1.掛取引は「未決済の状態」だという確認
前回までで、現金取引と掛取引の違いを見てきました。
掛取引とは、
取引自体は成立しているが、お金のやり取りがまだ終わっていない状態
でした。
その未決済の状態が、B/Sでは
- 売掛金(未回収の資産)
- 買掛金(未払の負債)
として残っていました。
2.売掛金が回収されたとき、何が起きるか

まずは、売掛金の回収から見てみましょう。
例:売掛金100円を現金で回収した
このとき、新しい売上は発生していません。
起きているのは、
資産の中身が入れ替わるだけ
です。
- 現金が増える
- 売掛金が減る
つまり、
資産 → 資産への振替
であり、P/Lは一切動きません。
3.買掛金を支払ったときの動き

次に、買掛金の支払いを見てみます。
例:買掛金100円を現金で支払った
この場合も、新たな費用は発生していません。
- 現金が減る
- 買掛金が減る
これは、
資産 ↓ / 負債 ↓
という動きです。
ここでも、P/Lは動かず、
B/Sの中だけで完結
しています。
ここで、非常に重要な考え方を整理します。
会計では、
- 取引(売上・費用の発生)
- 決済(お金の回収・支払)
は、別の出来事として扱われます。
取引の時点でP/Lが動き、
決済の時点では、
B/Sの中身が整理される
だけなのです。
5.なぜ決済ではP/Lが動かないのか
これはとてもシンプルな理由です。
売上や費用は、
すでに過去の取引で認識済み
だからです。
回収や支払いは、
その後始末
にすぎません。
6.ここまでの流れを一気につなげる
ここまでの流れをまとめると、こうなります。
- 取引発生 → P/Lが動く
- その結果がB/Sに売掛金・買掛金として残る
- 決済時にB/Sの中身が整理される
この流れを理解すると、
掛取引が一気に分かりやすくなります。
7.税理士試験での重要ポイント
税理士試験では、
- なぜこの仕訳ではP/Lが動かないのか
- どの時点で純資産が増減するのか
といった点が、頻繁に問われます。
「これは取引なのか? 決済なのか?」
と自分に問いかける癖をつけると、
判断を間違えなくなります。
8.まとめ
- 売掛金・買掛金は未決済の残り
- 回収・支払はB/Sの中だけの動き
- 決済ではP/Lは動かない
- 取引と決済を分けて考えることが重要
次回は、
「減価償却はなぜ現金が動かないのに費用になるのか」
を扱います。
