ“ズレ”を調整するのか」
を扱います。
