1.減価償却が分かりにくい理由
減価償却は、会計の中でも特につまずきやすいテーマです。
理由は明確で、
「現金が動かないのに、費用が発生する」
からです。
これまで見てきた費用は、
現金の支払や掛取引と結びついていました。
しかし減価償却では、
そのどちらも起きません。
2.まず「購入時」に何が起きているか
減価償却を理解するには、
時間を2つに分けて考える
ことが重要です。
例:100万円の機械を現金で購入した
購入時点で起きているのは、次のことです。
- 現金が減る
- 機械(固定資産)が増える
これは、
資産 → 資産への置き換え
であり、この時点では
P/Lは一切動いていません。
3.時間の経過で価値が減っていく
機械や建物は、使えば使うほど価値が下がっていきます。
この価値の減少を、
会計上、少しずつ費用として認識する
のが減価償却です。
4.減価償却費が計上されたときの動き

減価償却費を計上すると、次の変化が起こります。
- P/L:減価償却費が発生(費用)
- B/S:固定資産の価値が減少
そして重要なのは、
この時点で、現金は一切動いていない
という点です。
5.なぜ費用になるのか
減価償却費は、
「お金を払ったから費用になる」
のではありません。
資産を使って価値を消費した
その事実を、
期間ごとにP/Lへ配分している
だけなのです。
6.減価償却は「過去の支出」を整理している
現金の支出は、
すでに過去に終わっています。
減価償却とは、
過去に支払ったお金を、あとから費用に直している
と考えると、非常に分かりやすくなります。
7.減価償却と純資産の関係
減価償却費は費用ですから、
- P/Lの利益を減らす
- 結果として純資産を減らす
という影響を持ちます。
ただし、
現金は減らないが、純資産は減る
という点が、減価償却の最大の特徴です。
8.まとめ
- 購入時は資産の置き換えでP/Lは動かない
- 減価償却は時間の経過による価値の消費
- 現金が動かなくても費用は発生する
- 減価償却費は純資産を減らす
次回は、
「引当金はなぜ“まだ起きていない費用”なのに計上するのか」
を扱います。
