前回は、仕訳が「1つの取引を、増えたものと減ったものに分けて書くメモ」だという話をしました。
今回は、その仕訳が最終的にたどり着く形のひとつ、
貸借対照表(B/S)をイメージでつかんでいきます。
細かい科目名を全部覚える必要はありません。
「左と右が何を表しているのか」だけ分かれば、今の段階では十分です。
1.貸借対照表は「ある時点の財産の写真」
貸借対照表(Balance Sheet, B/S)は、
一言でいうと
「ある日現在の会社の財産の一覧表」
です。
- 何をどれくらい持っているか(現金・売掛金・商品・建物など)
- どれくらい借金やツケがあるか(買掛金・借入金など)
- その差し引きで、会社の正味の価値はいくらか(純資産)
こういった情報を、
左側と右側に分けて1枚の表にまとめたものがB/Sです。
ざっくりとした構造を描いたのが、今回の
図1「シンプルな貸借対照表(B/S)のイメージ」
です。

2.左側:資産の箱
図1の左側には、大きな箱があり、上に「資産」と書いてあります。
この箱には、次のようなものが入っています。
- 現金・預金
- 売掛金(ツケで売って、あとでお金をもらう権利)
- 商品(在庫)
- 建物・備品などの固定資産
ここには、
「会社が持っているもの、お金になるもの」
がまとめて入るイメージです。
第8回で出てきた
5つのグループのうち「資産」の代表例がずらっと並んでいる
と思ってください。
3.右側:負債と純資産の箱
図の右側には、同じくらいの大きな箱があり、
中が上と下の2段に分かれています。
- 上段:負債(買掛金・借入金など)
- 下段:純資産(資本金・これまでの利益の蓄積)
ここでの関係は、次のひとことに集約されます。
資産 = 負債 + 純資産
つまり、
- 左側(資産)は、「会社が持っているもの」の合計
- 右側(負債+純資産)は、「その資産をどのように調達したか」の内訳
という見方ができます。
- 負債:
銀行など他人から借りてきたお金や、「あとで支払う約束」の合計 - 純資産:
持ち主(株主など)が出したお金+これまでの利益の蓄積
第8回で出てきた
「持ち主から見た会社の正味の価値」=純資産が、ここで右下にまとめて表現されています。
4.簡単な数字のイメージで見てみる
イメージをつかみやすくするために、シンプルな例を考えてみましょう。
例)ある会社のB/S(かなりざっくり)
資産合計 1,000万円
うち 現金・預金 300万円
売掛金 200万円
商品 200万円
建物・備品 300万円
負債合計 400万円(買掛金・借入金など)
純資産合計 600万円(資本金+これまでの利益)
このときも、
資産1,000 = 負債400 + 純資産600
という関係は必ず成立しています。
B/Sを眺めるときは、
- 左側に「どんな資産が、どれくらいのバランスであるか」
- 右側に「どれくらい借金があり、どれくらい自前の力(純資産)があるか」
を見ていくと、「この会社はどんな体質なんだろう?」が少し見えてきます。
5.B/Sは「安全性」のヒントを教えてくれる
もう一歩だけ踏み込むと、B/Sは会社の安全性を考えるときにも役立ちます。
- 負債が多すぎると、返済や利息の負担が重くなる
- 純資産が厚い会社は、多少の赤字でもすぐには行き詰まらない
- 資産の中身が現金や預金ばかりか、在庫だらけか、でも印象が変わる
もちろん、本格的な分析は簿記3級・2級の範囲を超えますが、
「左と右のバランスを見て、会社の体力をイメージしてみる」という感覚は、今から少しずつ慣れておくと役に立ちます。
6.今回のまとめと、次回予告
今回のポイントを整理すると:
- 貸借対照表(B/S)は、ある時点の「財産の写真」
- 左側には、現金・売掛金・商品・建物などの資産が並ぶ
- 右側の上段は負債(他人から借りたお金や、支払う約束)
- 右側の下段は純資産(持ち主が出したお金+これまでの利益)
- どんな会社でも、資産 = 負債 + 純資産という式が必ず成り立つ
次回は、B/Sと対になるもう一つの表、
損益計算書(P/L)を図で読んでいきます。
「1年間の成績表」としてのP/Lを、売上・費用・利益の流れの観点からやさしく見ていきましょう。
